②映像のこれからについて
髙山裕太氏 : とにかくディレクターの要望に応えられる下地を作っていきたいです。私はハードウェア担当ですので、ディレクターが望む空間を実現するためにはどのようなハードが適切なのか、どのような提案をしていけばいいのかという点を追求し、より良い映像の制作、ひいては理想の空間づくりに貢献したいと思います。そして、ゆくゆくは自らもディレクションを行なってみたいと考えています。
2020年には東京オリンピックも開催されますので、そこに向けて技術的な貢献もできたら何よりです。
植田智人氏 : 映像はいかに人に分かりやすく表現するかが肝要だと考えています。
元々スライドだったものがテレビやDVDのようなメディアとなり、近年には3Dホログラムなどが登場する中で、より表現に適した方法が求められているのだと思います。映像は日々進化していて、日ごとにその形を変えながら、これからも情報発信の役割を一手に担っていくのではないでしょうか。
ですから、映像単一で考えるのではなく、音響や照明とのバランスも考慮に入れつつ、総合的な発展を遂げていく必要があると考えます。
杉村素実氏 : 映像メディアの力というのはとても大きくて、例えばテレビで紹介された製品がそのまま会社の看板になってしまう、なんてこともあると思います。PMはその立体的な構造から、従来の映像メディア以上に視聴者の興味・関心を引きやすいものとなっています。
ですがPMは現在、展開するためにまとまった資金が必要で、決して敷居の低い技術ではありません。新たな可能性を秘めた技術も、世間に認知されないことには広く普及することはないので、誰もが手軽に体験できるアプリを開発・提供し続けることで、映像技術の発展に貢献していきたいと思います。
石橋宗親氏 : これからの映像は、PMなどの台頭によって、制約された画面を見て情報を得るという画一的なメディアから脱却しつつある点ではないでしょうか。
視覚から得た情報は記憶に残りやすい特性がありますが、これからはより全感覚的体験が重視されるように思います。ARやVRの動向の今後も考えると、映像はもはや「映」はなくなり、「像」だけが残るような気もしています。
映像制作側は映像という1つのコンテンツとしてただ見せるのではなく、例えばUX(ユーザーエクスペリエンス)の分野で扱われるユーザーエクスペリエンスジャーニーマップのようなものを利用しながら映像体験の以前/以降のストーリーを設計するなど、イベントや空間全体の物語の中で体験者の内側で感じ取られていく「(映)像」を意識して体験者の内側で感じ取られていく「記憶」をいかに設計するかを考えていく必要があります。
神話や様々な伝承の例にあるように人間の記憶は古来より物語によって保存されてきた歴史がありますが、映像は映像という枠を超えるアプローチをすることでより自然に物語を伝え、記憶に残る体験となることができるのではないかと思っています。
ありがとうございました。今後の皆様のご活躍を期待します。