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リードエグジビションジャパンが社名を「RX Japan」に変更

年間34分野で84本(構成展総計は357本)の見本市を開催するリードエグジビションジャパン(代表取締役社長:田中岳志)は7月15日、社名を「RX Japan」に変更したと発表した。

昨年以降のコロナ禍を通じて見本市の開催意義および主催者の使命を見つめ直す中、見本市主催のプロフェッショナル集団としてこれまで以上に価値のある見本市を創造したいと熱望し、その実現のため現状維持でなく新たな一歩を踏み出す決意をした、としている。

また、「RX Japan」は以下の7つのビジョンのもと、人と人、企業と企業をつなぎ、見本市を通してクライアントのビジネス拡大に貢献していく、と発表した。

1.eXhibition 見本市を通じ、日本を世界市場の中心に
2.maXimum 出展者のビジネスを最大化する
3.eXperience 来場者に価値あるビジネス体験を
4.co-eXistence 地域経済の発展に貢献する
5.eXperts 進化し続けるプロ集団
6.eXciting ワクワクを力に!
7.eXceed expectations 期待を超える見本市を創り出す

〔コロナ禍・新事業〕生き残るための突破口を探る イベント会場運営のいま

新型コロナウイルスが既存事業へ大きな打撃を与えたことで、その危機感から新規事業に踏み出す企業が増えている。貸イベントホール・カンファレンススペースの運営を行うEBiS303(スバル興産)は、下がった施設稼働率を補うため、自主企画イベント「EBiS YOGA(ゑびすよが)」を2020年11月に初開催し、2021年6月には第2回目を成功裏に終えた。EBiS303運営部・営業課の片野絵梨さんに話を聞いた。


自己所有施設の有効活用

片野絵梨さん

コロナ禍で全国的なイベント減に見舞われた。EBiS303(東京・渋谷区)も例にもれず、2020年度の稼働日数はコロナ前である2019年度と比較して約30%まで落ち込んだ。

そのような中、運営を手掛けるスバル興産は6月19日、自主企画イベント「EBiS YOGA(ゑびすよが)」をヨガイベント制作会社と協力して開催。大規模なヨガイベントは、公園やビーチなど屋外で開催されることが多いが、EBiS YOGAは「天気や天候を気にせず、恵比寿駅チカで人気講師のレッスンが受けられる」という独自色を打ち出した。ヨガイベントを採択した決め手は、費用面の負担が抑えられること。ヨガイベントはヨガマットやタオルを持参した参加者と会場があれば、大がかりな設備や投資を必要としない。会場運営者である強みを生かし、会期の3ヶ月前から準備をはじめ、これまでに2回開催した。参加チケットの販売数も伸ばしており、今後は安定的な収益化を目指す。

 

感染症対策へのこだわり

一方、主催かつ会場という立場は、万が一の際の責任も大きい。安心・安全な開催のため、徹底した感染症対策を実施した。参加者と関わるスタッフはゴム手袋やフェイスシールドを着用し、レッスン会場ではプログラム毎に専門業者が入り清掃した。「会場が主催するのだから、お手本になるような対策・対応に強くこだわりました。また、窓を開けなくても約15分で館内すべての空気が入れ替わる換気システムをもともと採用していたことも、開催の後押しになりました」(片野さん)。運営面では、レッスン会場で参加者の位置を指定することで後日、感染者やクラスターが発生した場合でも迅速に対応できるよう備えた。

EBiS YOGA当日のようす

大局的な視点で施設運営を

片野さんは「実際に主催を経験することで、イベント主催者は集客面や感染発生への不安、採算が取れないリスクを抱えながら当日を迎えているのだということを身に染みて感じました。会場を貸す側として、そんな気持ちに寄り添いたいという思いがいっそう強まりました」と振り返る。今後は、安全な開催に向けた具体的な提案や設備面の拡充に努める。

現時点で会場の稼働日数はコロナ前の50~60%程度と、徐々にイベント回復の兆しを見せる中、第3回目となるEBiS YOGAは来年1月頃の開催を予定している。「自主企画は業務工数のわりに利益が少なく、事業としては成立していないのが現状ですが、スタッフの学びの場という側面もあることから会社の理解を得ており、今後も継続して開催していく方針です」(片野さん)と意気込みを語った。

片野さんがデザインを手掛けた「えびまろ」

渋谷スクランブルスクエアで“ART×MUSIC”テーマにアートイベント開催

レ・クリエーションとプラスアートは、8月2日から「e to oto to… ~ART×MUSIC~」を渋谷スクランブルスクエア14階の+ART GALLERYで開催する。

