◆万国博覧会とオリンピックの相違点は?
大型イベントと言えば、国際博覧会とオリンピックが挙げられる。様々な相違点があるが、読者が押さえておくべき点は、次の5点であろう。
①国際博覧会はオリンピックと異なり、開催に当たっては国の保証が必要となる。すなわち赤字が出れば、最終的に国が責任を持つということを意味する。
②開催国の選定は、オリンピックの場合、IOCの委員の選挙で決定されるが、国際博覧会の場合、加盟国(各国の政府代表)の選挙による。
③会期が登録博で6か月、認定博で3か月と期間が長いこともあり、主催国、公式参加国の負担もオリンピックより大きい。
④オリンピックは、スポンサーが多数集まり収益性が高いが、国際博覧会は、赤字になる可能性もある。
⑤オリンピックと比較しても、国際博覧会の組織ははるかに大変で、膨大なエネルギーが必要とされる。万博とオリンピックの2つの大イベントを組織した国は、北米の米国、カナダ、欧州のフランス、英国、イタリア、スペイン、ドイツ、ベルギー、オーストリア、アジア・オセアニアの日本、韓国、中国、オーストラリアの13か国にすぎないことでも理解できる。堺屋太一さんは、よく万博の組織は、オリンピックの10倍かかると言っていた。
◆国際博覧会とMICE・展示会イベントの相違
国際博覧会とMICE・展示会イベントの相違点につき次の7点で説明しよう。
①国際博覧会は、前述のとおり、国際条約に基づく大規模イベントで、国や国際機関が主たる出展者である。
②開催規模が格段に広大である。過去の大型の登録博(一般博)の総面積を見ても、2020年ドバイ万博、438ヘクタール、2010年上海万博、328ヘクタール、1967年モントリオール万博、287ヘクタール、1992年セビリャ万博、215ヘクタール、1970年大阪万博、150ヘクタール、2015年ミラノ万博、110ヘクタールとなっており、その大きさが理解できよう。
③会期が長いことである。認定博の場合でも3か月、登録博の場合、6か月であり、会期中は休みなしで、1日あたり12時間程度営業する。
④来場者数が膨大であることだ。上海万博の7308万人、大阪万博の6421万人、モントリオール万博の5031万人、セビリャ万博の4182万人は別格としても、登録博の場合、総じて2000万人程度になる。
⑤主催国、参加国ともに投資額が相当額に達することである。主催国の場合、道路、橋梁、鉄道、会場整備、EXPO村等のインフラ整備費、自国パビリオン・テーマ・パビリオンの建設等に必要に応じ、投資しなければならない。参加国の場合でも、スペース代は無償であるが、パビリオンの建設・装飾費・運営費等で大きな出費が伴う。展示会のブースは、3日〜4日持てばいいが、博覧会のパビリオンは、半恒久建築になるのでコストがかかる。また勤務時間が長く、会期中休日無しなので、1つの勤務ポストに通常3名の配置を準備しなければならないこと等もコスト高に繋がる。
⑥文化イベントが盛りだくさんなことである。主催者及び参加国による歌、踊り、コンサート、演劇、オペラ、サーカス、展示会、スポーツイベント等が毎日のように、会場内外、パビリオン内で行われるし、各国のナショナル・デーには、式典と各種パーフォーマンスが行われる。
⑦海外の要人往来が頻繁である。参加国のパビリオンでも国家元首級のVIPが多数訪れる。ましてや主催国となると要人往来の受け入れだけでも大変である。筆者がセビリャ万博の日本館の業務に従事していた時でも、会期中、国王、大統領、首相級の要人、19名、各国の大臣級、190名を受け入れた。博覧会は、国際交流に大いに貢献するイベントである。
(▽次回の更新は2月7日です。)