ホーム ブログ ページ 4

【特集 2025年、経営者の視点】
現場力を支える職人ネットワーク
【サンセーコー・佐藤 篤 代表取締役社長】

展示会・イベント業界は、変化する市場や社会のニーズに応える柔軟性と革新性が求められている。本特集では業界を牽引する経営者たちに、2025年に向けたビジョンや挑戦、重要テーマを語っていただいた。

(※本記事は新聞「見本市展示会通信」(2025年1月15日号)に掲載された「特集 2025年、経営者の視点」から転載しています)

 

――クロス仕上げや表装などを手掛けるサンセーコーの職人ネットワークについてお聞かせください

レギュラーメンバーが約30人いて、社員や専属の職人が毎日稼働してくれています。繁忙期にはスポットで声をかけ、多いときは70人ほどの体制で回す現場もあります。

――深刻化する職人不足への対応は

コロナ禍で展示会が止まった際に多くの職人が離れました。一部は戻ってきましたが、まだ絶対数は足りない。しかしながらニーズはむしろ増えており、追いつかない状況です。展示会は繁閑の差が激しく、年中安定して働きたい人には向きづらい面もあります。ですので、当社の場合は展示会だけではなく、商業施設や住宅など、さまざまな仕事を手掛けるようにしています。モチベーション維持という意味でも、職人の仕事量を安定させることを重視しています。

展示会はどうしても設営タイミングが集中しやすいですが、工場で事前準備を進めておくことで現場での施工時間を短縮しています。職人の負担も減らしながら、なんとか人手不足をカバーしています。

――いわゆる“職人技”をマニュアル化することは可能でしょうか

糊の濃度ひとつとっても、季節や湿度で調整が変わりますし、壁紙を右から貼るか左から貼るかも実際は現場の状況次第。職人技はなかなかマニュアル化しづらいのです。とはいえ、何の指標もないのは困るので、本当は「1年目はここまでできる、2年目はここまで」とステップを設けて評価するのが理想です。そうすれば賃金のアップとも連動できますし、職人自身もどこまで成長すれば良いかが分かりやすい。マニュアル化は、今後取り組んでいきたいことのひとつです。

――職人として成長するためのポイントは

一人前の職人として伸びる人には共通点があります。それは「現場を束ねる」役割を経験すること。どうすれば効率的か、どこをどのように仕上げればきれいに見えるか。現場全体をマネジメントする視点で考えるようになると一気にスキルが上がります。成功すれば自信になりますし、失敗しても次に生かせる。言われた作業だけやっていると成長に限界がありますが、頭を任されると急成長するんですよね。

――独立を考える職人もいると思いますが

やはり自分で会社をつくりたいという方はいます。もちろん痛手ではありますが、ときには外注パートナーとして手伝ってもらえる関係になれるので、一概にマイナスではありません。前向きな人は応援しますよ。

 

【特集 2025年、経営者の視点】
「AIX」で挑む次のステージ
【エクセリ・吉田統一 代表取締役社長】

展示会・イベント業界は、変化する市場や社会のニーズに応える柔軟性と革新性が求められている。本特集では業界を牽引する経営者たちに、2025年に向けたビジョンや挑戦、重要テーマを語っていただいた。

(※本記事は新聞「見本市展示会通信」(2025年1月15日号)に掲載された「特集 2025年、経営者の視点」から転載しています)

 

――無線機やインカム、トランシーバーの販売・レンタル業を営むエクセリの今年の方針は

2024年3月にTOKYO PRO Market市場に上場しましたが、次の目標としてグロース市場へのステップアップを目指し、成長戦略を練っています。

当社の今年の重点は「AIX(AIトランスフォーメーション)」です。これまでもRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用して業務の効率化を進めてきましたが、さらにAIを取り入れ、業務の発展や付加価値の向上を図りたいと考えています。

AIは主に2つの方向で活用を考えています。第一に社内業務の効率化です。決算短信の作成やシステム内の見込み価格の予測など、社内業務の自動化と高度化を進めていきます。

