さっぽろMICE推進委員会は3月5日・6日、「さっぽろMICEリーダーズサミット」を開催した。
MICE産業界のリーダーや発信力をもつキーパーソンとともに「アジア太平洋のパートナーシップがMICE新時代を開く」をテーマにした『サミット』に加え、2017冬季アジア札幌大会、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えているなか、2026年冬季オリンピック大会の開催都市への立候補表明という時宜を得て「スポーツコンベンション」をテーマにした『フォーラム』を実施。札幌のMICEディスティネーションとしてのブランド力の発信と、アジア太平洋地域のMICEネットワークの重要性の確認、MICE発展に向けた知見の交換を目的に企画された内容に、国内外から330人が参加した。
『MICEリーダーズサミット』
基調講演Ⅰ
3月6日には、ゴールドコースト観光法人CEOで、ICCA(国際会議協会)アジアパシフィックチャプター前理事長のマーティン・ウィンター氏が「アジアの隆盛 MICE新時代の国際会議誘致プロモーションの進化と戦略」と題し、基調講演を行なった。マーティン・ウィンター氏は、「国際会議誘致プロモーションの戦略的進化は、いま第3の波を迎えている」とし、第1のインフラによる差別化から、第2のクライアントのビジネス目的の理解へと移行し、知的資本や文化・観光資源による差別化へ、そして第3の波では、ビッグデータを活用したイベント開発が競争力に大きな影響をもたらすと解説。ビッグデータのMICEビジネスへの適切な導入が第3の波に乗っている先駆的なデスティネーションではすでにはじまっていると語った。
MICEリーダーズサミット
「MICEリーダーズサミット-アジア太平洋のパートナーシップがMICE新時代を開く-」と題し、香港「MIX Magazine」のマーティン・ドノワン氏をモデレーターに、タイ、中国、オーストラリア(基調講演者のマーティン・ウィンター氏)、韓国、札幌のMICE都市の代表、ICCA(国際会議協会)など、アジア太平洋のMICEを牽引する各国地域のMICEリーダー、専門家7名がMICEの潮流と発展に向けての取組みについて情報交換・発信を行なった。
タイ国政府コンベンション&エキシビション・ビューロー会長のノッパラット・メイタビークンチャイ氏は「アジアMICEを牽引するタイ政府の戦略的プロモーション:政府×地方都市、海外×国内」をテーマに紹介。
中国旅行者協会 MICE専門委員会副事務局長のヤオ・ホン氏は「中国MICEの巨大市場と世界戦略:アウトバンド編」として、中国のインセンティブ事情からアウトバウンドのトレンド、惹きつける12のポイントを解説した。
ゴールドコースト観光法人CEOのマーティン・ウィンター氏は「観光・MICEで急成長を遂げたオーストラリアのMICE都市・ゴールドコーストの手法」として、人口60万人規模の都市でどのように1,200万人の観光客を迎えるようになったのか、レジャーとビジネスのツーリズムのブランディング戦略について語った。
韓国大田マーケティング公社CEOのイ・ミョンワン氏は「行政・地元大学・研究機関の連携によるMICE振興の成功例」として、“MICEを売り込む商品は都市それ自体”という観点から科学の街として知られる大田の強みをMICE誘致につなげる手法について説明した。
札幌国際プラザ代表理事・副理事長の中田博幸氏は「地域の特徴・魅力を最大限に活かしたMICEの誘致」として、国の内外のMICE関係者から札幌方式と呼ばれる誘致・受入の取組みについて、スポーツコンベンションに対する今後の方向性についても言及した。
ICCA(国際会議協会)アジアパシフィックチャプター副理事のジョーダン 黒澤 貴子氏は「世界巨大組織ICCAアジア太平洋チャプターのあり方と今後の展望」として、アジアの開催件数が50年間で30倍に増加しているICCA統計に触れ、アジアパシフィックチャプターがMICEビジネスでさらなる拡大をするためには、競合関係でありながらパートナーとして教育機会の拡充やネットワーキングによる情報共有が必要だとした。
「見本市展示会通信」2015年4月1日号・春季特集号、「展示会とMICE」webサイト、「展示会とMICEニュース」メルマガにて掲載する。