レポート サステナブルテーマに講演 運営方針にもひと工夫 JCMA

JCMA人材育成委員会は3月6日、都内・SHAKOBAで「第2回会員向け研修会」を開催した。研修会はハイブリッド形式で行われ、オフラインでおよそ50人、オンラインでおよそ70人が参加した。
研修会のテーマは「事業活動を通じたサステナブルなMICEへの取組み」。進行を務めた人材育成委員会の奥野晃治副委員長は「サステナビリティに向けた取り組みはステークホルダーとともに推進する必要がある。やるべきことは管理部門や事業部門など業務に応じてさまざまだが、今回は事業部門に焦点を当て、営業担当者がクライアントに提案できる、事業活動に直結できる内容にしている」と趣旨について説明した。

基調講演は東京観光財団の戸田加寿子コンベンション事業部長による「サステナブルMICEの開催に向けた東京都の取組・施策について」。主催者が国際会議の開催地を選定する際に地域がサステナビリティに配慮した取組みを行っていることが要件に入っている事例が出てきていることから、戸田氏は東京都がサステナビリティに貢献する体験プログラムの開発や、主催者向けサポートデスクの設置、MICEによるCO²排出量の予測ツールの提供など、取り組みについて説明。またサステナビリティ事業はコストがかかるという意見があることから、環境配慮型MICEの助成金制度を立ち上げ、都として積極的に支援していくことを強調した。戸田氏は「サステナブルMICEにはステークホルダーとの連携が何よりも大事。主催者の意見を聞きながらサステナブルMICE都市東京の実現を図っていきたい。また今後は主催者だけでなく、MICE施設事業者、参加者、出展者を対象とした取組みも検討していきたい」と語った。

企業からはイベントで使用された電気を再生可能エネルギーに置き換えることができるJTB コミュニケーションデザインの「CO²ゼロMICE」や、帝国ホテルが実施する宴会におけるサステナビリティ活動「Something Sustainable for Banquets」、昭栄美術の循環可能なディスプレイを実現する取り組みについて各社が発表した。
その後JCMAのSDGs委員会から、会員企業に向けて行ったサステナビリティ活動に関するアンケートの結果について共有が行われた。回答からは取組み内容については6割強が環境に向けたものであること、課題・ハードルとして、スコープ3の対象となるイベント事業全体の排出量の把握の難しさ、経営層を含んだ社内への浸透、主催者やステークホルダーへの理解などが挙げられた。
人材育成委員会の本多志郎委員長は最後に、「各発表を通じて業界全体で取り組むべきことと、企業でできることの2軸が明確になったのではないか」と手ごたえを示し、今後もテーマに沿った研修会の開催に意気込みを示した。

研修会は人材育成委員のメンバーが日常業務と異なる業務を受け持つ形で運営を行った。機材レンタルやネットワークインフラ整備を行うキッセイコムテックの洞口佳雅氏は「オンライン配信用のカメラを担当した。講演者をワイプで抜いて、画面内容に合わせて講演者を映した。事前にスピーカーが講演しているときはバストアップで、始まる前はオールパンで、と話し合って決めていたが、細かい調整は即興で行った。普段イベントの裏側の景色を見ることとはあっても、オペレーションすることはないので新鮮で面白い体験だった。撮影のプロは表情や話の内容で映像を切り替えると思うので、難しい仕事だということもわかった」と語った。各担当業務の割り当ては委員の話し合いで決まり、スイッチャーや配信卓が人気だったという。