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ヤマカノ醸造の仙台味噌「登穀味噌」ほか(第7回 “日本の食品”輸出EXPO)

味噌と醤油の醸造と販売業展開するヤマカノ醸造は、6月21日から23日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「第7回 “日本の食品”輸出EXPO」(主催:RX Japan)に出展した。ブースでは仙台味噌の周知とともに、同社が作る仙台味噌「登穀味噌」や仙台味噌を使用しためんつゆやガーリックみそだれといった製品群を紹介した。

仙台味噌は400年以上の歴史を持ち、大豆10に対して麴が5から8の割合であることなどが特徴で、赤みその代表格のひとつ。「登穀味噌」は宮城県登米市産の特別栽培米と大豆を使用しており、大豆を完全脱皮して製造、大豆の美味しさを最大限に引き出した限定醸造品となっている。また「仙台味噌ごまめんつゆ」は仙台味噌を使用した日本でも唯一の麺つゆで、焙煎金すり胡麻と三陸産昆布、枕崎産かつお節エキスを加えて、深みのある味わいに仕上げている。

【詳細】政府が「観光白書」で2022年の分析と2023年の観光施策を公表

政府は13日、2023年版の「観光白書」を閣議決定し、公表した。

観光白書は以下の3部からなり、観光立国推進基本法に基づき毎年国会へ報告されている。

第I部:令和4年 観光の動向
 世界の観光の動向、日本の観光の動向
 持続可能な観光地域づくり – 観光地や観光産業における稼ぐ力の好循環の実現-について
第II部:令和4年度に講じた施策
第III部:令和5年度に講じようとする施策

<概要>

2021年の「外国人旅行者受入数ランキング」において、日本(25万人)はランク外。2020年(412万人)の21位(アジアで5位)から順位を下げた。

2022年の訪日外国人旅行者数は、6月の外国人観光客の受入再開後、10月の入国者数の上限撤廃、個人旅行の解禁、ビザなし渡航の解禁等の水際措置の大幅緩和等により大きく増加。同年12月には2019年同月比で54.2%まで回復、年間では約383万人(2019年比88.0%減)となった。2023年4月は、2022年10月以降単月では最多の194.9万人となり、2019年同月比で66.6%まで回復。

2022年年間の訪日外国人旅行消費額(試算値)は8,987億円(2019年比81.3%減)。同年10月の水際措置の大幅緩和以降、10-12月期は2019年同期比で約5割に回復し、2023年1-3月期は約9割まで回復。

2022年年間の出国日本人数は、277万人(2019年比86.2%減)。同年12月には2019年月比で約25%、2023年4月には約34%まで回復。

2022年の日本人の国内宿泊旅行延べ人数は2億3,247万人(2019年比25.4%減)、日帰り旅行延べ人数は1億8,539万人(2019年比32.7%減)。

2022年の日本人国内旅行消費額は17.2兆円(2019年比21.6%減)。このうち宿泊旅行の国内旅行消費額は13.8兆円(2019年比19.8%減)、日帰り旅行の国内旅行消費額は3.4兆円(2019年比28.0%減)となった。日本国内における旅行消費額は18.7兆円(2019年比33.2%減)。

日本の観光の「稼ぐ力」を分析するため、観光消費額・収入額から外部支払費用(中間投入)を控除した儲けに相当し、雇用者所得、企業の利潤や投資など経済循環の源泉となる付加価値額(観光GDP)に着目し、日本と欧米主要国とを国際比較。

日本の観光GDP額は11.2兆円(2019年)となり、新型コロナウィルス感染拡大前まで着実に増加してきた。しかし、経済全体に占める観光GDP比率(観光GDP額/GDP額)は2.0%(2019年)で、先進7か国(G7)平均の4.0%と大きな差。

観光の付加価値を示す観光GDPの国際比較からは、日本は観光の付加価値額や経済全体に占める割合が低位であり、付加価値を高め「稼げる産業」への変革に向けては、売上高の増加(客単価×顧客数の増加)が取組課題になる。

