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【体験レポート】丹青社の若手社員が中心となり作り上げた「超文化祭2024」

商業施設やオフィス、ホテル、イベントなどの空間づくりを行う丹青社は2024年11月27日から29日まで、空間演出技術の研究開発・実証拠点「港南ラボ マークスリー[Mk_3]」で、若手社員が中心となった“自主実践プロジェクト”の研究活動成果を発表するイベント『超文化祭2024』を開催した。その体験レポートをお届けする。

おもてなし×AR『Welcome to Mk_3-うぇからぼ-』

会場に着き、最初に体験したのがおもてなし×AR『Welcome to Mk_3-うぇからぼ-』だ。ARアプリを起動して会場の入口にカメラを向けると、CMIセンターのオリジナルキャラクターであるイグアナの「いぐっち」が花火と共に盛大に出迎えてくれた。それに導かれるようにしてエレベーターで2階へと移動すると、メイン会場のエントランスでは先ほどのいぐっち(いつの間に先回り?)に加え、同じくCMIセンターオリジナルキャラクターで猫の「カミール」、蛾の「もるるん」がカラフルな装飾と共に歓迎してくれた。ちなみにこの3匹のキャラクターの頭文字はつなげると「CMI」になるという、なかなかニクいネーミングだ。個人的に好きな造形のキャラクターだったのでグッズはないのかと聞いたところ、現時点では販売されていないとのこと。残念。

会場入口で出迎えてくれるイグアナの「いぐっち」
メイン会場エントランスでは3匹のキャラクターがお出迎え
個人的にグッズ化を希望

指文字×AR『見つけて!YU-MO』

メイン会場でまず体験したのは、指文字×AR『見つけて!YU-MO』だ。ARを使った聴覚障がい者の日常を疑似体験できるコンテンツとなっており、企画・キャラクターデザインからiPadアプリとARシステム構築まですべて丹青社の社員が手掛けた。はじめにヘッドホンを装着すると、ノイズが流れ、外界の音はすべてシャットダウンされる。その状態のまま指文字が描かれた台座の前に移動しiPadを向けると、ARを使った動画が映し出される。台座に描かれた指文字をヒントに、その動画が表しているものが何かを回答し、次の台座へと向かう。最終的にすべての回答をつなげ、正解のキーワードを答えられると景品がもらえるといった内容だ。ちなみに筆者(謎解きにはちょっと自信あり)は途中の回答をミスったため意味不明なワードができてしまい焦りに焦ったが、ラスト1分くらいで突如ひらめき、ギリギリ正解することができた。なかなかの難易度だったと思う。

ヘッドホンを装着前にレクチャーが行われる
『見つけて!YU-MO』のARに登場する個性豊かなキャラクターたち

記念写真撮影『一緒に決めポーズ』

続いて、記念写真撮影『一緒に決めポーズ』を体験した。超文化祭2024限定のデザイン枠3種から好きなデザイン1つを選んで記念撮影し、印刷されたQRコードを読み込むと撮影した画像をDLできるというもの。パナソニック システムデザイン協力のもと、丹青社がフレームデザインを行った。通常の記念写真と違いQRコードを使用しているため、好きなタイミングでDLできるのが現代的だと感じた。また、DL用のQRコードの下には宣伝用のQRコードも表示されており、広告枠として使うことも想定された設計になっているという。

デザイン選択画面。『見つけて!YU-MO』のキャラクターたちも

没入映像×センサー『未来の遠隔検査システム テレプレくん』

次に体験したのが、没入映像×センサー『未来の遠隔検査システム テレプレくん』。複数のプロジェクターを組み合わせ、壁と床の2面に映像を投影することで没入感のあるコンテンツに仕上げた。未来の検査ドローンであるテレプレくんを遠隔操作し、引渡し前のカフェの検査と遠隔塗装補修を行うという丹青社らしいストーリーも面白い。投影システムにはUnityを使っており、ハイクオリティの映像は迫力満点。ドローンで品川の街を滑空していくシーンではちょっとしたジェットコースター気分も味わえた。遠隔塗装補修のシーンはゲーム仕立てとなっており、コントローラーを使って自分のペンキを他の人よりたくさん塗った方が勝ちという某イカゲーのような内容で、ゲーム好きの筆者が大人げなく全力を出し1位をもぎ取ったのは言うまでもない。