このイベントは、”ART×MUSIC”をテーマに音楽業界を中心に活動しているアーティストと、アート業界を牽引する作家による作品を展示するもの。アーティストや作家が作品を制作する際に聴く曲をプレイリスト化し、本会場で楽しめる企画を併せて実施する。「アートの視座にたち音楽を見つめなおし、音楽の視座にたちアートを聞く」ことを試みる企画展となっている。

会場内の作品は、8月2日から22日まで週替わりで作家ごとに入れ替える。
1週目は、MYTH & ROIDのボーカリストKIHOW氏がVarizo Changという作家名で登場し、初個展以来の新作を出展する。またコラージュ作品を制作する野島渓氏、ペインティングの山田康平氏など日本の現代アート業界で話題の著名作家の作品展示を行う。

2週目は「さくらんぼ」「プラネタリウム」など多数のヒット曲を手がけたシンガーソングライター大塚愛氏が参加。2019年から制作を続けている油絵を中心とした作品を初出展。ほかにも、社実力のあるポップな作風の戸泉恵徳氏、高い描画力とデジタルエフェクトをかけたような独特な画風で注目を集める島田萌氏らが出展する。

3週目はYOASOBIの「夜に駆ける」のMVでも話題になった藍にいな氏が参加。過去の未発表作品や待望の新作も会場内で展示販売を行う。また、空想上のキャラクターをモチーフとしたYeka Haski氏の作品や、コミカルな作風で身近な問題や人間の生命に表現するマエダトシユキ氏の作品が集結する。

スマートフォンで会場内にあるSpotifyコードを読み込むと、作家の好きな音楽、世界感の音楽などを聴くことができ、各世界観への深い没入感を演出する。

■開催概要
e to oto to… ~ART×MUSIC~
会 期:8月2日(月)〜8月22日(日)10:00 ~20:00
※新型コロナウィルスの影響で営業時間変更の可能性あり。最新情報は公式ホームページで発信する
会 場:渋谷スクランブルスクエア ショップ&レストラン 14F 「+ART Gallery」
入場料:無料

「第854号 見本市展示会通信(夏季特集号 PARTⅠ)」発行しました

 

 

展示会やMICEなどに関する最新ニュースを伝えるタブロイド判の業界紙
「第854号 見本市展示会通信(夏季特集号 PARTⅠ)」を発行しました。

主な記事
日本ディスプレイ業団体連合会 新会長インタビュー
SDGs×展示会の未来 PART 1
2022年国内展示会の分析

主な記事
・オンライン展示会プラットフォーム
・業種別開催データ(2021年8月~ 2022年1月)〈生産財関連〉
・一般ニュース、人事

発行について:第853号 2021年(令和3年)7月15日

☞「見本市展示会通信」の詳細はこちら<

2020年は8兆6649億円 前年の49.5%と大きく減少 JACEイベント消費規模推計

日本イベント産業振興協会は(JACE)は6月16日、2020年のイベント消費規模推計を発表した。イベントに対する様々な支出(出発前、交通費、宿泊費、会場内、会場外、イベント後)を含めたイベントの全体消費規模金額は8兆6,649億円で前年比49.5%となり、調査が始まった2012年以降、初めて減少した。

どのイベントカテゴリーでも数値は減少しており、その中でも会議イベントが9,038億円(前年比40.5%)、興行イベントが2兆6,613億円(同43.5%)、スポーツイベントが1兆764億円(同44.2%)となり、いずれも50%を下回る大きな影響を受けた。

今回から新たにオンラインイベントに関する意識について調査項目を追加。「音楽アーティストのライブ」で2020年のオンラインイベントの参加率は17%程度、参加意向は32%となっており、次いで「観劇」や「エンターテイメント性の高いショー」でも20%程度の参加意向となった。オンラインイベントのイメージは「移動時間が節約できる」、「交通費や宿泊費が節約できる」といった意見が55%を超えたことから、JACEは「オンラインイベントの特性を活かしたイベントへの参加が、ウィズコロナの環境により急速に進んでいることが見受けられる」とコメント。

第7回を迎えた「JACEイベントアワード」のエントリー作品にも、新型コロナウイルス感染症対策を十分に講じたイベントや、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッドイベントなど新たな形式にチャレンジした作品が多数エントリーされた。この状況についてJACEは「ウィズコロナで企業が社会的な課題解決にチャレンジするイベントや、最新テクノロジーの利活用によって来場者の感動を増幅させるイベントが登場している。イベントは新たな領域を拡大していくフェーズに入った」との見解を示す。
調査報告書「2020年イベント消費規模推計報告書」は協会ホームページから購入できる。デジタル版も配信会社から直接購入可。