観光庁では、観光地・観光産業の再生・高付加価値化やDX推進等の支援を講じている。採択事例では、宿泊単価の増加や、宿泊従事者の賃金上昇等の効果が現れつつある。

コロナ下でマイクロツーリズムに重点化し、DX化したマーケティングデータにより、近隣客ニーズが高い食体験観光の高付加価値に繋げ、早期回復した事例(次節地域事例)がみられた。特色ある「稼ぐ力」は、需要平準化への展開も期待される。

2023年度に講じようとする施策では、持続可能な観光地域づくり戦略、インバウンド回復戦略、国内交流拡大戦略の3つを柱に様々な取り組みを実施、計画している。
具体的な内容は官公庁のホームページの観光白書で確認できる。

OKI-EMSグループの「モノづくり総合サービス」(ものづくりODM/EMS展)

製造業では経営資源を商品企画・販売などコアプロセスに集中、生産をアウトソーシングする水平分業化が加速している。

OKIでは、設計から部材調達、製造、出荷、保守までを一貫してサポートしており、今回は”お客さまの「バーチャルファクトリー」”をキーワードに出展、展示とセミナーを実施した。

<出展内容>
医療機器向けサービス
建設・防災・インフラ機器向けサービス
産業・FA機器向けサービス
航空・宇宙向けサービス
環境発電BLE無線端末
AI/DL開発・設計

<セミナー>
お客様の製品を支えるOKI-EMSの製造プラットフォーム 
OKI EMS事業部

環境発電無線端末の実績と導入ポイント
OKIネクステック

OKIアイディエスが提案するエッジAIアクセラレータと、その開発プロセス
OKIアイディエス

これからのバックアップ電源装置の提案
OKIシンフォテック

【レポート】「第35回 日本ものづくりワールド」が東京ビッグサイトで開催

6月21日(水)から23日(金)、東京ビッグサイトで「第35回 日本ものづくりワールド」が開催された。

主催はRX Japan株式会社。

「日本ものづくりワールド」は、IT、DX製品、部品、設備、装置、計測製品など10の専門展で構成される製造業の展示会だ。製造業DX展と、ものづくりODM/EMS展は第一回目の開催となった。

設計・製造ソリューション展
機械要素技術展
ヘルスケア・医療機器 開発展
工場設備・備品展
ものづくり AI/IoT 展

次世代 3Dプリンタ展
航空・宇宙機器 開発展
計測・検査・センサ展
製造業DX展
ものづくりODM/EMS展

新製品・技術を求め、多数の製造業ユーザー(設計、開発、製造、生産技術、購買、情報システム部門など)が訪れ、活発に商談を行っていた。

【JNTOデータ】5月の訪日外客数は約190万人 2019年比で68.5%

日本政府観光局(JNTO)は6月21日、5月の訪日外客数などを発表した。

<発表の要点>

●5月の訪⽇外客数は、3月と4月の桜シーズン後の閑散期にあたるものの回復率では前月を上回り、2019 年同月比68.5%の1,898,900人となった。

●東アジア地域において韓国等からの訪⽇外客数が増加したこと、また、東南アジア・欧米豪地域では、シンガポールや米国などの複数の市場において2019年同月比を超える回復を⾒せたことが今月の押し上げ要因となった。

なお、国際線定期便に関してはコロナ禍前の約6 割まで運航便数が回復している。


※JNTOは2023年5月の公表から、北欧地域(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド)の推計値の公表を開始した。

 

韓国は、旅行のオフシーズンを迎えたものの、日本側の水際規制緩和、日本各地への地方路線復便の影響もあり訪日外客数は515,700 人(対 2019 年同月比 85.5%)であった。

・仁川~中部間の増便、仁川~北九州間の復便などもあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある。

中国は、日本行きの海外旅行制限措置※等があるものの、日本と中国双方の水際規制緩和の影響等もあり、訪日外客数は134,400人(対 2019 年同月比 17.8%)となっている。