映像はドローンが丹青社(本社)から現場に向かうところから始まる
未来のカフェ引渡し前の塗装補修はゲーム形式で行われる
今回のために作られたテレプレくんの模型。光っているのはLEDではなく塗料によるもの

生成AI『Create Hobby World-もうひとりの私達-』

続いて体験した生成AI『Create Hobby World-もうひとりの私達-』は、タブレットで質問に回答することで、AIが「もうひとりの自分」を表現した動くアバターを生成してくれるというもの。制作には映像会社のレイが協力した。筆者は「あなたを表現する色」をコバルトブルー、「あなたが憧れるもの」を忍者、「あなたが好きなもの」を犬と回答したところ、アメコミに出てきそうな青い忍び装束に赤い犬の面を付けためちゃくちゃカッコいいアバターが誕生したので、「いぬにん」と命名した。これがもうひとりの自分だとしたら最高にクール!ちなみにこのアバターは大型Lモニターに映し出された「ワールド」に転送することで、自分の前に生成された他のアバターと一緒になって動き出す仕組みで、その動き方にも個性があり思わず「おおっ!」と声をあげてしまうユニークさだった。(AIにおける著作権の問題があるためアバターをきちんと記事で紹介できないのが残念だ……)

どんなアバターが生成されるのか、ドキドキの瞬間
めっちゃカッコいいアバターができました(※写真はモザイク処理を行っています)

参加型メディアアート『だれでも☆アイドル』

最後は参加型メディアアート『だれでも☆アイドル』を体験した。アイドル衣装や小物が用意されており、それを身に着けグリーンバックの前に立つ。スタッフから「はい、ここで決めポーズ!」といった指示が出されるので、それに応じてポーズを取っていく。すべての撮影が終わると、ものの1~2分で自分がアイドルになったようなショートムービーが生成される。そして、次の体験者がアイドルになると、自分はそのファンとなってムービーに登場する。それが延々と連なり、1つのコンテンツとなっていく仕組みとなっていた。プランニングと配信システム構築を丹青社が行い、システム開発はメディアアート作品を得意とするGRINDER-MANが協力した。

グリーンバックでの撮影。アイドルに成りきるためスタッフが盛り上げてくれる
連なっていく生成ショートムービー(※写真はぼかし処理を行っています)

すべてのコンテンツを終え……

すべてのコンテンツを体験し、プリントアウトされたステッカーやノベルティなど、たくさんのお土産を抱えて会場を後にした。体験したコンテンツはどれも若手社員が中心となって制作したとあって、感性を刺激されるものばかりだった。また、商業ベースではなく実験的なコンテンツだからこそ実現できるような内容のものもあり、自由な発想と最新技術が組み合わさることで、これからの時代を彩るような革新的なコンテンツが生み出されるのだと改めて感じた。……などと言っていると本当に締めのようだが、実はまだあり、帰り道の丹青社本社に至る道でいぐっちたちがお見送りをしてくれたのだ。AR越しに品川の空には「ありがとう」というメッセージが記されており、最後まで何とも心温まるイベントなのであった。

こちらこそ「ありがとう!」

【レポート】「SEMICON Japan 2024」が東京ビッグサイトで開催

12月11日〜13日、東京ビッグサイトにて「SEMICON Japan 2024」が開催された。

同展は、半導体産業における製造技術、装置、材料をはじめ、車やIoT機器などのSMARTアプリケーションまでをカバーする、エレクトロニクス製造の国際展示会。

主催はSEMIジャパンで、半導体パッケージング、基板実装分野のトッププレイヤーが集結する「Advanced Packaging and Chiplet Summit(APCS)」も同時開催された。

来場者の合計は102,987人だった。 (2023年は85,282人)

今週の展示会スケジュール(12/16~12/22)

▽東京
12/19(木)~12/20(金)
東京ビッグサイト
WOODコレクション2024 Plus

▽大阪
12/18(水)~12/19(木)
コングレコンベンションセンター
Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2024 in 関西

▽福岡
12/17(火)~12/19(木)
マリンメッセ福岡
SPORTEC Fukuoka2024

【レポート】「中小企業 新ものづくり・新サービス展」東京ビッグサイトで開催

2024年12月4日(水)から6日(金)にかけての3日間、東京ビッグサイト東7~8ホールで全国中小企業団体中央会が主催する「中小企業 新ものづくり・新サービス展」が開催された。