パビリオンの内覧ツアーを実施 Business Finland

東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、Business Finlandはフィンランド・ナショナル・パートナーハウス「Home of Finland」を一般に向けに公開、見学ツアーを実施している。

メッツァ・パビリオン外観

施設は2020年10月、「メッツァ・パビリオン」としてフィンランド大使館内にオープンした。木造の2階建てで、フィンランドのオリンピック・パラリンピックチームの拠点として各種パーティーやメダルセレモニーなどが開催される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により選手の参加はオンライン形式に変更。パビリオン活用のためにツアーが企画された。1回の参加人数を制限し、アルコール消毒や体温検査など感染症拡大対策を徹底したうえで実施している。

柱などはネジで固定しており、建物の解体・組み立てを10回繰り返すことが可能という

パビリオン内は建築や家具など、フィンランドの要素に触れることができるもので、ツアーではフィンランドのデザイン、木造建築、サステナブルな取り組みなどを紹介する。

オリンピック・パラリンピック期間中、パビリオンは「Home of Finland」と名称を変え、フィンランドのパートナーハウスとして運営される。フィンランド選手のユニフォームなどオリンピックにちなんだ展示や企画を開催する。

パビリオンの運営は2021年末まで。オリンピック・パラリンピック後はフィンランド企業のイベントや一般向けのクリスマスマーケットなどを予定。会場の貸し出しは行わない。

ツアーをはじめとする一般に公開されるイベントは事前申込制。公式facebookから申し込みができる。

 

ICT・IoTの最新技術を提案 第36回いしかわ情報システムフェア「e-messe kanazawa 2021」

石川県情報システム工業会は7月16日から17日に「第36回いしかわ情報システムフェア『e-messe kanazawa 2021』」を、石川県産業展示館で開催する。
“人をつなげる 夢につながる 未来のためのICT”をテーマに最新のICT(情報通信技術)、IoT・AIや5Gなどの先端ビジネスソリューションの展示を行う。ドローンショーイベントやセミナーを実施するほか、「Kanazawa eスポーツエキスポ2021」「WRO Japan2021 石川地区予選」などを同時開催する。
バーチャル展示会も予定しており、会期は7月16日から8月31日まで。

■開催概要
第36回いしかわ情報システムフェア「e-messe kanazawa 2021」
会期:年7月16日(金)~17日(土) 10:00~17:00 入場無料
会場:石川県産業展示館 3号館

前回開催のようす
前回開催のようす

今週の展示会スケジュール(7/12~7/18)

7/12~7/18 開催の展示会

▽石川

7月16日(金)~17日(土)
石川県産業展示館
e-messe kanazawa 2021
https://www.e-messe.jp/

▽愛知

7月14日(水)~15日(木)
ポートメッセなごや
FABEX中部
・ファベックス中部2021
・中部デザート・スイーツ&ベーカリー展
http://chubu.fabex.jp/

7月14日(水)~15日(木)
ポートメッセなごや
東海スーパーマーケットビジネスフェア
http://supermarket.nagoya/

7月14日(水)~16日(金)
Aichi Sky Expo
施設園芸・植物工場展2021
https://www.gpec.jp/

7月14日(水)~16日(金)
Aichi Sky Expo
スマートアグリ ジャパン
https://www.gpec.jp/saj/

▽大阪

7月14日(水)~16日(金)
インテックス大阪
メンテナンス・レジリエンスOSAKA
・工作機械の予知保全・メンテナンス特集
・第45回プラントメンテナンスショー
・第10回非破壊評価総合展
・第3回再資源化・産業廃棄物処理・解体技術展
・第13回インフラ検査・維持管理展
・第6回建設資材展
・第5回i-Construction推進展
・土木・建設業向け AI/IoT/5G/システム/ツール特集
・第1回地盤改良展
・BIM/CIM推進ツール展
・第8回事前防災・減災対策推進展
・第7回無電柱化推進展

第13回生産システム見える化展
第4回自動化・省人化ロボット展
https://www.jma.or.jp/mente/osaka/index.html

第2回 関西労働安全衛生展
https://www.jma-oshej.com/outline/kansai.html

第3回関西猛暑対策展
https://www.jma-stt.com/

第1回騒音・振動対策展
https://www.noise-reduction-expo.com/

7月14日(水)~16日(金)
インテックス大阪
第13回 ホテル・レストラン・ショー & FOODEX JAPAN in 関西 2021
https://www.jma.or.jp/hoteres-osaka/

7月15日(木)~16日(金)
コングレコンベンションセンター
Super City/Smart City OSAKA
https://www.supercitysmartcity.com/

