◆若い世代へ向けて
――若い人たちと接しながら、どんなことを感じますか
佐藤 以前よりも先輩後輩の深いコミュニケーションは減ってきていると思います。厳しい上下関係や細かい気遣いなどは、昔よりは意識されなくなってきているかと。
永井 数年前に私たちの部署にも若い人たちが入社してきて、仕事を教える立場にいました。今でもできる限りわかりやすく伝えられるよう気を配ると同時に、言葉でしっかりと伝える部分と、自分で考えてもらう部分のバランスを特に大切にしています。
徐 ベテランの制作者はとても頼りになりますし、きついスケジュールもこなしてくれます。でも、若い世代の社員はあまりに過酷な仕事のやり方をおかしいと感じる世代であり、「働き方改革」など、労働環境を改善しようとする社会的な流れもできつつありますね。
内山 働き方の変化については、実を言うと私たちの会社は、今世間で騒がれているから職場の環境が変わってきたわけではなくて、10年近く前から緩やかに改善されてきています。ここ10年くらいはそこまで過酷な環境ではありません。私たちが現場で働いていたころのような、月の残業時間が200時間超えるような状況からは、10年ほど前に脱却しています。その頃と今ではあまり変わりはなく、むしろ社会的に働き方改革が騒がれていること対して、企業がデリケートになりすぎているのではないでしょうか。中には遅くまで働いて稼ぎたいという人もいるでしょうし、逆に一日の労働時間を短くしたいという人もいるのが現状ですが、皆同じ環境・条件になるようにとの指導が頻繁にありますので、かなり窮屈に感じています。
――これから映像業界を目指す人にメッセージをお願いします
永井 続けることができれば、必ずどこかで楽しいことが見つかる仕事だと思いますので、業界に入ったら努力しながらも、あまり気張らずに継続してみてください。
内山 今からこの業界に入ろうとする方たちは、ある程度音響や映像に興味がある人がほとんどですよね。だからこそ理想と現実は違う、ということを理解しつつ、しっかり自分のやりたいことを見極めて励んでください。
佐藤 今の映像業界を目指す若い人たちは、高い志を持っています。希望さえ粘り強く持ち続けていれば、夢を実現できるかと思いますのであきらめずに頑張ってください。
宮下 現場の仕事は、想像以上に精神的にも肉体的にも厳しいです。皆さんはそれを分かって入社してくるとは思いますが、そのさらに3倍も4倍も苦しいです。本当にやりたいことがある人、現場の仕事が好きな人しか残らない仕事ではありますが、それが楽しいと思えるような、また現場から社内に戻ってきたとき「この仕事で良かった」と思えるような環境を作っていけるよう私たちも努めていきます。イベントが好きな人に悪い人はいないと思いますので、興味があればこの業界にぜひ挑戦してみて欲しいです。
――ありがとうございました
◆JVRA座談会アーカイブス
▶第1回 ビジュアル空間をつくるプロフェッショナルのシゴト
▶第2回 ~プロが語る仕事の舞台ウラ
▶第3回 観客を魅了するステージ演出の舞台ウラ
▶第4回 日本全国で活躍するJVR協会の仲間たち
▶第5回 イベント・ステージ業界で活躍する女性たちの仕事
▶【2016年】海外展示会(ISE・InfoComm)視察ツアー報告会2016
▶第6回 映像演出の世界で輝く女性たち~女性が活躍できる場を目指して
▶【2017年】海外展示会(ISE・InfoComm)視察ツアー報告会2017