同展は「ものづくり補助事業」に取り組んだ全国の中小企業が新たに開発した製品・サービス・技術等と、それをビジネスに活用したい人をつなぐための展示商談会。中小企業基盤整備機構の中小企業生産性革命推進事業の一環として開催している。

会期中は全国から約500社の中小企業が出展。「情報・通信」「医療・生活・ヘルスケア」「物流・ サービス・その他」「電機・電子部品」「環境・建設・エネルギー」「農林水産・食品」「化学・繊維・紙」「機械・部品」の8分野で自社の製品やサービスの提案を行った。

京都府の鳥本製畳はフローリングに代わる次世代の床材を出展。畳の心地よさを高性能素材で実現しており、高いクッション性と安定性を備え、傷つきにくく部分取り換えが可能な点が特徴となっている。

鳥本製畳の床材

佐賀県の光武酒造場はジャパニーズジン「赤鳥居」を展示。元禄元年(1688年)から受け継がれる酒蔵の伝統技法で醸された日本酒(大吟醸)がベースとなっており、芳醇な口当たりと、ジンらしい爽やかな香りが特徴。

光武酒造場のジャパニーズジン「赤鳥居」

福岡県の龍宮は脱脂綿とガーゼを用いた清潔寝具「パシーマ」を展示。肌に優しく丈夫で乾きやすく、夏は涼しく冬は暖かいという優れもの。これまで第6回「ものづくり日本大賞」の九州経済産業局長賞などを受賞している。

龍宮の寝具「パシーマ」

 

 

 

 

 

 

 

【対談】展示会ビジネスの魅力と未来① 堀正人 × 管埜寛之

マーケティングの代表格である「展示会」は、どのような役割を担い、なぜ必要なのか。この根本的な問いに対して、長年にわたり展示会ビジネスを手掛けてきた堀氏と管埜氏が対談を通じて思いを語る。展示会ビジネスの魅力とは何か、未来の展示会とはどのような姿なのだろうかを問う。(聞き手=池上龍朗)

※本記事は展示会専門紙『見本市展示会通信』に掲載した内容を編集したものです。

 

展示会との出会い

ーーまず、最初にお二人の展示会との出会いについて伺いたいです。どのようにして展示会と出会ったのですか?

管埜 私の場合、展示会に強く惹かれたのは海外の展示会がきっかけです。音楽雑誌に関わっていたときに、ドイツの「Musik Messe」やアメリカの「NAMM Show」という大きな楽器展示会に出向きました。これが「自分もこんなビジネスの世界に入りたい」と思った大きな動機でした。
それまで展示会というものを強く意識したことはなかったんですが、いろんな会社の人が集まっていて、製品を売る人、買う人、そして支える人が一堂に会して、業界全体が見えるような場所だと感じたんです。

管埜 寛之 氏

ーー管埜さんが業界に入った頃、展示会はどのような時代だったのでしょうか? 

管埜 具体的に言うと、1980年代前半ですね。その頃、東京モーターショーのような、日本風の展示会がすでに存在していたことは後から知りました。ただ、その時はそれほど真剣に見ていたわけではありません。おそらくその頃、民間の主催者は少なかったのではないかと思います。
例えば、展示会って業界団体や日本経済新聞社、日本工業新聞、日刊工業新聞といった大きな公的な機関が主催するイベントというイメージが強かったですね。

ーー堀さんの場合はどのような出会いだったのでしょうか?

堀 私はもともと広告会社にいました。広告会社で展示会というものを見てきましたが、広告のゴールはブランドビルディングやイメージの構築です。その中で、展示会に興味を持った理由は「費用対効果」がはっきり見える点でした。
広告の目的は購買につなげることですが、展示会は商談を通じて購買に直結するところが面白いなと。特にB to Bの分野では、確実に購買に結びつく手段として展示会が有効だと感じたんです。例えば、B to Cの商品とは異なり、B to Bでもリアルな購買の場として展示会は魅力的でした。広告業界はB to Cに強いですが、展示会業界も別な意味で非常に魅力的だと気づいたのです。
広告業界は約7兆円規模のビジネスで約15万人が働いていますが、展示会業界はまだまだ規模が小さいです。ただ、その魅力は非常に大きいと感じました。広告業界で働きながら、展示会の可能性を見出したのが、私の出会いでした。