※中国文化旅游部より日本行きの海外旅行商品の販売禁止措置が継続されている。

・上海~成田間の増便、広州~成田間の増便、深圳~羽田間の新規就航などもあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある。

台湾は、出境規制※等があるものの、日本と台湾双方の水際措置緩和の影響等もあり、訪日外客数は 303,300 人(対 2019 年同月比 71.1%)であった。地域別訪日旅行市場の概況6※台湾における渡航警戒レベルで、渡航の是非検討等に日本が含まれている。

・台北~旭川間の復便、台北~岡山間の増便などもあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある。

北欧地域は、日本の水際規制緩和等の影響もあり、訪日外客数は 8,600 人(対 2019 年同月比76.7%)であった。

・2023 年 3 月のヘルシンキ~関西間の復便などもあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある。

【フォーミュラE】2024年3月に世界選手権大会が東京ビッグサイト周辺の道路で開催

6月20日、国際自動車連盟(FIA)総会において、FIAフォーミュラE世界選手権大会が2024年3月30日(土)に東京で開催することが正式に決定された。

東京都知事 小池百合子氏 コメント

このたび、2024年3月のフォーミュラE世界選手権大会の開催地として東京が正式に決定されたことを、大変うれしく思います。
東京都は、CO2を排出しない環境先進都市「ゼロエミッション東京」の実現に向け、ゼロエミッションビークルの普及拡大をはじめ、あらゆる分野で行動を加速させています。
フォーミュラEは、エンジン音や排気ガスがない電気自動車の市街地レースとして、世界の主要都市で開催されています。この大会を、サステナブルな次世代都市へと発展しつつある臨海エリアの東京ビッグサイト周辺で開催します。国内初、世界最高峰のレースの迫力を間近で見て、応援しましょう。
大会は、ゼロエミッションビークルの普及に弾みをつけると同時に、東京の魅力を世界に発信し、国際的なプレゼンスを高める絶好の機会ともなります。
東京都は、大会の成功に向けて、関係者の皆様と力を合わせてまいります。

【JACE】2022年のイベント産業規模の推計を発表

一般社団法人日本イベント産業振興協会(以下JACE)は、6月19日にイベント産業規模の推計を発表した。詳細はJACEのホームページで確認できる。

<概要>
2022年のイベント関連産業の産業規模は6,758億円、前年比121.0%、イベント周辺産業までを含めると2兆804 億円、前年比 138.7%となり、新型コロナウイルス感染症流行前の 2019年と比較して、約8割まで回復した。

(単位:億円)  

2019 年  2020 年  2021 年  2022
イベント関連産業 小計  9,591  3,800  5,584  6,758
(39.6 (58.2 (70.5)
イベント周辺産業 小計  17,194  8,096  9,415  14,046
(47.1 (54.8 (81.7)
総計  26,785  11,896  14,999  20,804
(44.4 (56.0 (77.7)

( )は 2019 年比

<イベント関連産業>

⚫ BtoB、BtoC の販促イベントなど主に広告代理店が扱うイベントである「広告関連イベント」は、コロナの影響で 2021 年までオンライン開催あるいは中止を余儀なくされていた展示会・見本市の多くが、2022 年はリアル開催され(ハイブリッド開催含む)、2022 年はオリンピック特需のあった 2021 年からさらに 124.2%に伸長し、2019 年比では 76.9%とコロナ前の水準の 8 割程度まで復調した。

⚫ イベント専業企業が行うイベントである「イベント専業」は、展示会・見本市、スポーツイベント等の本格的再開により、2022 年は前年比 116.2%、2019年比 93.0%まで回復した。

