【対談】「Kアリーナ横浜」のビジネスイベントの可能性(Kアリーナマネジメント×グローバルプロデュース)

2023年9月29日、横浜・みなとみらいに音楽特化型アリーナ「Kアリーナ横浜」(以下、Kアリーナ)がオープンした。そのスペックの高さから大きな注目を集めた同施設だが、実はコンサート以外のビジネスイベントにおいても大きな可能性を秘めている。今回、Kアリーナを運営するKアリーナマネジメントの田村剛社長と、これまで多数のビジネスイベントを成功させてきたグローバルプロデュースの光畑真樹社長に、Kアリーナの活用方法について語ってもらった。
(インタビュー=2024年3月13日)

田村 剛 氏(左)と光畑 真樹 氏(右)

 

世界にも類を見ない「音楽特化型アリーナ」の可能性

ーーKアリーナの特徴について教えてください

田村 日本にこれまでなかった、世界的にもほとんど類を見ない音楽に特化したアリーナです。劇場型の構造で最大22,000人を収容できるため、規模的にも世界最大級です。設備にも力を入れていて、スピーカーやステージなど、基本的な演出や舞台設計で必要なものはほとんど備えています。資材や機材の持ちこみを最小限にできるのはもちろん、グリッドを天井から降ろすことができるので、高所での作業も不要です。

アリーナのような大型施設は得てして利便性の悪い場所に建てられがちですが、Kアリーナは横浜駅の徒歩圏内に位置しているため、ロケーション的にも優れていると言えます。

ーー日本に新たなエンタメ文化を生んでくれることが期待されますね

田村 これまでの日本のエンタメ文化は、開演直前に会場に来て、終わったらすぐ帰るという人がほとんどでした。Kアリーナは食事スペースやバーラウンジを併設しているため、イベント前後も含めて楽しむことができるようになっています。VIPエリアにも力を入れているので、ラグジュアリーな空間で、特別な体験をしていただくことが可能です。

―光畑さんはイベントプロデューサーとして、Kアリーナにどのようなイメージを抱きましたか

光畑 日本のコンサート文化は若者が中心ですが、Kアリーナは音楽に特化したアリーナでありながら高齢の方も落ち着いて過ごすことのできる、大人向けの施設だという印象を受けました。

田村 そのような工夫は随所に凝らしています。例えば、アリーナによっては前の人が邪魔でステージが見えない場合がありますが、Kアリーナは座席が千鳥配列になっていますので、どなたでも落ちついてステージをご覧いただけます。

それから、開演前に若い方が立ったまま、あるいは地面に座って食事をされている光景をテレビなどで見たことがある人も多いのではないでしょうか。Kアリーナの場合、約400人が座って食事をできるスペースを設けている上、施設内には11の売店も入っていますので、商業施設で過ごすようなゆったりとした時間を過ごしていただけるかと思います。

Kアリーナ横浜(昼景)
メインホワイエ
VIPエリア

 

高まる企業からの注目!MICE向けのプランも用意

ーー「Kアリーナといえば音楽」というイメージが強いと思いますが、ビジネスイベントでの活用についてはいかがでしょう

田村 Kアリーナは音楽特化型アリーナですが、企業に向けたMICE∗プランもご用意しています。実際に、企業の周年イベントやインセンティブなどで使いたいという問い合わせを多方面から既にいただいています。

光畑 当社も昨年、Kアリーナを使った初の大規模ビジネスイベントをプロデュースしました。全国から約6〜7,000人の社員が集まり、優秀社員の表彰や次の1年に向けたキックオフを行うといった内容でしたが、使ってみてKアリーナの基本設備のクオリティには驚かされました。

私は仕事柄、世界中のイベント会場に足を運ぶことがありますが、それらと比べてもKアリーナのホスピタリティレベルやデザインレベルは優れていると感じます。

ーービジネスイベントで使う場合、キャパが大きすぎて気になるということはないのでしょうか

光畑 カーテンで席を隠すといった工夫をすることで、規模に合わせた仕様にできます。むしろ同じ規模の会場を探すとなると、ドームなどはスポーツの試合が組まれていることが多いので、音楽特化型のアリーナがビジネスイベントでも使えるのはとても助かります。

Kアリーナは企業にとって非常に魅力的な施設だと思います。一度使ったら次も使いたくなりますし、週末はコンサート、平日は学会やシンポジウムといった理想的なMICEの使い方でポテンシャルを発揮できるのではないでしょうか。

ーー今後のKアリーナの運営、プロデュースに対する展望をお聞かせください

田村 Kアリーナは今までにない特徴のアリーナです。ぜひ、ここでしかできないイベントやMICEを発掘して欲しいです。まだオープンから日が浅いですが、2度、3度と使ううちに新しい使い方が見えてくることを期待しています。

光畑 プロデューサーである前に一人の日本人として、アジアを代表する施設が横浜に誕生したことを嬉しく思います。VIPラウンジではクローズドな商品発表会なども実施可能で、どのような使い方をするか考えるだけでワクワクします。

アリーナ内観(ステージ側)
アリーナ内観(客席側)
アリーナ内観(全体)

(本記事は『見本市展示会通信』第920号に掲載した記事を一部編集したものです)

∗MICE:企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議 (Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字を使った造語で、これらのビジネスイベントの総称。