堀 正人 氏

ーーすごくわかります。新しいビジネスモデルに携わる楽しさが伝わりますね。

 展示会の魅力は、ゼロから自分のアイディアでビジネスを創れることですね。既存の商品に何かをプラスするのではなく、完全に自分の発想からスタートできるのが大きな魅力です。

管埜 いわば「メーカー型ビジネス」ですよね。ソニーのようにイノベーションを重視して新しいものを生み出す発想に近いと思います。受注型のイベントやコンベンションが多い中、ゼロから商品を開発して価格なども設定する経験は、なかなか得られないものですよね。

 同感です。会社の中でも「作業」「仕事」「ビジネス」と3つの段階があると思います。そのうちの「作業」は指示されたことをこなすだけ、「仕事」は決められた役割を果たすこと。でも、「ビジネス」はゼロから作るものです。展示会にはその「ビジネスを作る」魅力があるのですよね。

 

展示会というビジネスモデル

ーーなるほど。では次に展示会のビジネスモデルについて、昔と今、そして未来をどう見ているか、少し話を聞かせてください。私がこの業界に入ったのは20年くらい前で、当時は社団法人系の展示会が主流でした。でも、アメリカに行ったら全然違う展示会の姿があって。お二人がその変化をどう感じているのかにも興味があります。

管埜 私は出版業界も経験してから展示会業界に移ったんですが、展示会ビジネスで特に良いと思ったのは「お金が先に入ってくるビジネスモデル」だということが大きな驚きでした。
ご承知のように、いわゆるキャッシュフローが前受けなんです。
こういうモデルですから私が以前経営していた会社でも、幸いにも銀行から借金したことはありませんでした(笑)。展示会ビジネスは、キャッシュフローの面でも実に珍しいビジネスだと思います。

堀 よく海外のビジネスマンから「日本の展示会はビジネスを追求していく手段としては、甘い」とか、「ただの大人の遊園地みたいなものだ」って言われることがあるんです。でも、日本の展示会にはまだまだ成長の余地がありますよね。商談やROI(投資収益率)をもっと追求していかなければならないと思います。

管埜 そうですね、そして、その機能をもっとわかりやすく説明することが大切です。

堀 そういう意味では、やはりもっと仕入れや購買の場としての展示会を目指すべきだと思います。商談が契約に結びつくような仕組みを作ることが重要です。
その業界内に展示会が一つしかなければ、それでもいいかもしれませんが、競合する展示会がある場合は、商談がしっかりと「見える化」されていることがより求められます。商談を契約に繋げるためには、質の高いリードが必要だからです。
さらには、サステナビリティに対応していない展示会はこれからの時代には通用しません。サステナブルで、安全・安心な展示会を目指さないといけないと思います。さらには事前マッチングを行い、どの企業がどのくらいの規模で購買をするのかを明確にしておくことが求められます。

ーーそうした機能をもっと強化していくべきですね。

堀 来場者数の管理も重要ですが、もっと先を見据えた対応が必要です。

管埜 また、展示会場内でのリアルタイム・データも活用できるようにしていくべきですね。

堀 そうすることで、出展者にとっても魅力的な展示会になると思います。リアルな出会いから生まれる真剣な商談の場を提供することが大切です。AIやIT技術を活用して、さらに魅力的な展示会を作り上げることが求められていますから。
展示会でのマッチングもAIでより効率化できるようになるんじゃないかと感じています。

管埜 そうですね、AIの役割が増えてきますし、DX(デジタルトランスフォーメーション)も進んでいますからね。

堀 たとえばアメリカの展示会は本気でビジネスに直結するように取り組んでいるのに、日本はまだそうではないんですよ。来場者にお金を払ってまで参加をお願いする、つまり「招待バイヤーとして来てくれ」とお願いするのは本当にすごいと思います。未来を見据えた考え方ですよね。

管埜 登録の話の続きになるのですが、アメリカの展示会では、出展者も全員レジストレーションしています。日本ではまだ一般的ではないですが。
というのは、出展者同士のマッチングも行われるからです。そのため、来場者も出展者も、誰が来ているのかをしっかり把握する必要があります。「出展者と来場者」「出展者と出展者」に同じレベルの商談の可能性を見据えているわけです。