⚫ サミットのような政府系の大規模国際会議から業界団体、学会まで多彩な広がりを見せる「コンベンション」は、コロナ禍初期の 2020 年は MICE が大きく減少したものの、その後はオンライン開催やハイブリッド開催等でそれなりの開催件数が維持されている。オンライン化で 1 件当たりの売上は減少傾向にあるものの、大手 MICE 会社は各種翻訳サービスが売上げを補完していることなどから、2022 年は前年比 159.3%に大幅に伸長、2019 年比でも 95.7%と、ほぼコロナ前の水準まで回復した。

⚫ イベントにおける展示用什器などの会場設営用品、映像機材や屋外イベントのステージ、テント、トレイラーボックスなどの貸出し、展示会における展示ブースの企画・演出、施工管理、運営などの「レンタル・ディスプレイ」は、2022 年はスポーツ大会、花火大会、伝統的祭事等を含め、多くのイベントが規模縮小ながらもリアル開催されたため、前年比 109.9%に伸長、2019年と比べても 85.0%まで回復した。

⚫ 大規模イベント会場施設のイベントへの会場貸出し費・管理運営費などの「施設」は、2022 年は東名阪の展示場の稼働率がほぼ 2019 年並みに戻りつつあることから、前年比 120.1%、2019 年比 80.5%まで回復した。

⚫ 「警備・印刷・設備・人材派遣・ソフトウェア」に関しては、警備需要が特に大きい展示会・見本市、コンサート、マラソン大会・花火大会等の本格的再開により、前年比 110.0%、2019 年比 77.0%と約 8 割まで回復した。

⚫ 「商店街イベント」については、全国 4,800 の商店街が行ってきた年間数度の販促キャンペーン、および自治体で予算措置がとられている観光振興イベント(例:B 級グルメ、アニメ聖地巡り)ともに、そのほとんどがコロナ禍で自粛に追い込まれた。2022 年は前年より増加したものの、2019 年比 12.0%にとどまった。

⚫ 観光振興、地元コミュニティの活性化などの目的で行われてきた「花火大会」は、花火技術の進化・複雑化などを背景に、全国 1,000 か所以上、直接支出が億単位のものも数十件存在していたが、コロナ禍の影響で 2020 年、2021年とほとんどの花火大会が中止に追い込まれた。2022 年もコロナ感染への懸念から、引き続き中止、あるいは打ち上げ数を減らして実施したところが多く、前年比 150.0%に伸長したものの、2019 年比 22.7%にとどまった。

⚫ 季節行事、寺社行事などの「伝統的祭事・フェス」は、観光資源や地方のアイデンティティ増大を目的に行われ、集客的には数十万人から百万人規模を持つものも多かったが、その多くはコロナ禍で中止を余儀なくされた。2022年は再開されたものが多かったものの、特に自治体が絡むイベントを中心に規模縮小が目立ち、2019 年比 31.4%にとどまった。

⚫ 中小規模の学会、会議、業界セミナー、展示会・見本市に付随するセミナー・シンポジウムなどの「会議・小セミナー」は、オンライン開催またはハイブリッド開催が主流となって定着しており、2022 年は 2019 年比 83.9%まで回復した。

<イベント周辺産業>

⚫ 「音楽コンサート」は、前年比 2 倍超に伸長し、ほぼコロナ禍前の水準まで復調した。一方、「劇映画」「楽団・舞踊団」はいずれも前年比 2桁の伸長を見せたものの、コロナ禍前と比較すると 6 割から 7 割程度の回復にとどまっている。

⚫ 「スポーツ興行」は、前年比 148.0%と伸長し、コロナ禍前と比較しても107.5%と完全に復調した。「スポーツ施設提供業」は、前年比2桁伸長し、コロナ禍前の 7割強まで復調した。

調査主体 : 一般社団法人日本イベント産業振興協会(JACE)
調査機関 : 株式会社電通 電通メディアイノベーションラボ 株式会社メディア開発綜研
調査対象・手法 : 以下の調査に基づき、推計作業を実施
① 主要なイベント関連企業へのヒアリング調査
② 下記データを組み合わせて分析のうえ推計
 各種公的統計資料(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」他)
 イベント関連業界発表統計資料
 電通『日本の広告費』
 企業有価証券報告書及び IR
 商用 DB(東京商工リサーチ、帝国データバンク)
 その他発表資料及び参考資料
③ 有価証券・公表資料で売上分離できるものは分離(例:売上50億円=貸しビル 40 億円+イベント会場 10億円の場合、イベント会場10億円を取る)