第二に、製品やサービスにおける付加価値の向上。私たちは業務用無線機の販売とレンタルを事業の柱としていますが、これにIoTやAIの要素を組み合わせることで、お客様の生産性を向上させる提案をしていきます。

――事業戦略をお聞かせください

私たちの事業領域はビジネス現場でのボイスコミュニケーションの提供です。新しい分野に挑戦するというより、この事業領域の中でさらに拡大を図り、付加価値を高めていくことを目指します。

特に「業務用無線プラスIoT」を軸にした取組みを進めていきたいと考えています。業務用無線とは従来型の無線機だけを指すわけではありません。LTEを活用したIP無線機や通信衛星を使ったサテライト無線機、さらにスマートフォン向けの無線アプリといったさまざまなタイプがあります。IoTを組み合わせることで、お客様の生産性がさらに上がり、業務もスムーズになると考えています。例えば、無線機で話しかけるとIoT機器が反応し、それがさらにAIの分析を経て結果を提供する。そのような一気通貫の流れが実現できると考えています。

――具体的には

無線機がIoT機器やAIと連携し、現場での即時対応を可能にする仕組みがあります。つまりショッピングセンターでカメラが購買可能性の高い顧客を特定し、無線機でスタッフに通知するといったことが可能なのです。

――社内の体制や社員育成についての考えは

社内DXをできる限り進めていくことが重要です。世の中の流れと同じように、データで処理できる部分はデジタル化し、効率を高めていきたいですね。

教育については、通常の研修を実施するだけでなく、実際の業務やお客様のニーズを通じて学ぶ機会を重視しています。IoT関連のビジネスが増えてきている中で、営業担当が現場で直接学び、メーカーの協力を得ながらOJTでスキルを身につける形が理想だと思っています。座学だけでは限界がありますから。

また、他社とのコラボレーションもさらに増やしていきたいです。これまでも企業との提携を行ってきましたが、例えばカメラメーカーなどとの関係をより強化することで、社内外での価値をさらに高めていけると考えています。

 

【特集 2025年、経営者の視点】
「コンサル型」アプローチで課題を解く
【シムディレクト・長崎 英樹 代表取締役】

展示会・イベント業界は、変化する市場や社会のニーズに応える柔軟性と革新性が求められている。本特集では業界を牽引する経営者たちに、2025年に向けたビジョンや挑戦、重要テーマを語っていただいた。

(※本記事は新聞「見本市展示会通信」(2025年1月15日号)に掲載された「特集 2025年、経営者の視点」から転載しています)

 

――シンユニティグループは、タケナカやSWAG(スワッグ)などさまざまな企業で構成されていますが、その中でシムディレクトが担う役割は

シムディレクトは、タケナカから派生した会社なので、プロジェクションマッピングや空間演出を得意としています。特にデジタル演出の会社というイメージは持たれていると思います。

スワッグはクリエイティブ分野に強く、将来的にはスワッグがクリエイティブの中心となり、グループとしてトータルコーディネートできるようになるといいと思います。そうなるとシムディレクトは今よりさらにもう一段上の領域を広げていかないといけないと考えています。

――「一段上の領域」とは

クリエイティブはあくまで一部分でしかなく、マーケティングや分析なども含めた、コンサルティングのような立ち位置を目指しています。実際、今もオフィスエントランスやテーマパークなどで演出を手掛けていますが、もっと手前の段階から「集客したい」「ブランドを高めたい」などの相談を受けられるようになりたいと思っています。デジタル演出は大事ですが、それだけに留まらず、根本的な課題解決を総合的にサポートできる会社へシフトできるよう、強みを活かしながら発展させていきたいと考えています。

――クライアント側が課題を明確にしていない場合もありますが、その際のアプローチは

やはり「経営視点でどんな成果を望んでいるのか」を想像しながら提案することが大切です。担当者が気付いていない部分も、経営者は見えているかもしれない。そのギャップを埋めるのが我々の役割ですね。