堀 確かに、出展者同士のマッチングによりビジネスがスタートすることも多いですからね。

管埜 1997年に「COMDEX Japan」を開催した際、アメリカ風の来場事前登録手法をそのまま導入するよう米国本社から要請されました。当時、まだEメールが普及しておらず、FAXで事前登録を行いましたが、その登録用紙が2万件も届いたんです(笑)。というのも、事前登録しない場合は5000円の参加費を頂きますよと告知したからでした。
先ほどのお話につながりますが、出展者に対しても同様に登録をおねがいしました。ですが、「なんでそんなことが必要なんだ」と猛反対を受けました。意識の違いを痛感しましたね。
商談を最大限に活かすためには、そうした可能性も視野に入れて教育していかないと、なかなか理解が進まないところがありますね。数年かけて少しずつ理解を得ましたが、やはり難しい面もありますね。こういうことからも出展者側にレジスター(登録)を義務付けている国内展示会はまだあまり見かけないですね。

堀 実は私は、展示会や商談会に、新しい名称を付けたいと考えているんです。「展示会」という名称が少し古めかしく感じられるので、「新しい価値を持ったビジネスマッチング・イノベーションを起こす場」というような言葉を作りたい。
アメリカでは「テーブル」などという言葉で商談を指すことがあるそうですが、私たちもそれに相当する言葉が必要だと考えます。リコーの「リコピー」が「コピー」という商標がジェネリックな言葉になったように、日本の展示会を表す適当な新しい言葉があってもいいかもしれません。商談の重要性を強調するためにも、メディアとしての展示会の新たな名称を模索したいですね。

管埜 素晴らしい考えだと思います。同感です。

堀 ぜひ真剣に考えてみたいと思います。確率論の問題として、来場者数が増えれば増えるほどマッチングの可能性も上がります。ぜひ一緒に新しい名称を考えましょう。展示会に代わる言葉がないのは少しもったいない気がしています。

 

展示会の呼び名、現在ではどう変化?

管埜 ところで、現在言葉として「展示会」と「見本市」という2つの呼び名が国内ではあるわけですが、現在どちらが多く使われているのでしょうか?

ーー現在は「展示会」の方が多いです。「見本市」という漢字だと、「市(いち)」という言葉を若い世代が読めないこともあるようです。「みほんし?」となったり(笑)。

管埜 そうなんですね。それは驚きです。

ーーすごくショックですよね。衝撃でした。一方で、出展者がデジタル化や見える化を求めている背景があるのか、それともお二人は主催者としての義務としてそのように進めていくべきだと感じているのか。あるいは、業界としてそうあるべき、どちらでしょう?

堀 今はDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んで、例えばラーメン店でも無人ロボットが導入されている時代です。展示会も業種に合わせて変わっていく必要がありますよね。
あと、もう一つ思うのは、日本は島国で内需型のビジネスとしての位置づけですので、展示会も海外をあまり意識していなかったんです。業界団体が国内マーケットだけを対象にしてきたため、そこが展示会の限界になっているのかもしれません。

管埜 確かに、一般的に業界団体主催の展示会はその業界の活性化が目的で、来場者も限られていますよね。でも、民間の主催者が関わると、もっと広い層を対象にしたビジネスとしての展示会ができる可能性が高まると思います。

堀 その通りです。業界団体だけでは限界があるので、民間の主催者と協力して間口を広げる動きもあります。ただ、まだ日本ではそういった取り組みの可能性がまだたくさんありますね。
IT業界の展示会などでは、先進的な取り組みも増えてきましたが、多くの業界では「商売優先」で保守的なところが多いです。とはいえ競争がある以上、主催者は一歩先を見据えた効率化やサステナビリティ、IT・AIの活用を進めなければなりません。

管埜 そのためにはさまざまな面で政府のサポートが必要だと思いますが、日本ではまだ変化を進めにくい点があります。なぜ日本ではこのような状況なのか考えるべきでしょう。やはり費用の負担が問題なのでしょうか?