今週の展示会スケジュール(6/26~7/2)

▽千葉

6月26日(月)~28日(水)
幕張メッセ
Japan Drone 2023/次世代エアモビリティEXPO 2023

▽東京

6月28日(水)~30日(金)
東京ビッグサイト
COMNEXT
第1回[次世代]通信テクノロジー国際展

6月28日(水)~30日(金)
東京ビッグサイト
Japan Sports Week
・第6回スポーツ ビジネス 産業展
・第2回トレーニング&コンディショニングEXPO
・第2回スポーツテックEXPO
・第2回スポーツ施設EXPO
・第2回スポーツツーリズムEXPO

6月28日(水)~30日(金)
東京ビッグサイト
LIVeNT
・第10回ライブ・エンターテイメントEXPO
・第10回イベント総合EXPO
・第2回 eスポーツビジネスEXPO

6月28日(水)~30日(金)
東京ビッグサイト
コンテンツ東京
・第13回ライセンシング ジャパン
・第12回クリエイターEXPO
・第11回映像・CG 制作展
・第9回広告クリエイティブ・マーケティングEXPO
・第9回先端デジタルテクノロジー展

6月28日(水)~30日(金)
東京ビッグサイト
自治体・公共 Week
・第6回地方創生EXPO
・第3回自治体向けサービスEXPO
・第3回自治体DX展
・第2回地域防災EXPO
・第3回スマートシティ 推進EXPO
・第1回インフラメンテナンス展

6月28日(水)~30日(金)
東京ビッグサイト
第3回XR総合展[夏]

6月28日(水)~30日(金)
東京ビッグサイト
第1回 メタバース総合展[夏]

▽神奈川

6月29日(木)~7月1日(土)
パシフィコ横浜
メディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2023

【インタビュー】“賃金アップ”があらゆる課題解決の出発点 – アドヴァンス企画・小室弘之社長

本記事は2023年6月15日発行の専門紙『見本市展示会通信』900号で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

 

人材不足と人材獲得の競争が過熱する昨今、展示会・イベントのディスプレイを手掛けるアドヴァンス企画は、今年の求人初任給を未経験の製作部門で28万円以上、営業部門で27万円以上という業界内でも高い水準に設定した。あわせて4月から既存社員のベースアップにも踏み切った。その背景とこれからの成長戦略について小室弘之社長に話を聞いた。

アドヴァンス企画・小室弘之社長
アドヴァンス企画・小室弘之社長

展示会・イベント業界が抱える課題

―業界の人材不足の実情を教えてください

コロナ禍を経て、確かに去年から仕事は戻ってきました。むしろ仕事量が多すぎてこなせないくらいです。つまり人手が足りていない。コンペで獲得した案件でさえも、職人不足から、受注後に内容を変更する企業もあるというウワサが聞こえてくるようにもなりました。大工や経師職人がいないため、システム装飾に変更せざるを得ない、と。コロナ禍以前も確かに人手不足ではありましたが、何とか対応していたはずです。当社は幸い、オリジナルの木工装飾の会社というスタイルを維持できていますが、これからは今まで通りにはいかないのではないかと危惧しています。

輪をかけるように世間では、ユニクロを展開するファーストリテイリングが初任給を30万円に引き上げたと話題になり、経営者としては耳の痛い話だと思いつつも、一方で向き合うべき問題であると感じたことを覚えています。

