TELMIC(テルミック)がバーチャルプロダクション専用スタジオ
『TELMIC Studio Soka』をオープン
【レポート】


株式会社TELMIC(テルミック)は新スタジオ『テルスタ -TELMIC Studio Soka-』を、埼玉県草加市にオープンした。

本スタジオは、バーチャルプロダクション(インカメラVFX)に特化したスタジオ。

長年テレビ・舞台等の特殊演出を手掛けてきたテルミックらしい「機構×3D映像の連動システム」による、ユニークな映像を撮影することが可能となっている。

今回は、『テルスタ -TELMIC Studio Soka-』の内覧会の様子をレポートする。

※バーチャルプロダクション
今後の撮影手法として期待されている巨大なLEDウォールに映した映像や3DCGの前で実物の被写体を同時に撮影する次世代の撮影システム。従来は演者と背景を別々に撮影して合成する「クロマキー合成」が主流であったが現在はLEDウォールを使ったものが主流になっている。

 

内覧会では、LEDウォールを使用したバーチャルプロダクションの実例が3つ紹介された。

    目次

  1. 実例1. インカメラVFX
  2. 実例2. 機構を利用したインカメラVFXの撮影(仮想空間と機構の連動)
  3. 実例3. スクリーン・プロセス
  4. スタジオの情報:『テルスタ -TELMIC Studio Soka-』とは

なお、『テルスタ -TELMIC Studio Soka-』では現在、最新の技術を使った撮影に興味のある企業や、技術協力のパートナー企業を募集している。

バーチャルプロダクションに興味のある企業や、「本スタジオを使ってこんな技術を実現できますか」など、お問合せご希望の方は以下まで。

テルミックネオ XRプロジェクト
telsta@telmic.jp
担当:西本

 

実例1 インカメラVFX

バーチャルプロダクションの最新技術のひとつ。

カメラの位置やレンズが向いている方向に応じ、LEDウォールにUnrealEngineによる3D背景動画を同期させて表示。演者などの被写体を同時に撮影する。

カメラと仮想空間内がリアルタイムでセンサーによりリンクして、リアルな映像を作り出す。テーブルや椅子などリアルなオブジェクトを配置することで、よりCGとリアルの境目が薄れ、説得力のある映像を作り出すことができる。

↑ カメラを動かすと、それに合わせて窓の外に映る風景も変化している。また、鏡にもしっかり外の風景が映り込んでいる。グリーンバックで撮影する場合、不必要なものが映り込まないよう気を遣わなければならないが、インカメラVFXならば好きなアングルで撮影が可能だ。

↑ グラスの後ろにちゃんと背景が映り込んでいる。クロマキー合成では難しい、インカメラVFXならではの表現だ。また、LEDウォールの映像がフローリングを模したフロアシートに反射している。これも違和感のない映像になっているポイント。

実例2 機構を利用したインカメラVFXの撮影
(仮想空間と機構の連動)

↑ インカメラVFXを用いた仮想空間が、LEDウォールに表示されている

ベルトコンベアに仕込まれているセンサーが、ミリ単位で動いた距離を計測。仮想空間が同じ距離だけ動くことで、あたかもその空間内を歩いているかのような映像を撮影することができる。

また、ターンテーブルを回すと仕込まれているセンサーが角度を計算。仮想空間を回し、あたかもカメラが演者の周りをぐるっと回って撮影しているような映像が撮れる。

2つを組み合わせると上動画のような映像を撮ることができる。

もし機構を使わず撮影する場合、演者を巨大なLEDウォールで囲む必要があるが、本スタジオでは狭いスペースでの撮影が可能となっている。


ベルトコンベア付きターンテーブル
 
テルミックオリジナルの機材。


フルサイズボックススタイルカメラ
 
バーチャルプロダクション用のカメラも用意している。RAW撮影が可能で、軽く取り回しがしやすい。

↑ 天井の映像が環境光としての役割も果たしている。窓からの光の差し込みも壁側面のLEDがカバーしている。

また天井からの光が演者を追従し、顔を照らしているため照明板を持って付いて回る必要もない。

実例3 スクリーン・プロセス

事前に撮影した映像やCGを、LEDウォールに映し出して撮影する手法。

記事前半で説明した「インカメラVFX」と違い、カメラが動くことで映像が変化することはない。

風景と同じような空を映し出すことによって、風景と同じ照明環境をこの場所に作り出すことが可能。LEDウォールが照明の役割を果たしており、その照明を演者が受けることによって馴染みのある風景・映像となっている。

また、現場監督、照明など全スタッフが、モニターに出ている絵をファイナルイメージとして共通の認識をもって絵作りに取り組むことができるのも大きなメリットだ。

クロマキー合成とは違い「後から抜いて合成する」という手間がなく、髪の毛など処理が難しい部分のクオリティも上がる。

背景映像を変更しながら、短時間で様々なシーンの撮影が可能だ。

内覧会では、テルミックの大蘆代表が「インカメラVFXを手軽に使って頂くことをコンセプトにつくったスタジオです。こういうことはできるのか、もっとこういう使い方をしたらいいんじゃないか、そういったアイデアを膨らませていただいて、ぜひこのスタジオを今後使っていただければと思います」と述べ、来場者に積極的な活用を呼び掛けていた。

また、技術製作部テクニカルディレクターの川村氏は「インカメラVFXという手法は、完全には確立されていない部分が多く、クリエイターの方や撮影する方々のアイディア次第でいろいろなことが可能になってきます。今回、ターンテーブルの他にも「こういう機構は可能か」などアイデアがありましたら、テルミックでも制作することができますので、どんどんアイディアを寄せていただいて、皆さんと一緒に面白い映像、クリエイティブな映像を作っていけたら嬉しいことだと思います」と述べ、内覧会を締めくくった。

『テルスタ -TELMIC Studio Soka-』

横8m×縦4mのLEDメインスクリーンを設置しているほか、天井と側面に照明用のLEDスクリーンを設置。
広さは約100㎡、高めの天井高をほこり、CM撮影・PV撮影・インサート撮影など、LEDウォールを使ったあらゆる撮影に対応している。
オリジナル機材の「べルトコンベア付きターンテーブル」などをインカメラVFXと連動することで、ユニークな映像を撮影することが可能だ。
 
住所:〒340-0017 埼玉県草加市吉町4丁目5−6

ミーティングルームや演者の更衣室も完備
外観

 
『テルスタ -TELMIC Studio Soka-』では現在、最新の技術を使った撮影に興味のある企業や、技術協力のパートナー企業を募集している。

バーチャルプロダクションに興味のある企業や、「本スタジオを使ってこんな技術を実現できますか」など、お問合せご希望の方は以下まで。

テルミックネオ XRプロジェクト
telsta@telmic.jp
担当:西本