堀 確かにサステナビリティの推進には費用がかかります。そして、それを誰が負担するのかが課題です。国や会場が負担するのか、主催者や出展者、あるいは来場者が負担するのか明確でないため、実現の速度については難しいと思います。ただ、実態としては主催者が負担しています。

管埜 現実的には、主催者が負担するしか選択肢がないというのが厳しいところですね。

堀 日本では優等生的な姿勢でサステナビリティを進める傾向がありますが、責任を持つ主体が必要です。私個人としての一つのアイデアは、会場が主導権を持つという考えです。会場側が基準を設定すれば、主催ごとのばらつきも減るでしょう。
会場を利用するなら、主催者は会場の一定の安全基準やサステナビリティ条件に従うことが必要で、費用が高くてもそれらを守ることになります。海外では、主催者がその役割を担って増加分の費用を負担しているケースが多いです。例えば、ドイツでは展示会場を所有している主催者が多く、その分フレキシブルな運用がやりやすくなっているようです。

管埜 日本の政策は一般的にガイドラインのみを作成してあとは業界に任せることが多く、資金援助はあまりありません。しかし、他の国(タイ、韓国など)では政府が資金を提供している場合もあるようです。

 

ビジネスマッチング機会の重要性

ーーコストとバランスの問題もありますが、ビジネスマッチングの可能性をどのように高めるかって大事だと思います。お二人はどのように考え、将来的には展示会をどうしていきたいと考えているかをお聞かせいただきたい。

堀 展示会で一番の成果物といえば「商談」、つまり「リード(見込み顧客)」を得ることだと思います。リードの獲得、つまり商談のROI(投資利益率)を高めるのが重要ですね。展示会では来場者や出展者が相互にリードを見つけられる場所でもありますし、これをどう最大化するかがポイントです。
理想的には、展示会で「商談」を超えて「成約」まで至れる場にしたいですね。つまり「リード獲得、プラス、顧客獲得」が目標です。

管埜 そうなると、展示会がビジネスマッチングの場としてさらに進化することになりますね。

堀 その通りです。展示会の運営には「逆商談」というもうひとつの商談の機会もあって、例えば普段なかなか会えないバイヤーに出展者が直接話しかける場を設けたりします。ここでのマッチングはAIを活用して効率化することで、商談の精度が上がります。
購買仕入れ会を設けるのも一案ですね。出展者が来年の展示会でどれだけの商談を見込むかを予測することで、展示会全体の価値が高まります。
また、展示会の良さは「偶然の出会い」にもありますね。予想外の出会いが商談につながることもあります。リアルな場だからこそ、予期せぬ人と会える驚きが展示会の魅力の一つだと思います。

管埜 それも一つの方法ですね。たとえば、コンベンション業界の展示会だと、アメリカやヨーロッパで開催されている「IMEX」ってイベントが面白いですよ。イギリスの民間企業が主催しているもので、事前にバイヤーと出展者がオンラインで当日のアポイントを取れる仕組みが整っています。
展示会の数週間前に「どんな企業や人と会いたいか」を出展者と来場者がそれぞれ登録しておきます。それによって、会場に行ったときには商談のスケジュールがすでに組まれているんです。

堀 商談一つが出展料よりも価値があるってすごいですね!

管埜 出展者が事前にどんな人と商談できるかがわかるので、展示会に行く意義とモチベーションがより高まるんです。それに、重要なバイヤーには主催者が旅費を負担して招待することもあるそうですよ。

堀 なるほど、面白いですね!

管埜 堀さんが先ほどおっしゃっておられたように、バイヤーを招待するには、それなりの売上が期待できる商談ができることが前提ですから。

堀 トルコのある展示会では、主催者が質の高い価値のある展示会を目指し、「参加すべき優良な出展者」を選んでいるそうです。 通常は誰でも出展できますが、ここでは業界の上位企業が出展すべきだと、主催者がこだわって選んでいるらしいです。

ーー全員が平等に参加するのは難しいですね。やはり企業の規模や費用のかけ方で違いが出ます。

堀 はい。展示会でのビジネスマッチングには3通りあって、ブースでの出会いと逆商談、そしてオンライン商談の補完があると良いと思います。特に来場できない人にもオンラインで商談の機会を提供すると良いでしょう。