例えば予算のわりに得られる価値が大きいイベントなら、もう一歩踏み込んだ演出を提案し、投資に見合うリターンを得ましょうと言えるかどうか。それで実際に予算が倍になることもあれば、逆に縮小されることもある。けれども常に、クライアントの最終的な目的に寄り添うよう努めています。

――今年、公式HPをリニューアル予定と伺いました。狙いをお聞かせください

デジタル演出=シムディレクト、だけではなく、企画やブランディング、コンサルティング面も含めて対応できる会社だという点をしっかりアピールするためです。実際にクライアントと話してそのように思ってもらえても、現状のHPではデジタル演出の部分がまだ前面に出ている。我々の姿勢が広く認知されるには時間がかかると思います。だからこそ今から「シムディレクトは課題解決型のプロ集団だ」というイメージを打ち出していきたい。HPのリニューアルも、その第一歩になるはずです。

 

【特集 2025年、経営者の視点】
「社員を大事に」守り続けるブランド
【ニチナン・生島優代表取締役社長】

展示会・イベント業界は、変化する市場や社会のニーズに応える柔軟性と革新性が求められている。本特集では業界を牽引する経営者たちに、2025年に向けたビジョンや挑戦、重要テーマを語っていただいた。

(※本記事は新聞「見本市展示会通信」(2025年1月15日号)に掲載された「特集 2025年、経営者の視点」から転載しています)

 

――2021年に博展の子会社となり、生島氏が社長に就任しました。当時のようすは

ニチナンはもともと大阪の地場で長くやってきた会社であり、博展にとって関西エリアの重要な協力会社だったのですが、当時は正直「ニチナン」というブランド力や立ち位置をよく分かっていませんでした。周りからは「クオリティが高い」という評判を聞くのですが、私の目線では、博展の制作チームと比べて技術が飛び抜けているわけではないと感じることもあったんです。東京にはニチナンと同等か、それ以上の会社がたくさんあると。

しかし実際に中に入ってみるとニチナンには独特の強さがあって、現場での対応力・生産性などが高いんですよね。ニチナンの社員は、ものづくりの経験値がかなり高い。ただ、博展の現場管理(PM)の仕組みはなかったりするので、そのあたりのすり合わせが課題でした。現在はニチナンの「第二章」に向けた成長のために、強みを生かしながら体制を整えているところです。

――生島社長と前社長との間でやり取りはありましたか

子会社化にあたり、さまざまなかたちが検討されましたが、最終的にはニチナンのブランドを残すことになりました。ニチナンには既存の取引先も多く、博展に一本化することで逆に仕事が減る可能性があったり、まだニチナンを必要としてくれる顧客がいたからです。

前社長の杉本さんは、社員を大事にする姿勢をずっと貫いてこられた方で、博展が社員を一番大事に扱ってくれそうというのが、博展グループを選んだ理由のひとつだったと聞いています。調印式の際も杉本さんご本人から「社員のやる気やモチベーションをきちんと引き継いでほしい」と言われましたし、私自身も博展側から送り出される際に「社員を大事に」ということだけは言われていました。

――博展とニチナンの具体的な連携や工夫は

一番大きいのは、大阪や名古屋など、東京以外の現場は基本的にニチナンが請け負う流れをつくったことです。博展にとっても、大阪や名古屋の現場に自社PMを長期間出張させるのは負担が大きい。そこで、ニチナンが現地で現場管理や制作を進められるよう、フォーマットを博展仕様に合わせて整備したり、PM業務の育成を行ったりしてきました。最初は大変でしたが、現場を納品するうちにだんだんうまく回り始めたと思います。

生産効率の高さではニチナンが博展の制作ユニットより優れている部分がありますし、逆に現場の場数やPMのノウハウは博展が豊富に持っている。だからお互いの得意分野をうまく生かすかたちで仕事ができるようになってきました。

