イベントのDXをサポートする「EXPOLINE」(エキスポライン)などを提供するスプラシア。
その高いカスタマイズ性や、親会社の博展と連携してハイブリッドイベント全体をサポートできることを強みとしている。今回は代表取締役社長の中島優太氏に話を聞いた。
(本記事は2023年5月31日発行 雑誌「EventBiz」【特集】イベントのDX化とハイブリッド/オンラインイベントより抜粋した記事です)
─スプラシアの特徴と強みは
イベントプラットフォーム「EXPOLINE」はセミオーダー型で柔軟性の高い、クラウド型のイベントマネジメントサービスとなっています。これ1つで、オンラインはもちろん、ハイブリッドイベントにも対応が可能です。
その強みは「高いカスタマイズ性」にあります。デザインだけでなく、UI・機能面についても抜き差しやカスタマイズが可能なので、やりたいことや予算に合わせてイベントを開催できます。
機能面の例をあげると、リコメンド(おすすめのコンテンツが表示される)やカート機能、マッチング、クライアントの基幹システムやITツールとの連携などです。giftee(ギフティ)と連携して「動画を3本見たらデジタルギフトをプレゼント」ということも可能なんですよ。
また当社はエンジニアだけでなく、私も含め、イベントのプロデューサーを経験してきたベテランが多く在籍しています。
リアルイベントを手掛ける親会社の博展と連携しイベント全体をサポートできますので、プラットフォームの提供のみならず、企画やコンテンツ制作まで支援できることも大きな強みです。
─昨年度からの変化は
プラットフォーム単体で提供してほしいというよりは、制作プロセスを含めたDXの支援をして欲しいという案件が多くなっています。
例えば出展社との契約をまとめたり、各種申請やコンテンツの収集を管理し、事務局の工数を削減するツールに対しても要望が多く、EXPOLINEの機能を拡張し提供することが多くなっています。
カスタマイズ性を活かした細かい調整を求められることも多く、EXPOLINEの利用事例を見て頂くとわかるのですが、クライアントやイベントによって、ページの見た目も使われている機能も、かなり異なっています。
そのぶん料金は他社よりお高めですが、ブランディングにもつながりますし、イベントごと、クライアントごとに存在する特殊な個別課題にお答えできていると思います。
─最近、クライアントから求められるものは
「コロナ前より、リアルイベントの集客に苦戦している」という声はよく頂きます。
HubSpotのアンケート調査で興味深いデータがありまして、売り手は「対面でのコミュニケーション」を望む回答が多かったのと比較して、買い手は「リモートまたはどちらでも良い」と考える回答が多かったそうです。
主催社はこのような参加者のモチベーションを理解した上で、企画やコンテンツの検討に向き合う必要があると思います。
集客の面でもハイブリッドという形式でイベントを実施する方が良いことは明白なのですが、どうしても準備工数やコストが増えてしまいがちです。そこをいかに準備プロセス含めIT化していくか。
それは成果に直結する課題であり、そのような「イベントの裏方のシステム化」について支援を求められるケースも多いです。
あとは商談数を求められるケースも多いですね。例えば資料ダウンロードやオンデマンドコンテンツの視聴といったログからシステムが自動的に判断し、その参加者にあったコンテンツをリコメンドするなど、商談へのステップを後押しするような機能でサポートしています。
─イベントのDX化について
イベントDXを定義する上で大切なキーワードが3つあると考えています。
①イベント参加の満足度を向上させる「体験価値の向上」
●参加者にとっての情報収集が効率的に進み、探しているものが見つかる。パーソナライズされた体験が得られる。
●非日常の体験や感動が得られる。
パーソナライズの例を挙げると、会場の地図上に情報を表示したり、講演やブースをリコメンドする機能がそれにあたります。
また、来場者は情報収集のためだけに訪れているわけではありません。日常では得られないイベントでの出会いや演出で得られた心が動く体験は満足度の向上につながります。
②準備工数を軽減する「効率化・自動化」
●主催担当者における属人化は薄れ、担当者が変わっても同様のイベント成果が果たせる。
●コンテンツの量産はシステムが担保していき、自動生成やマルチユースが進む。
効率化はリソースを確保しイベントをハイブリッド開催するためにも重要です。
また、イベントは同じ内容でも手掛ける人によって毎回、成果が変わってしまうものですが、ワークフローを可能な限りIT化し、ノウハウを伝播していけば、担当者が変わっても同様の成果が出せるようになるのではと考えています。
なお、今後はコンテンツの自動生成ができるようになります。例えば自動で講演の声を文字起こしして記事、ブログ、ホワイトペーパーを作成するなど、マルチユースが進むと思います。
③データに基づいた意思決定とその高度化を促す「成果の最大化」
●全てのイベントデータが統合され、横断的に分析できる
●成果が事前にシミュレーションできるので投資判断がつけられる
「新規の顧客をこれだけ獲得し、結果的にどのくらい売上げになった」などイベントの成果は、評価に数か月以上の時間がかかることも多いです。
データを蓄積していくことで、「これくらいの規模、投資、人を集めればこのくらいの成果になる」というシミュレーションができるようになり、企業も精度の高い意思決定ができるようになります。
─今後の展望は
主力プロダクトであるイベントプラットフォーム「EXPOLINE」を軸としながらも、さらに新しいプロダクトの開発を続けていきます。
直近ですと、ウェビナー管理ツール「SmartWebinar」をリリースしました。
このツール一つで簡単にウェビナーを開催でき、営業や改善に役立つデータが取得できます。
当社のサービスだけで普段のウェビナーも年に一度のイベントも横断的にデータを取れるようになり、よりイベントの成果が見えるようになります。
「イベント業界に新しいスタンダードを実装する。」というビジョンを掲げ、デジタル技術を使って慣習をアップデートし、イベント業界の未来を拓いていきたいと考えています。