管埜 そう、リアルな展示会の会期はたった2~3日間だけですからね。

堀 さらに展示会後にも例えば一定期間にテストマーケティングをできる場、販路の「出口」があると良いですね。例えば、展示会後に百貨店などで商品販売を試せるようにすれば、その展示会の「価値」が上がります。海外の展示会ではこういった「出口」があるのが魅力的ですね。
展示会主催者は、商談の場を増やす努力をしないといけないと思います。リードを獲得するだけでなく、商談を成立させる場を提供することが大切です。
また、一つのアイデアですが、日本でも出展者協会のようなものがあると良いんじゃないかとも考えています。その出展者協会が展示会業界へ物申すことで、業界がもっと襟を正し公正化され、より高度化・活性化されるかもしれません。

管埜 そうですね。そういうプレッシャーも必要かもしれません。展示会の持つ役割やメリットが伝わりきっていないのもあるでしょうね。

堀 同感です。「展示会」が産業やビジネスに与える影響をもっと伝えるべきですね。

(②に続く)

屋外イベント会場で「Honda F1走行」の開催が決定 東京オートサロン2025

東京オートサロン事務局(東京都新宿区)は1月10日から12日までの3日間、幕張メッセで世界最大級のカスタムカーと関連製品の展示会「東京オートサロン2025」を開催する。

43回目を迎える今回は388社が出展し、851台の車両が展示される(12月10日現在)。屋外会場では11日に「auto sport 60周年 & as-web 20周年記念 Honda F1走行」が開催されることが決定した。車両は「Honda RA272」と「マクラーレンHonda MP4/5」の2台。Honda RA272は60年前の1965年にHondaが記念すべきF1初優勝を挙げたマシン。佐藤琢磨選手がステアリングを握り、貴重なデモランを披露する。一方、1989年のF1世界選手権で16戦10勝を記録し、ドライバーズ、コンストラクターズのダブルタイトルを獲得したマクラーレンHonda MP4/5はエンジン始動を行い、名車のエンジン音を全身で堪能することができる。

毎年人気のスペシャルライブのラインアップも発表された。11日にはhitomi、相川七瀬、島谷ひとみ、Rainyが登場。12日には田原俊彦、柏原芳恵、DJ KOO、芹澤優 feat.MOTSU、新浜レオンがステージを盛り上げる。

このほか国際会議場2階コンベンションホールでは、前回に引き続き「e-SPORT EXPERIENCE」を開催。人気のプロゲーマーやゲーム配信者、プロレーサーや各界のトップが集結し、リアルを超えたレース&バウトを繰り広げる。

会期中の来場者アンケート回答者に抽選で豪華賞品が当たる「アンケートプレゼント」の今回の特賞(1名)は、SUBARU提供の「LEVORG STI Sport R-Black Limited」となっている。

オートサロンTVでは会場に来ることのできない人に向けたライブ配信を実施。日本語と英語の同時解説で、世界中のクルマファンに生の興奮を届ける。

全面キャッシュレスを目指す大阪・関西万博「EXPO2025デジタルウォレット」最新情報が発表

デジタルウォレットを体験するはるな氏(左)と宮田氏(右)

2025年日本国際博覧会協会は2024年12月4日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)におけるEXPO2025デジタルウォレット(以下、デジタルウォレット)のバージョンアップおよび、「デジタルウォレットパーク」について発表した。

デジタルウォレットは初の全面キャッシュレス万博を目指す大阪・関西万博において、決済の中核を担うアプリ。クレジットカードや銀行口座からチャージして使える二次元コード決済型の電子マネー「ミャクペ!」のほか、会期前から大阪・関西万博関連イベントなどでポイントを貯めて景品との交換などが可能な「ミャクポ!」、さまざまなアクティビティで限定NFT(非代替性トークン)が入手できる「ミャクーン!」といった機能が搭載されている。

今回の発表では、デジタルウォレットの利用状況や大阪・関西万博関連イベントへの参加でステータスが上昇する「ミャクミャクリワードプログラム」の上位3ランクであるプラチナ、ダイアモンド、レジェンドがスタートすることが明らかとなった。ランクに応じて配布される抽選券を使うと、記念品やパビリオン特別入場権、大阪・関西万博シグネチャーパビリオンプロデューサーによるガイドツアー、イベント優先席などが抽選で当たる。

また、大阪・関西万博の会場内にデジタルウォレットの利用者だけが使える「デジタルウォレットパーク」を設置することも発表した。ここでしか体験できない特別なアクティビティを用意するという。