 

【PR】7/21にWebセミナー「オンライン展示会の実力徹底解説」をシステムズナカシマが開催

オンライン展示会作成ツール「WebEXPO Master」を開発・販売しているシステムズナカシマ7月21日(水)に、オンライン展示会の実力と、そのメリット・デメリットを紹介するWebセミナーを開催する。

参加申し込みは、システムズナカシマのホームページから。

 

「オンライン展示会の実力徹底解説セミナー」 7月21日(水)

セッション① 14:00~14:20

「オンライン展示会が持つ本当の実力とメリット・デメリット」

リアル展示会とオンライン展示会の主催、出展の双方を経験してきた当社だからこそわかる、オンライン展示会の実力と双方のメリット・デメリットを伝える。

講演者:株式会社システムズナカシマ 須藤 隆

セッション② 14:20~14:50

「オンライン展示会作成ツール『WebEXPO Master』の紹介」

CMS(コンテンツマネジメントシステム)で指定された文字以内、指定ファイルの重さの画像や動画データをアップロードするだけで、簡単にオンライン展示会を作成できるツールを紹介。

講演者:株式会社システムズナカシマ 細井 美香

セッション③ 14:50~15:10

「見込み客獲得!マーケティングオートメーションツール『Markefan』の紹介」

普段使わないような難しい機能は極力排除し、 シンプルな機能設計 で、初めての人でも使いやすい操作性を実現したマーケティングオートメーションツール。名刺リストやCRMなどにある見込顧客へ、マーケティング活動が直ぐに開始できる。

講演者:株式会社G2Agent 代表取締役社長 後藤 大輔 氏

セッション④ 15:10~15:30  

「製品を可視化できるARサービス『MakerPark』の紹介」

スマホがあればどこでも商品を試し置きできる無限の可能性を秘めた営業ツール。サイズの再現率は99.9%、製品を置きたい場所に合わせて確認可能。WebEXPO MasterのブースにQRコードを掲載して、リアルな製品紹介を実現。

講演者:長谷川工業株式会社 舌津 良介 氏

【座談会】新型コロナがもたらしたイベント映像の環境変化と問われる対応力

<配信会場>光和本社(東京・江東区)

日本映像機材レンタル協会(JVRA)はこのほど、会員同士のパネルディスカッションを実施した。コロナ禍でイベント開催のあり方が模索される中、今回のパネルディスカッションはリアルとリモートの出演者で構成。協会内でも関心が集まる①配信業務の実情、②バーチャル撮影とxR、③IPスイッチャーをテーマに各社が持論を展開した。


<出演者>
西雄基氏(光和)、石丸隆氏(シーマ)、菊地利之氏(ヒビノ)
占部吉直氏(光響社)、田上春晃氏(西日本シネ用品)、渡辺誓氏(コセキ)
新井正紀氏(シネ・フォーカス)、松原英明氏(映像センター)、原伸一氏(レイ)


 

増加傾向にある配信イベント

西 最近は各社さん、配信の仕事が圧倒的に増えてきたと思いますが、皆さんの近況はいかがでしょうか。

石丸 コロナ前は配信の仕事をやっていた記憶はあまりないですよね。コロナ禍で急に配信の仕事が増え、会員企業も機材をどんどん導入しています。会員の中には未だかつてないほど仕事が増えた会社もあるようです。

菊地 やはり「Zoom」「Microsoft Teams」の力が大きかったと言えますね。

石丸 実はコロナ禍に関係なく成長市場ではありました。「YouTube」を軸にストリーミング配信は結構あったので。ただ従来のわれわれの仕事は大型映像やローカルな環境で完結していたため、あまり注力していなかったのですが、コロナ禍で加速度的に仕事が増えてきた。おそらくこれからもこのマーケットは大きくなっていくのでしょうね。

西 最近はリアルなイベントの動員数を減らして、配信も行うハイブリッド形式が選ばれることも増えました。今後はどちらかが無くなるというより、両方一緒に運用していく気がします。

 

顕著な世代間ギャップ

石丸 ある配信サービスの利用者属性を調べてみると、その内訳は「視聴のみ」が約60%、「配信も視聴も行う」が約30%、「配信のみ」が約10%だそうです。さらに年代別で見てみると「視聴のみ」の60%のうち、ほとんどが30代以下の若年層。逆に30代以上は、配信している割合が多いという結果が出ています。つまり情報発信する人と受け取る人が世代によってはっきり分かれていると言えます。これも日々変化していく割合ではあります。