―われわれの業界で、未経験で28万円の求人は珍しいです

われわれの仕事は楽なものではありません。もちろん企業の魅力を高めるため、福利厚生の充実化などは今後も続けるつもりですし、休日を増やしたり残業を減らす取組みも行っています。しかし他業界と比較して、われわれの業界で何をメリットとして働いてもらうのか? はっきり言って、高い賃金以外にないんですよ。安い賃金でいくら募集をかけたって人は来ません。人がいなければ会社が成り立たない、それならば上げるしかないでしょう。当初はコロナ禍で増えた借金の返済目処が立てば、賃金アップを考えていましたが、そのような悠長なことを言っていられないほど深刻な状況だったのです。

賃金をアップして募集したことで想定以上の反響がありました。確かに採用や面接の時間は随分とかかってしまいましたが、その分、良い人材が集まってくれたと思っています。当社は大企業ではなく、誰に反対されるわけでもないため、私自身が「儲かった分は(社員に)払えばいいだろう」とある意味、安直に構えていることは否めませんが、賃金を多く払うことで、社員も一生懸命頑張ろうという気になるはず。そもそも募集の段階で、ギリギリの金額で素晴らしい人材を確保しようというのは虫のいい話ですから。

好待遇の採用を実現する上でのポイント

―留意すべき点を教えてください

新しく入社する人の賃金だけを上げるわけにはいきません。人材をキープするには、既存社員のベースアップもしなくては。当社は50人弱の社員数ですが、今回の定期昇給およびベースアップ分だけで年間数千万円になります。それだけ捻出できるのなら、社長である私自身がもっと高い給料をもらうこともできるでしょうが、私はそこそこ良い暮らしができて、ちょっと良い車に乗れて、ちょっとゴルフが楽しめれば満足できる性分。それよりも今後、事業承継を考えたとき、できれば生え抜きの社員に譲りたいという気持ちがありますが、給料の安い会社を誰が継ぐだろうかと考えてしまうのです。

経営側の考えとしては、賃金を上げたくともなかなか上げにくいのが本音。ですが、月給を仮に1万円程度上げたところで、働く側にとっては上がったことにならないんですよ。上げるのなら働く側が給与明細を見て、やる気が出る程のサプライズ感は大事だと思います。

しかしながら、私のアプローチが正しいかどうかは分かりません。5年後には周囲から「それ見たことか」と言われているかもしれません。しかしこの1、2年を乗り越えるために人材が必要なのだからやっていくしかない。

さらに社員に対しては、いきいきと働き、業界内で自分は高い給料で働いているのだという意識を持って仕事に取組んでほしいという願いがあります。

―経験者採用でないからこそ、重視する採用基準はありますか

入社後に学べば良いので経験や資格はいりません。社員教育の都合もあるため、採用に関しては現場を知る社員にほとんど任せています。最終的な判断基準は性格といえるでしょうね。また、大変な仕事である現実を理解した上で、それでも働きたいと意欲的に言ってくれる人を採用しています。

―未経験者が必要なスキルや知識を短期間で身に付けるための環境づくりのコツは何ですか

一昔前は残業が当たり前で、年間休日も少ない。一人が三人分働くなんてことも珍しくありませんでした。しかし今は三人分の仕事をこなすには三人必要なのです。そのような現状を嘆くこともできますが、考え方を変えると、人数が増えたことで指導や育成に割く余力が生まれてきたとも感じています。社員数が増えたからこそ、指導できる人が生まれ、社内講習が盛んになりました。人が少ないと手厚い指導などできませんし、”先輩の背中を見て学ぶ時代”と比較して、かつて一年かかって身に付けてきたスキルを、現在では約半年程度で習得していると思います。

社員とともに歩む新たなスタート

―取組んでみた手応えはいかがでしょう

今回、給与体系が大きく変わることにともない、全社員と面談をしました。待遇が悪くなるという話ではない分、お互い気持ちよく話せたと思いますが、良い面ばかり話しても仕方がないので「これだけ賃金アップできるのは何故だと思う? 今後、同じようにアップしたいならば、今までと同じ働き方では上がらないよ」と、もちろんクギは刺しました(笑)。普段、社員一人ひとりとゆっくり話す機会はないものですから、お互いを理解するきっかけにもなりました。