発表会では大阪・関西万博でテーマ事業プロデューサーを務める宮田裕章氏(慶應義塾大学 医学部教授)とスペシャルサポーターを務めるタレントのはるな愛氏がデジタルウォレットを体験。はるな氏はデジタルウォレットについて「大阪・関西万博にまだ関心のない人へのリーチとなる」として、機運醸成につながることを期待した。

2025年日本国際博覧会協会では大阪・関西万博を新しいデジタル世界の実証実験場と位置づけ、大阪・関西万博のレガシーとしてキャッシュレス社会の実現を目指す。

くるくるの食べるのがもったいないくらい可愛い「3Dデザインケーキ」(中小企業 新ものづくり・新サービス展)

静岡県沼津市にある洋菓子店くるくるは12月4日から6日までの3日間、東京ビッグサイトで開催されたものづくり補助事業展示商談会「中小企業 新ものづくり・新サービス展」(主催:
全国中小企業団体中央会)に、可愛らしい動物の「3Dデザインケーキ」を出展した。

ブースに設置されたショーケースの中にはクマやペンギン、イヌなどさまざまな動物が飾られていた。特筆すべきはその柔らかそうな毛並みで、一見するとまるでフワフワのぬいぐるみのように見える。

実はこのケーキ、3Dプリンタを使って型を取った後、職人が手作業で毛並みを入れるというこだわりの一品になっている。驚くほど精密できめ細かく、見る者を幸福な気持ちにするその外見は食べてしまうのがもったいないくらいだ。

店長の宇佐美さんによると、小さな子供のいる家庭などで特に人気の品となっているが、例えば犬を飼っている家庭ではあえて猫のケーキを買っていくなど、少しでも食べる抵抗感を減らす工夫などがされているそうだ。一度食べ始めれば味はお墨付きなのだが、最初の一口までがなかなか遠い、珍しいケーキと言えるだろう。

同店ではオリジナルケーキの作成も受け付けている。また、販売店および代理店を募集中。

アルプロンが美味しさにこだわりリニューアルしたプロテイン「アルプロン」(PROTEIN JAPAN 2024)

プロテイン・スポーツ栄養食品メーカーのアルプロンは11月27日から29日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「Wellness Tokyo 2024」内「PROTEIN JAPAN 2024」(主催:TSO International)に自社プロテインブランド「アルプロン」を出展した。

同社は同ブランドの主力製品群を2024年10月31日に完全リニューアル。タンパク質高含有に加え、味・コストパフォーマンス・厳選成分にこだわって開発した新シリーズは、ブランドカラーであるグリーンを基調にパッケージも一新した。

キャッチフレーズは、“毎日飲み続けたくなる、ご褒美級の美味しさ”だ。一食約30gあたり約20gのタンパク質高含有に加え、本当に必要な成分を厳選、泡立ちや粉っぽさを抑え14種類から選べる豊富なフレーバーを展開。開発に2年以上かけ、納得のいくおいしさ追求した。

フレーバーはダブルリッチチョコレート、ミックスベリー、ミルクココア、宇治抹茶、フレッシュストロベリー、生キャラメル、ロイヤルミルクティー、杏仁豆腐、リッチバナナなどを用意。これにより、毎日おいしく楽しく健康なからだ作りを行える。

Pocket RDの簡易アバター生成システム「AVATARIUM Portable」(産業交流展2024)

Pocket RDは11月20日から22日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された中小企業のビジネスチャンスを拡大する「産業交流展2024」(主催:産業交流展実行委員会)に、簡易アバター生成システム「AVATARIUM Portable(アバタリウム ポータブル)」を出展した。

同製品は現実とフィクションの境界を超える体験を提供する。筐体の前に立つだけで誰でも簡単にアバターになることが可能で、好きなアイドルや有名人との共演、秘境探検や歴史上の人物に扮するなど、多彩な世界を楽しむことができる。同社が2017年の創業以来、取り組んできたアバター生成技術の研究と最新のディープラーニング技術の進化を融合させ、リアリティと没入感を実現した。

筐体サイズは高さ170cm横幅70cm奥行き45cm。スタンドを含む重量は40kgで、モニターサイズは43インチ。身長制限はなしとなっている。

ライブイベントやアミューズメント施設、博物館・美術館、史跡・名所・観光地などさまざまな場所での展開を見込んでおり、ブースではタイアップコンテンツや設置先など、各種パートナーの募集を呼びかけた。