コロナ禍によるイベント業界の落ち込みから、ようやく回復してきたと胸を張って言えそうだ。振り返ってみれば、およそ3年の間に映像業界もイベント業界もじっと耐えていただけということはなく、むしろ大きく様変わりした。今これらの業界に起こっている変化とこれから必要なアクションは一体どんなことだろうか。そこで、日本映像機材レンタル協会(JVRA)と座談会を共催。同協会に所属する4社から、イベント現場を通して変わりゆく業界を見てきた方々に集まってもらい、気づきと次代へのメッセージを聞いた。
◆出演者
・教映社 但木 麻梨恵 さん
・銀座サクラヤ 高野 葵夏 さん
・光響社 古川 美弥 さん
・ユーリンク 栗田 理香 さん
◆業界の大きな変化を感じる時代
─コロナ禍からの復活や映像技術の進歩など、業界の変化のスピードがより増しているように思います。日々お仕事をしながら、どんなことを感じていますか?
但木 コロナでの配信需要対応もそうですが、コロナ禍以前からアナログからデジタルへの移行で機材を買い直したり、新たな知識を蓄えなければならなかったりと、ここ数年はずっと大きな変化に晒されていると思います。例えば、昔ながらの同じ機材とノウハウで行ってきたイベントをデジタル化するには、主要な機材だけでなく配線も新しい組み合わせにしなければいけないんです。リスクを避けたい気持ちからか現状維持を望むクライアントも多いですが、良いイベントを作り続けるためには、人も機材も常にアップデートが必要だと思います。
高野 私は入社1年目でコロナ禍に突入したため、大人数の観客を会場に入れるイベントの仕事をする機会がほぼありませんでした。しかし、最近はそれぞれのイベントがコロナ禍前と近い状況に戻り、観客をきちんと臨みながらの仕事が増えました。自分が映像を切り替えた瞬間に観客から歓声が上がるなど、配信イベントの仕事とは別の緊張感がありますが、観客が喜んでいる顔を直接見られるのは素直に嬉しく思います。
仕事の普段のやり方も、実際に観客がいる現場が多くなってきたことで変わりつつあります。そのため、今後は配信向けの機材だけでなく、リアルイベント向けの機材についても、操作に慣れていかなければと感じています。いかに失敗せずにオペレーションをするかだけでなく、いかに自分の操作で良い演出や絵作りをしていくかを改めて考えながら、イベントと映像に携わってきたいです。