――売上構成のうち博展案件の比率が高まっていることについてどのように捉えていますか

今では50%くらいになっていますが、完全に博展100%にはならないと思います。博展の案件はやはり東京中心で、大阪・名古屋のマーケットはそこまで拡大していません。ニチナンが大阪に根付いているからこそ受注できる、博展では獲得できない仕事もあります。営業利益率も悪くなく、博展にはリーチできない顧客をカバーできているので、当面はこの体制を続ける方針です。
一方で、ニチナンだけでは対応しきれない大型案件や企画提案力が必要なコンペなどは、博展と連携することで勝率を高められるのが強みです。両方の強みを生かし合うことで最終的にはグループ全体の価値が上がるだろうと考えています。

――今後取り組みたいことは

博展の共創拠点である「T-BASE」の大阪版をつくりたいという構想はあります。パートナーやクリエイターと一緒にアイデアを出し合ってものづくりする場が大阪にも必要だと感じています。

 

スマホアプリで楽しめる「バーチャル大阪ヘルスケアパビリオン」がオープン

2025年日本国際博覧会大阪パビリオンは2025年1月15日、4月15日開幕の大阪・関西万博に先駆けて「バーチャル大阪ヘルスケアパビリオン」をオープンした。

プラットフォームはスマホ向けメタバース「REALITY」。時間や場所を問わず、世界中の人々が大阪ヘルスケアパビリオンのコンセプトをバーチャル空間で体験できる取り組みとなっている。

バーチャル大阪ヘルスケアパビリオンの展示ゾーンでは、出展企業のミライの製品や、過去から未来に引き継がれる技術等を展示。大阪ヘルスケアパビリオンの協賛企業及び大阪府内の中小企業・スタートアップ等の技術力や魅力を世界に発信することで、ビジネスチャンスの拡大や人材確保に資する取組みを推進することにより産業振興を図る。

併せて、大阪の魅力を国内外に発信するため、EXPOアリーナ等で開催予定の「大阪ウィーク」に関する情報も発信する。

来館者が協力してクリアを目指すアトラクションコンテンツ、来館者同士が配信を通じて交流できる交流スペースといった様々なコンテンツも用意。今後は人気VTuberによる音楽ライブや、リアルと連携したイベントの配信等を行うメインステージなども展開予定

バーチャル大阪ヘルスケアパビリオンを開館することで、開幕前の期待感を高め、リアル会場への来場を促進するほか、世界中から24時間アクセスできる利点を活かし、オール大阪の知恵とアイデアを結集し、「いのち」や「健康」の観点から未来社会の新たな価値を創造するとともに、大阪の活力、魅力を世界の人々に伝えていく。

 

 

 

 

 

 

 

【レポート】「ライフスタイル Week 春」が東京ビッグサイトで開催

1月15日から17日、「ライフスタイル Week 春」が東京ビッグサイトで開催された。

同展示会は、雑貨・文具・ファッション・美容・推し活グッズ・食品など10の専門展で構成された、その時代のライフスタイルを発信する総合展示会。

主催は RX Japanで、優れたデザイン・機能・ストーリーのある製品が一堂に出展し、製品の受発注・OEM商談など活発に取引が行われた。

来場者数速報によると来場者は22,197人だった。

※1人の来場者が、同日に複数回来場した場合は1名と集計
※1人の来場者が、複数日来場した場合は、その日数分を集計(例:1人が2日間来場した場合は、2名と集計)
※上記には、出展者・報道関係者は含まない

ライフスタイルWeek は年3回開催され、次回は7月に東京での開催となる。

<構成展>
ライフスタイルWeek 春
第8回雑貨EXPO[春]
第8回ファッション雑貨EXPO[春]
第8回ヘルス&ビューティグッズEXPO[春]
第8回テーブル&キッチンウェアEXPO[春]
第4回 Good Foods EXPO[春]
第4回 サステナブルグッズEXPO[春]
第2回 推し活グッズ EXPO[春]
第1回 インバウンド向けグッズ EXPO[春]
第1回 アジアのOEM工場EXPO[春]

今週の展示会スケジュール(1/20~1/26)