一人分の仕事量で満足する人もいれば、二倍働きたいというやる気のある人もいます。どちらもその人の人生であって、それでいいと考えています。社内的には大きな変化でしたが、よくよく考えてみれば特段変わったことはしていません。ただ、いずれにせよ、やらなければならないことであれば他社の二番煎じでなく、いち早く実行したいというのが私の考えです。

創業44年を迎え、色々なことがありましたが、ようやく自分が思い描く会社のスタート地点に立つことができました。社員と協力会社の皆さんには感謝しています。これからも最悪を想定して最善を尽くしていきます。そして全社員が絆をもち、プロ意識を高め、やりがいのある会社を目指していきたいと考えています。

―ありがとうございました

<聞き手=木下慧輔>

レベル4飛行も焦点に ジャパンドローンと次世代モビリティエキスポがまもなく開催

2022年の様子。

「ジャパンドローン2023」「次世代モビリティエキスポ2023」が6月26日から幕張メッセで開幕する。出展者数は過去最大規模の250社(予定)で、昨年の187社を大きく上回る規模で開催する見通し。目標来場者数は1万8000人を掲げている。

28日までの3日間行われ、展示会・国際コンファレンスともに完全対面形式で実施する今回は、3年ぶりに出展者、カンファレンス講師などを対象にしたネットワーキングレセプションパーティも実施する。また毎年恒例のアワードのほか、ドローンの事業をいかにして継続させていくのか、社会貢献につながるプランなどを発表できる「ドローン×SDGs」企画も実施する。

昨年は3700名が参加した国際コンファレンスは、協賛企業セッション含め約30セッション実施する。ドローンの運用や、最新技術、ユースケースなど、一層ビジネス利用に焦点を当てたコンテンツを揃える。

有人地帯での補助者無し目視外飛行を指す“レベル4”飛行が昨年末に可能になったことから、レベル4飛行に焦点を当てるセッションも揃えている。26日には今年3月に東京・奥多摩町で初めて実施されたレベル4飛行に関わった関係者が集まり、レベル4への挑戦と今後の展望を議論する「レベル4実現に向けて」が行われるほか、28日には「レベル4解禁、ドローン点検は次のステージへ」と題して専門家4名が“ドローン×レベル4×インフラ点検”という観点から、主に都市部におけるドローン点検導入の現状と課題、今後のあり方について、法律面・技術面・運用面において議論する。同じく28日の「レベル4解禁!法改正による、ドローン業界の動向を先読み」ではDIPS2.0による飛行申請から操縦ルール、国家資格制度(登録講習機関・無人航空機操縦者技能証明)、機体認証まで、新たな制度を解説しながら、今年のドローン業界トレンドを、法務のプロが大予測する。

主催の日本UAS産業振興協議会(JUIDA)とコングレが4月に行った説明会で、JIUIDAの鈴木真二理事長は「本格的なドローンの社会実装がスタートする。2025年の大阪・関西万博を控えていることもあり、本展はドローンに関する最先端の展示会かつ最もホットな議論ができる場」と自信を見せ、新たな交流の場、ビジネスチャンス創出の場になることへの期待を示した。コングレの武内紀子代表取締役社長も「展示会の営業を始めた2015年はドローンとは何か、という段階だったが、現在ドローンという名称は市民権を得るまで認知されている。今後も発展に期待できることに加えて、レベル4飛行が可能になったことでドローン産業はビジネスモードになってきた。この勢いが法整備、利活用に関する需要、新たな技術開発や製品サービスの増加につながっている。海外サプライヤーもコロナ禍が収まりに合わせて関心を持っている」と機運の高まりを強調。「展示会を新たな顧客開拓、マーケティングリサーチ、海外提携の足掛かりにして、ビジネスを次のステージにもっていくために活用してほしい」と続けた。