日本映像機材レンタル協会 & ピーオーピーPOP合同企画 座談会 <第1弾>
感動と喜びを与えることがやりがい!! ~フレッシュマン・中堅が語る日々の仕事の魅力とは~
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◆機材管理も重要ファクター ~高度な技術と体力が勝負
――先ほどの宮川さんの話にもありましたが、みなさまにとって機材や資材の管理はビジネスのうえで重要なファクターだと思います。会社としてどのように取り組んでいますか
三島 光和では機材課という管理・整備の専門部署があって、そこで現場から戻った機材をチェックし、検査済みのシールを貼って備品の棚に戻すというしくみになっています。ケーブルは個人で片付けています。自分たちが使うものなので自主的にということです。
溝井 ウチも機材のチェックはオペレーション担当者ではなく、管理専門のセクションが行なっています。お客さまの目に届かないところほど、整理整頓が大切です。 倉庫でも現場でも、導線をきちんと確保していれば、スムーズに機材を運べますし、汚さずきれいに使用できます。モニターであれば色の焼きつきがないか白を出して確認しています。リモコンなど備品の管理も大切です。
國分 そうですね。お客さまの見えないところをきちんと整理整頓することが大切です。安全にも関わりますし。ウチでも基本的には倉庫の担当者が入出庫時のチェッ クしますが、物件担当者も極力確認の対応を行なっています。整備がしっかりしてないと現場に行くのがこわいです。じっさい、現場にもっていった機材が映らないということもありました。でも必ず予備の機材を用意していますので、大きな失敗は回避しています。
――本当に、見えない努力が現場での感動を生み出していると言っても過言ではないですね。それにしてもみなさんの仕事は、高度な技術と体力勝負だなと感じます。これまでに怪我をしたりとか体を壊したりしたことはありませんでしたか
國分 先日、深夜に現場に入って、モニターを20枚くらい設置する仕事だったのですが、1枚目で手を怪我してしまいまして(笑)。みんなが忙しく働いているときに、応援で来た私が、一人突っ立っている姿はマヌケでした。クライアントや施設の方にまでご心配をかけました。
――笑い話でもないと思うのですが(笑)。女性の三島さんは入社のころなどはキツかったのでは
三島 ケガではないのですが、1年目に肺炎になりました。1か月咳が止まらなかったので病院に行ったら即入院でした。
――休まないと(笑)。でも、みなさんの仕事は曜日も時間も関係ないようなものですよね。國分さんなんか、生活と仕事が一体化しているような・・・
國分 いやいや。休みの日まで仕事をしたいという心境にまでは至ってないですよ。でも、週末の現場が多いので土日はほとんど仕事ですね。1月前にシフトを決めるのですが、なかなかその通りにはならないです。
――溝井さんもそうですか
溝井 できれば多く休みたいですが、最近は体が慣れてきたのか、3時間眠れば大丈夫になってきました。
――それはすごい。三島さんも現場時代は働き詰めで?
三島 私の場合は、女性だからできないと思われるのがイヤなので、どんな仕事でもこなせるように頑張っているというか・・・。一度断ってしまうと次から仕事が回ってこないかもしれないと、意地を張っている部分もありますかね。
――宮川さん、すごい先輩がいるもんですね。宮川さんの先輩にはこんな人いますか
宮川 直属の上司が一児の母なのですが、仕事と子育てを見ごとなまでに両立しているのがかっこいいなと。
◆映像への情熱が生み出す
ワンドットにかける想い
――仕事の魅力とは
國分 観客の反応を生で見られることが最大の魅力です。ファッションショーなどの舞台で、自分が調整した映像を見ているお客さんが、感動した顔でそれを写メに撮っている光景などは本当に嬉しいですね。私が切り替えのスイッチを入れた瞬間、会場中のお客さんがワーっと盛り上がるとドキドキします。カッコつけた言い方ですが、私たちの仕事は、お客さんの思い出をつくることなんだと思います。だからやりがいがあります。
三島 入社したてのころ、先輩方の“ワンドットにかける想い”に驚きました。
――映像づくりにはミリ単位、コンマ何秒にこだわる人がいるんですよね
三島 そうです。正直なところ、お客さまには気づかないほどの差でしかないんです。しかし、納得できない部分があれば、徹夜してでも微妙な調整を何度も繰り返して、細部まで完璧に仕上げる。こういうこだわりや情熱があって、はじめて現場の成功があるのだと理解できるようになりました。そしてそこには、観客や来場者の目線で演出するという心がけがあります。プロの技術とアマチュアの目線でクオリティを高めることが、遠回りでもクライアントのメリットになるのではと考えています。
宮川 テレビで何となく見てきたシーンも、実際の現場を体験してはじめて、その大変さを知りました。たとえば記者会見の会場では、記者席の配置やカメラマンへの 配慮、マイクの準備、会場全体のレイアウトなど、至る所に気が配られていました。主催者のさまざまな要望に素早く対応する先輩の姿をみて、私の仕事は機材を提供するだけではないんだと実感しました。
溝井 ひとつの映像を投影するのにスイッチャー、PC、 動画など多くの担当者が関わっています。台本を見ながら、あうんの呼吸でタイミングを合わせるのですが、プレッシャーが大きいぶん、すべてがシンクロして演出がバシっと決まったときの達成感はたまりません。そして現場には、すごい技術や創造力をもった先輩がたくさんいます。こういう方々といっしょに仕事ができることは、とても光栄なことですし、勉強になります。
――宮川さんも日々勉強ですね
宮川 私はまだ、この機材を使うとどんなことができるか、ということから勉強しています。毎日、先輩からいろいろな知識や技術を教えてもらっていますが、教わったことを現場で活かせるよう、どんどん挑戦していきたいです。
三島 どの会社も同じだと思いますが、弊社は入社3か月くらいはケーブルの説明とか業界用語を、それこそ「上手はどっちです」ということからおしえています。そして当然、機材は触らないとおぼえないですよね。私はいまは現場に出ることはないのですが、お客さまにきちんと説明できるように、常に情報をアップデートしなければいけませんので、そういう大変さはどの仕事をしていても同じです。
國分 そして最後は実地で勉強しないとわからない。おぼえることは本当に多くて大変ですけど、やらないと現場で成功できないですからね。
宮川 わたしも時間の許す限り、現場に行って勉強するようにしています。
三島 楽しさがわかるまで3年かな。そこまでは、先輩に言われるまま荷物を運んだりケーブルを敷いたり、使い走りの下積みですね。こうした日常を積み重ねながら、自分のやりがいを見つけて耐えていければ、いつか仕事を任されるようになる。
この人がいれば大丈夫と 言われる存在になりたい
――どのように成長していきたいですか
宮川 まだまだ勉強の日々ですが、ゆくゆくは自分らしい素敵な映像やシステムを提案して、お客さまに指名してもらえるようになりたいです。
三島 営業職について2年目になるので、解らないでは済まされません。会社の看板を背負って仕事している以上、責任をもってお客さまの満足度を向上していきます。
溝井 目標にしている先輩がいます。その人がいればここは大丈夫と、お客さまも社内のスタッフもみんな安心できるのです。いまの自分はまだまだ勉強不足ですが、いつかそういう存在になろうと努力しています。
國分 この人なら大丈夫という安心感は私も欲しいですね。そうしたら結婚もできるかもしれません(笑)。個人的には映像の専門分野だけを掘り下げるよりも、多くの人と楽しくマジメに仕事を進められるようになりたいですね。自分が楽しくないと良いものができないし、気もちが伝わらないのではと思います。
――ありがとうございました。これからも素敵な映像世界を私たちにみせてください
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