▽埼玉
01/22(水)~01/23(木)
さいたまスーパーアリーナ
彩の国ビジネスアリーナ2025

▽千葉
01/22(水)~01/24(金)
幕張メッセ
LIVeNT
第12回ライブ・エンターテイメントEXPO
第12回イベント総合EXPO

第3回レジャー&アミューズメントEXPO 2025

▽東京
01/22(水)~01/23(木)
サンシャインシティ・コンベンションセンター
~ミートフードショー~焼肉ビジネスフェア2025 in 東京
~居酒屋の未来を創造する~居酒屋JAPAN 2025 in 東京

01/22(水)~01/23(木)
東京都立産業貿易センター台東館
春のおもちゃ商談会2025

01/22(水)~01/24(金)
東京ビッグサイト
第17回 オートモーティブ ワールド -クルマの先端技術 展-
第17回[国際]カーエレクトロニクス技術展
第16回EV・HV・FCV 技術展
第13回コネクティッド・カーEXPO
第11回自動車部品&加工EXPO
第5回MaaS EXPO
第8回自動運転EXPO
第2回 SDV EXPO
第1回 クルマのサステナブル技術展

01/22(水)~01/24(金)
東京ビッグサイト
第39回 ネプコン ジャパン -エレクトロニクス 開発・実装展-
第39回インターネプコン ジャパン-エレクトロニクス製造・実装展-
第39回エレクトロテスト ジャパン-エレクトロニクス検査・試験・測定展-
第26回プリント配線板EXPO
第26回半導体・センサ パッケージング展
第26回電子部品・材料EXPO
第15回微細加工EXPO
第2回パワーデバイス&モジュールEXPO

第4回スマート物流 EXPO
第11回ウェアラブルEXPO-ウェアラブル[開発]・[活用]展-

Factory Innovation Week 2025
第9回スマート工場EXPO
・第9回 ロボデックス
・第3回 製造業カーボンニュートラル展

▽神奈川
01/22(水)~01/24(金)
パシフィコ横浜
第49回日本ショッピングセンター全国大会 SC BUSINESS FAIR

01/24(金)
奈良県コンベンションセンター
デジタルメッセ奈良

▽大阪
01/22(水)~01/23(木)
インテックス大阪
ラーメン産業展 in Kansai
FOOD STYLE Kansai
外食経営DX EXPO

01/22(水)~01/23(木)
マイドームおおさか
オーダーグッズビジネスショー 大阪 2025

▽兵庫
01/22(水)~01/23(木)
神戸国際展示場
第180回 2025夏 日本グランドシューズコレクション&全国サンダルフェア2025

【国ごとの人数も発表】2024 年の訪日外客数は 3600万人超 過去最高を記録【JNTOデータ】

日本政府観光局(JNTO)は15日、12月の訪日外客数や2024 年の年間訪日外客数などを発表した。

<発表の要点>

●12月の訪日外客数は3,489,800人で、前年同月比では27.6%増、2019年同月比では38.1%増と過去最高であった2024年10月の3,312,193人を上回り、単月過去最高を記録した。

スクールホリデーのほかクリスマス・年末年始に合わせた旅行需要の高まりが多くの市場で見られ、1964年の統計開始以来、初めて単月として340万人を突破した。

●また、2024年の年間訪日外客数は36,869,900人で、前年比では47.1%増、2019年比では15.6%増と、過去最高であった2019年の31,882,049人を約500万人上回り、年間過去最高を更新した(23市場のうち計20市場が年間の累計で過去最高を記録)。

桜・紅葉シーズンや夏の学校休暇など、ピークシーズンを中心に各市場が単月での過去最高を更新し、東アジアのみならず東南アジア、欧米豪・中東においても実数を増やしたことが、年間過去最高の更新に繋がった。

2023年3月に策定された第4次観光立国推進基本計画では3つの柱「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」が示されるとともに、旅行消費額・地方部宿泊数等に関する新たな政府目標が掲げられているところ、これらの実現に向けて、市場動向を綿密に分析しながら、戦略的な訪日旅行プロモーションに取り組んでいく。

