【詳細】博報堂が再発防止策を公表【五輪談合】

5月11日、博報堂DYホールディングスは、特別検証委員会による報告書を、当社取締役会へ報告したと公表した。

博報堂DYホールディングスは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会における各テストイベント計画立案等業務委託契約等に関し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして、株式会社博報堂、また博報堂DYメディアパートナーズの社員が公正取引委員会から告発され、東京地方検察庁より起訴された事態を受け、独立社外取締役を委員長とする特別検証委員会を2023年3月7日に設置し、再発防止に向けた検討を重ねてきた。

特別検証委員会から提出された調査報告書の提言要旨

1. 特別検証委員会の構成委員長:
弁護士 松田 昇(当社独立社外取締役、元最高検刑事部長)
委 員:弁護士 上田 廣一(株式会社博報堂 独立社外監査役 元東京高等検察庁検事長)
委 員:弁護士 菊地 伸(当社独立社外監査役 外苑法律事務所)

2. 再発防止策の提言の要旨

(1) 代表取締役社長からのメッセージ発出

株式会社博報堂及び株式会社博報堂 DY メディアパートナーズの各代表取締役社長から、社内外に対し以下を概要とするメッセージを発出する。

① 一切の事業活動において、独占禁止法を含む法令遵守を徹底すること。

② 独占禁止法違反行為の内容及びリスクの高さを把握した上で、適正な事業活動を行い、疑わしい行為をしないこと。

③ 法令違反行為に対して会社として今後一層厳正に対処すること。

(2) CRO の設置チーフ・リスク・オフィサー(CRO)の設置を実行する。

(3) 役職員に対する研修の実施役職員に対し、独占禁止法に関連した研修を定期的かつ継続的に実施する。

① 役員研修役員に対し、外部専門家による独占禁止法遵守に関する研修を実施する。

② 従業員等研修管理職、管理部長その他従業員及び子会社役員に対する階層別の定例研修、及び全社員を対象とする研修において、それぞれ独占禁止法に関する研修項目を追加する。

③ 入社時研修新入社員及び中間入社社員に対する入社時研修において、独占禁止法に関する研修項目を追加する。

(4) 独占禁止法の禁止事項等をまとめた事例集の作成及び配布独占禁止法違反となる行為や違反が疑われる行為等の具体的事例をまとめた事例集を作成し、役職員に配布する。

(5) 社内規程等の整備
① 就業規則就業規則に独占禁止法違反行為が懲戒理由となることを明記する。
② グループ行動指針グループ行動指針について、独占禁止法違反に関する記載を補完し、独占禁止法違反行為や違反が疑われる行為が重大な行動指針違反であることを明確に示す。

(6) 独占禁止法遵守の観点からの定期的な監査・モニタリング
① 監査等独占禁止法の観点での監査・モニタリング等の実施や、対象とする部門選定基準の見直し等を実行する。
② 内部通報制度の周知等内部通報窓口の存在及び独占禁止法違反行為も通報対象である旨を改めて周知し、通報意識を高める。
③ 社内リニエンシー制度の検討独占禁止法違反行為の実行者・関係者に自主申告を促し、違反行為の早期発見に資するため、違反行為を自主申告したことを懲戒処分において考慮する制度の構築を実行する。

(7) 社内ルールの策定入札案件を可視化し、独占禁止法違反行為や違反が疑われる行為をさせない仕組みを構築するため、入札案件について以下のような社内ルールを策定する。

① 入札案件の社内届出
② 競争事業者との接触の制限等
③ 競争事業者との個別案件に関する情報交換の禁止
④ 入札案件に適用する特別な業務フロー

(8) 大規模イベントにおけるガバナンスの強化大規模イベントについては、特に以下の方法によりガバナンスの強化を図ることを実行する。

① プロジェクトに法務部門担当者の参加を義務付けること。
② ①に対応するため法務部門の充実、強化を図ること。
③ 大規模イベントの入札、受注について取締役会の報告事項とすること。

(9) 海外子会社対応
海外子会社においても、各国の法制等について情報収集するとともに、研修、社内規程の整備、内部通報制度の充実等の施策を実行する。