【連載】経営視点から見る展示会活用法 第1回 事前ミーティング~成功の鍵は社内の一体感~

連載:経営視点から見る展示会活用法

第1回
事前ミーティング~成功の鍵は社内の一体感~

柴崎 智弘氏(船井総合研究所)

 

皆さん、こんにちは。船井総合研究所の柴崎智弘です。

今回から、10回シリーズで、「経営視点から見る展示会の活用法」というテーマで、
皆さんに、展示会を成功させるルールをお伝えしていきたいと思います。

まず、船井総研がどういう会社か分らない、という方もいるかと思いますが、
船井総研のコンサルティングスタイルは、現場第一主義です。
ですから、このシリーズも現場で起きたこと、そこから得られた成功法則、仕組み、フレームをお伝えしていきたいと思っております。

まず、第1回は、「事前ミーティング」についてです。
私は、この2年弱で、30社弱の展示会の支援をさせていただいております。
毎月1社以上は、出展している計算になります。
計画フェーズもあるので、結局、ずーっと展示会の支援を行なっております。(笑)

そうすると、展示会が成功する会社とそうでない会社があります。
その理由は、何か?それは「社内の一体感」です。

なんだそんなことか!と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、事実、ここがまず最初に一番の肝なんです。
一番多い典型的な失敗パターンをお伝えします。皆さんの会社は大丈夫ですよね?(笑)

典型的な失敗パターン。それは、マーケティング担当(営業企画やマーケ室)と営業担当(営業部)の展示会に対する目的意識の“ズレ”です。
どういう“ズレ”かというと、マーケ担当は、会社の売上をつくっていくために、新規客を1社でも創出すること、これが大きな命題になっています。

しかし、一方営業はというと、それを求めていません。目の前の案件もありますし、営業の性格上、自分達で最初からお客を見つけてくることを美徳としてますし、今期の数字を達成させるために、短期的な案件を求める傾向があります。そうすると、営業から出てくる言葉はというと・・・「いま、展示会なんかに出ている時間はない!」
ここに大きな不一致が生じてしまいます。

しかし、多くの会社は、こういう状態であっても、「社長からの指示だから」とか、「いつも出ているから」といって、強引に出展してしまいます。
するとどうなるか?これは多くのマーケ担当の方から聞く言葉です。
「展示会で取得した名刺は机の中にお蔵入りになっています。」

では、こうならないためにはどうしたら良いのか?
マーケ担当と営業担当とで、展示会のプロジェクトチームを必ず組織することです。
そして、会社として出展する「意義・目的」を明確にし、展示会の後に、この展示会がもたらす数字としての成果を仮説として立てるのです。

これが、営業を動かす動機になりますし、マーケ担当としても、会社への貢献度合いを、定量的に示すことができます。

出展意義・目的をすり合わせするための会議が億劫だという方は多いです。
ですから、私は、この会議にも参加します。そして、お互いが納得しあうまで話し合います。思いを聞き、思いを伝え合います。

本来は、営業にとっても、展示会は非常に活用できる場です。
しかし、目的を理解することなく、展示会に突入してしまうので、得られる効果を得ることができないのです。
そうならないためにも、しっかりとマーケ担当と営業担当とで組織する、展示会プロジェクトチームをつくって欲しいのです。
そして、そこで双方の目標を確認したら、それを各部署でしっかりとシェアすること。
それが、社内が一体化して、展示会に向かっていく方法です。

以前、展示会設営企業の「エフ・ティ・システム」が展示会出展企業70社に調査した結果、35%が、マーケ単独もしくは、営業単独で計画まで行なってしまい、多くの部署が当日の参加のみ、という回答でした。

逆に、社内の一体感ができている会社は、それぞれの目的意識が、成果目標がはっきりしているので、それぞれの達成のために、お互いに協力して一生懸命動くし、お互いに指摘しあうし、良い事尽くめです。

確かに、単独の部署で進めていく方が、進みが早いし、楽です。
しかし、それを乗り越えてしっかりとプロジェクトチームをつくって、まずは一体感をつくって、そこから組み立てていきましょう!

きっと、これまでよりも成果のあがる展示会になります。

第2回では、「目標設定~マーケティング施策のなかの展示会」についてお伝えしたいと思います。

 


 

Profile

柴崎 智弘

船井総合研究所

 

 

 

大學卒業後、大手金融機関にて営業を担当。
2006年より、インサイドセールスの部署の立ち上げに参画。
上場企業や中小企業を常時600社担当し、会わずしてキーマンとの関係構築をし、案件を引き出すという、法人営業、特に金融サービスとしては新しい試みを担当。
2011年10月船井総合研究所に入社。
IT企業ビジネスコンサルティングチームにて、展示会で集客した後の、電話営業でクロージングさせる営業の仕組みを得意とする。
特に、展示会のオペレーションには、成果に直結すると定評があり、展示会をテーマに、約30社のコンサルティングの実績がある。