2024年 訪日外客数 (JNTO推計値)(12月と2024年総数) (対2019年比)

※出典「日本政府観光局(JNTO)」

◆上記の2019年の数値は確定値、2024年の数値は推計値である。
◆訪日外客数とは、法務省集計による出入国管理統計に基づき、算出したものである。訪日外客は、外国人正規入国者から、日本を主たる居住国とする永住者等の外国人を除き、これに外国人一時上陸客等を加えた入国外国人旅行者のことである。駐在員やその家族、留学生等の入国者・再入国者は訪日外客に含まれる。
なお、上記の訪日外客には、乗員は含まれない。
◆北欧地域はスウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドを指す。
◆中東地域はイスラエル、トルコ、GCC6か国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、オマーン、カタール、クウェート)を指す。

 

【レポート】「Japan MICE EXPO 2024」日本 MICE の魅力を国内外に発信

(※本記事は雑誌「EventBiz」Winter(11月発売)からの転載記事です。)

JapanMICEEXPO2024実行委員会(大阪観光局、大阪国際会議場、大阪国際経済振興センター)は10月17日と18日の2日間、インテックス大阪で「JapanMICEEXPO2024」を開催した。「JapanMICEデスティネーションEXPO」「MICE開催支援EXPO」の2展で構成された同展の模様をレポートする。

オープニング

開会式では主催者を代表して、インテックス大阪の運営者でもある大阪国際経済振興センターの北岡均理事長が挨拶した。

北岡氏は同展について「MICEの重要性を改めて訴え、日本のMICEブランドを国内外に発信する場だ。今回、アジア・オセアニア10カ国から、30名のMICE主催者や関係者に来ていただいた。ピッチイベントやファムトリップ、交流会を通じ、ビジネスチャンスを提供させていただく。国内のMICE主催者とMICE関連サプライヤーとの商談会を実施することで、素晴らしいMICEになることを確信している」と語った。

さらに2020年からのコロナ禍にも言及し「IT化を促進したのは間違いないが、改めて人と人が交流する素晴らしさも認識された」として、MICEが経済効果だけでなく、人との出会いを創出し、情報や知見が公開され、未来に良い変化をもたらすものであるとした。

来賓からはまず、大阪府府民文化部都市魅力創造局の増田將雄局長が登壇。

「大阪府はこれまで、大阪市をはじめ関係機関とともに国内外のMICE誘致に積極的に取組んできた。中でも我が国がはじめて議長国を務めた2019年のG20大阪サミットや、世界最大級の旅行博ツーリズムEXPOジャパン2019および2023はインテックス大阪で開催され、国内外の多くのメディアに取り上げられ、経済効果のみならず大阪の魅力を広く発信した」と発言。

また、「2025年大阪・関西万博まで残すところ180日を切り、その後にはIR開業も控えている。大阪で開催されるMICEは今後ますます注目されるだろう」と語り、大阪府として大阪が持続的な成長をするためにもMICE誘致に力を入れる必要があると認識を示した。

続いて、大阪市経済戦略局の岩谷和代理事が登壇。

岩谷氏は「大阪市は大阪府と共にMICEの開催や誘致を推進している。中でもインテックス大阪は全国でも有数のMICE施設であり、これまで国内外の多彩な展示会やイベントが開催されてきた。

JapanMICEEXPO2024はMICEに関するさまざまな業種・立場の方々の交流や商談を通じ、大阪から国内外へ情報発信し、さらなるMICE開催につながる場だ」と述べた。

そして、「今回の展示会には出展者としても参加しており、大阪市が有するユニークベニューとして活用できる施設を紹介している。皆さまにとって魅力的なMICE都市であることを伝えられると思う」と語り、その一例として大阪迎賓館や大阪中之島美術館、大阪市中央公会堂などを挙げた。