菊地 コロナ前と後でこの業界を志望する、若い世代の「映像」の捉え方が変わってきていることは実感しています。以前はリアルライブに大きな魅力を感じて当社を志望する人が多かったのですが、いま新卒面接をする中で、配信ライブの演出における映像演出に関わりたいという若者が多くなったと感じます。しかしまさしくその通りで、コロナよるリアルライブの自粛という社会現象は結果的に、映像演出の可能性を広げたと言っていいと思います。

西 入社面接時の自己アピールになっているということですか。確かに、新しい仕事の種類が増えてきていますからね。これまでのようにハードウェアを使いこなしてお金を稼ぐだけではなく、多角的に仕事を捉えてビジネスを広げなければなりません。

左から西氏、石丸氏、菊地氏

バーチャル撮影とxR

西 バーチャル配信やxR撮影スタジオについてはいかがでしょう。最近は国内外でも盛り上がっています。

菊地 AR・VR・MR・SRなどの総称がxRですが、それぞれの技術の境界線が見えなくなってきていることは、われわれの視点から見てもそう思います。また、xRは言わば「“存在しない空間”に“存在しないもの”をいかにリアルにカメラ内で表現するか」という技術なので、ある意味、突き詰めるほど地味になっていくものでもあります。自然に見える背景が実はバーチャルだったり。それを作り出すのがわれわれの仕事になってきています。
コロナ禍で配信ライブが主流になってきた頃、アーティストから「ただ配信ライブをやるだけでは面白くないので、見ごたえのある映像をつくりたい」という要望が多くありました。その経験の中で当社では、カメラトラッキングシステム「RedSpy(レッドスパイ)」がxRの演出を実施する上で重要な役割を担っています。

西 使用するカメラはどんな機種でもいいんですか。

菊地 レンズは専用のものを使用しますが、カメラは何でも構いません。ただしキャリブレーション(調整)済みのカメラで行うのが一番いいです。

西 仮設で設営するんですよね。メディアサーバー側とカメラのキャリブレーションの時間が結構必要になるのではありませんか。

菊地 当社の場合ですと、メディアサーバーは「disguise(ディスガイズ)」を使用しています。ディスガイズとレッドスパイの親和性が非常に高かったため、ディスガイズ側でキャリブレーションする事が可能です。ですので、当社のシステムではキャリブレーションは短時間で行う事ができます。

西 ところで最近、ヒビノさんは新しい撮影スタジオを開設したと聞きました。xR配信を実施する上で、何ミリピッチのLEDディスプレイを選択したのでしょうか。

菊地 当社のスタジオ「Hibino VFX Studio」は、背景として使用する撮影エリア正面のLEDディスプレイに、1.5mmピッチの「Flip Chip LED」を用いています。グリーンバックと比較してLEDディスプレイを使うことは臨場感が圧倒的に違うため、映画やドラマ撮影でも需要が高まっています。配信ライブでも視聴している人に向けたエフェクトを付加価値として提供するケースが増えています。

 

IPスイッチャーの展望

西 IP系スイッチャーの今後については、どのように捉えていますか。今回のパネルディスカッションでも使用している「TriCaster(トライキャスター)」のほかに各社から新製品は出てきています。

石丸 従来、我々の仕事は、比較的「密」になる要素が多いものでした。そういった視点で考えると、インターネット網を活用することで、今までと変わらないオペレーションが遠隔地からでもできるようになります。そのような環境がいずれ訪れる、のではなく、すぐ目の前にある状態と言えます。
スイッチャーにおいては、他の機械とのコネクトの仕方が今までのものと根本的に異なっているので、一度IPの世界に入って慣れてしまうとおそらく元の世界には戻れない。
各種信号の出し入れの概念を僕らも見直し、概念の取捨選択をしていかなければならないでしょう。
また、よく経験があると思いますが、展示会の現場でメディアサーバーなどの送出機器を使う際、映像コンテンツをUSBで持ってくることがありますよね。大きな容量のものを。それを普通に取り込むと時間がかかりますが、IP系のスイッチャーを使うことで、例えばコンテンツ制作会社の編集ルームとアサインできれば、直接情報を流してもらうこともできます。

西 今はまだインフラの問題があって、安定した回線を確保するのが難しいと感じています。

石丸 そうですね。ただ、インフラが整備された後になって初めてわれわれがIP系商材のアプローチをしても、結局遅れてしまう。少し使いづらくても、今のうちにトライアルしていくことが大事だと思います。クラウドとの連携はわれわれのビジネス拡大の可能性を秘めており、非常に夢のあるシステム。コロナが収束しても、高付加価値なサービスを提供していく上でIP系スイッチャーは欠かせないものであると考えています。