イベントリスクマネジメントの重要性説くセミナー実施  日本イベント協会

日本イベント協会(JEVA)は5月23日、JEVAイベントプロデューサー・フォローアップセミナー「『イベントリスクマネジメント《入門編》』 ~「イベントリスクマネジャー」職の確立に向けて」を同協会の会議室で行った。エムアテンドジャパンの須賀啓臣代表取締役と、目白大学メディア学部特任教授の岡星竜美氏が講師を務めた。須賀氏は以前消防に所属し、実際の事故現場での経験を経て、現在はイベントやドラマ・映画の撮影現場で安全管理を行っている。

エムアテンドジャパン/須賀啓臣代表取締役

講義では「病院前救護学(プレホスピタルケア)」というキーワードとマラソン大会を例に、主催者や運営が考えておくべきポイントを紹介した。けが人が出た場合、マラソンコース上での対応と救護所での対応は異なる。須加氏は「事故が起きてしまったり、けが人が出てしまったりした場合、イベント会場でできることは『現状よりも悪くさせないこと』。誰がどのように通報するか、救護所以外で倒れた人を運ぶか、処置の判断は誰が行うかなどを、主催者は組み立てておく必要がある」と話した。

また「リスク」の定義について、聴講者と共に共有した。「リスク」とは目的に対して目的と違うことが起こることであり、マラソンで例えると、ゴールへの到着が目的のランナーに吹く、向かい風だけでなく追い風もリスクに含まれる。すべてのイベントは意図的に人を集めており、どんなイベントでも人がいる。この「人」がリスクになり得るという。

“大きな事故”は要素の積み重ねで起こるものであり、この積み重ねを一つずつ紐解いて解消するのがリスクマネジメントだ。リスクマネジメントは主催者にとって、参加者からの信頼につながり、何かあったときに被害を少なくする点からも重要だという。イベント全体、各セクションと段階ごとに、異なるリスクと対策方法があり、影響の大きさや地域特性によって、どこを重点的に対策するかが変わる。

ほかにも実際に事故が起きた現場の写真を見ながら、どんな危険があるかを発見し解決する能力を高める「KYTトレーニング」を周囲と話し合いながら体験するワークショップも行った。
須加氏は「お金をかけなくてもリスクマネジメントはできる。関係者が共通で認識を持つことで、リスクを大きく低減する」と強調した。