その後、テープカットが行われ、JapanMICEEXPO2024が盛大に幕を開けた。

展示

JapanMICEEXPO2024には全国のMICE関連企業・団体128社が133小間にわたって出展した。

構成展の1つであるJapanMICEデスティネーションEXPOには、全国の自治体やコンベンションビューロー、MICE施設が数多く出展。

2025年2月24日にオープン予定のあなぶきアリーナ香川(香川県立アリーナ)は、中四国最大級の1万人収容が可能で、サブアリーナと武道施設を使い分けることでスポーツイベント、コンサート、ファッションショー、国際会議、武道大会、発表会などさまざまなシーンで利用可能な多目的アリーナ。既に一般利用受付を開始しており、ブースではアリーナのジオラマを展示することで、ブース来訪者に利用イメージを伝えた。

また、姫路観光コンベンションビューローでは2021年9月にオープンしたコンベンション施設アクリエひめじを中心に、学会や大会の誘致を呼びかけた。ブースには日本の重要文化財である姫路城の写真が大きく貼り出され、国内外からの来場者の興味を引きたてた。

もう1つの構成展であるMICE開催支援EXPOでは、さまざまなMICEサプライヤーがユニークな製品やサービスを出展し、新たなMICE開催の可能性を示した。

パナソニックグループでは「オールインワンMICEソリューション」として、9つの製品・サービスを展示。そのうち、「シルキーファインミスト」は何もない空間にミストでスクリーンを形成する技術で、物理的な仕切りがないため人が通過することが可能な上、ミストが細かいためほとんど濡れ感がないのが特徴だ。

また、アバター式リモート案内サービス「TAZUNE」はAIと有人オペレーターのハイブリッド対応で、定型的な問い合わせは高性能AIエンジンが自動で応答し、必要に応じて有人対応に切り替えることができるシステムとなっている。これにより、受付、案内、接客業務のDX化を実現する。

あなぶきアリーナ香川のジオラマ

 

アバター式リモート案内サービス「TAZUNE」

セミナー・イベント

会場内のイベントステージでは国内外のゲストによる、さまざまなセミナーやトークセッションが行われた。

最初のセッション「SustainableMICEの現在地-ぶっちゃけ、主催者はどこまで本気?-」では、シンガポールで活動するPCMA(ProfessionalConventionManagementAssociation)アジアパシフィックのマネージングディレクターFlorenceChua氏と、AONIA/MICECarbonマネージングディレクターのDanielChua氏が登壇。MICE産業における現在のアジア市場をどのように捉えているかなどを論じた。

「今なお成長中or成熟期?東南アジア市場のいま」ではAcclaimSAVOIRマネージングディレクターのAlvinValencia氏、EventsTravelAsiaマネージングディレクターのMaxBoontaweeJantasuwan氏が登壇。

東南アジア市場で台頭している主催者像などについて持論を展開した。JapanMICEEXPO2024の特別協力団体である日本コンベンション協会(JCMA)によるセミナー「繋がる、拡げようJapanサステナブルMICE」では、JCMAのSDGs委員会に加え、コングレ、マッシュ、大阪国際会議場からゲストが登壇。持続可能なMICE開催に向けて、どのようなことに気を付け、取組んでいくのか意見を交換した。

また、同協会も制作に関わっている「イベントMICE関係者のための使いやすいサステナビリティガイドブック」も紹介した。

さらに会場内のステージだけでなく、MICE関係者らが一堂に集うということもあり、インテックス大阪内ではさまざまなイベントが行われた。

日本展示会協会(日展協)と全国展示場連絡協議会(全展協)は会議室で意見交換会を実施。主催者とMICE施設運営者が屈託のない意見を交わしつつ、首都圏以外の地方開催実現に向けたアイデアや、安全管理問題などを話し合った。

また、JCMAはインテックスカフェで会員交流会を開催。同協会では2025年に設立以来初となる大阪での社員総会を予定しているほか、関西支部の設立に向けても動き出しており、関西での活動を強化していく方針だ。

セッション「Sustainable MICEの現在地」
セミナー「繋がる、拡げよう Japan サステナブルMICE」
日展協と全展協の意見交換会
JCMAの会員交流会

OsakaNight

初日の夜には出展者を対象にした、国内外バイヤーやセミナー講師と交流ができるネットワーキングイベント「OsakaNight」がインテックス大阪至近のグランドプリンスホテル大阪ベイで行われた。

開会の挨拶には、大阪観光局の溝畑宏理事長が登壇。溝畑氏はMICE市場規模が世界で約200兆円と言われており、去年8.5%の伸びを見せたことに言及。

一方で日本のMICE市場規模は約2兆円に過ぎず、日本のGDPや交通インフラ、受け入れ態勢を考えると成長の余地が多いことを指摘。

その上で、「いよいよ来年は2025年大阪・関西万博が開かれ、2030年には大阪で日本初のIRが開業する。これは大阪にとって重要な成長インフラであり、高品質なMICEを大阪全体で誘致していく体制が整備されつつある。例えば医療や食、ものづくり、スポーツなどさまざまな分野のMICE誘致に対し、官民挙げて取り組んでいく」と話し、大阪をMICEにおける西日本のハブと位置付けた。

また、MICEは点ではなく面で都市づくりや政策とコミットすることが重要だとして「皆さんの力を結集してハードとソフトを充実させ、2030年までに日本のMICEの市場規模を10兆円にしていく気持ちで一緒に頑張っていこうではないか」とMICE関係者らに檄を飛ばした。

来賓からはJCMAの近浪弘武代表理事が登壇。

近浪氏は「来年の大阪・関西万博と2030年の大阪IR開業を楽しみにしている。世界中の人々が大阪を見て、食べて、体験し、自国に帰って大阪という素晴らしい都市を宣伝してくれると思う。そしてまた、その評判を聞いた世界中の人が大阪に集まるだろう」と語った。

また、海外バイヤーを代表してベンチャーマーケティングCEOのNitinSachdevaが登壇。Sachdeva氏は「今回大阪に初めて来て、インフラ設備がとても素晴らしいと感じた。ただ新しいだけでなく昔からの伝統と融合している。今回招いていただきとても感謝している、これからもこのような関係が続いて欲しい」と述べた。

その後、日展協の堀正人会長が乾杯の発声を行った。堀氏はコロナ禍が明けてMICEの重要性は再認識されているとした上で、「MICEは開催地の経済を活性化する重要産業であるとともに、社会課題解決に資するソーシャルグッド産業だ」と語り、MICEを生業とする人々に次世代へ明るくバトンをつなげてほしいと展望を述べた。

大阪観光局 溝畑理事長

ちば国際コンベンションビューロー、「令和6年度千葉MICE Day」を2月7日に開催

ちば国際コンベンションビューロー(CCB-IC)は2月7日、創立35周年記念事業として「令和6年度千葉MICE Day」を開催する。

会員やMICE主催者(大学、研究機関、学会、協会関係者等)との交流とビジネスチャンスの拡大を図るとともに、MICE開催適地としての千葉をアピールすることにより、千葉県内へのMICE誘致を促進することが目的。

プログラムは2部構成となっており、第1部ではTIPSTAR DOME CHIBAを視察する。2021年10月に千葉競輪場跡地に完成した同施設は、国際規格に沿って建設された250m板張りバンクをもつドーム式競輪場。音響設備や映像設備が整っているため、ブランドプロモーションイベント、貸切企業パーティーやカンファレンス、チームビルディングといったMICEで活用することができる。

第2部では会場をオークラ千葉ホテルに移し、講演会、情報交換会を行う。講演会ではNHK千葉放送局アナウンサーの久保田祐佳氏が「千葉の魅力を発信~NHKだからできること、番組ができるまで」を講演する。

アトラクションでは千葉市文化振興財団の「アーティストバンクちば」に登録しているアーティストである元NHK交響楽団コンサートマスターの伊藤亮太郎氏によるバイオリン演奏や、マジシャン エンゼルによるマジックショーが行われる予定。

現在公式ウェブサイトで参加者を募集中。参加費は無料で、申込締切は1月24日。