【政府】観光の今後について方針を発表 「地方への誘客促進」と「オーバーツーリズムの未然防止・抑制」

岸田首相は7月19日、総理大臣官邸で観光立国推進閣僚会議を開催し、観光の現状および今後の取組について議論し、「地方への誘客促進」「オーバーツーリズムの未然防止・抑制」を重視することを発表した。また具体的な施策を発表し関係各所へと指示した。

発表の中で首相は

「訪日外国人旅行者数は、6月が単月で過去最高の314万人となり、観光庁の推計では、2024年は、過去最高を大きく更新して、3500万人、旅行消費額も8兆円が視野に入る勢いです。

2030年の訪日客数6000万人、旅行消費額15兆円の目標水準も視野に入る状況を踏まえ、「地方への誘客促進」と「オーバーツーリズムの未然防止・抑制」に取り組むことが重要です」

と述べ、また、以下のように具体的な施策を発表した。

「地方への誘客促進」について

次の5点に重点的に取り組む。

①燃料不足で新規就航や増便ができない全国15空港・週140便の事例を重く受け止め、その解消に向け、週150便超相当の航空燃料確保を含む緊急対策を直ちに講じる。

その上で、2030年6000万人達成には、主要空港の機能強化だけでなく、地方空港での就航拡大が不可欠であり、ハード・ソフト両面での制約が支障とならないよう、地方空港の就航拡大に必要な新たな支援策を含め、秋に予定する経済対策を念頭に取組を加速する。また、デジタル技術を活用した出入国の円滑化にも徹底的に取り組む。

②観光資源の多様化に向けて、スポーツ・ツーリズムの視点から、プロスポーツ、来年の世界陸上、再来年のアジア大会等を念頭に、チケット販売など、デジタル技術を活用しつつ、外国人観光客対応を強化する。

③ネイチャー・ツーリズムの視点から、全国35カ所の全ての国立公園において、先端モデル事業を踏まえ、国立公園制度100年を迎える2031年までに、地域の理解と環境保全を前提に、世界水準のナショナルパーク化を実現すべく、民間活用による魅力向上事業を実施する。

④地方観光の魅力向上に向け、全国11地域の高付加価値化モデル観光地に、山形、佐渡、富士山麓エリアの3地域を追加する検討を加速化。

また高速道路周遊パスによる地方観光の移動コストの節約支援と、渋滞緩和に資する高速道路料金体系の見直しや休日の観光移動需要への対応に取り組む。

⑤二次交通の確保が不可欠であり、交通空白解消本部を司令塔として、地方公共団体と連携し、デジタルを活用しつつ、交通空白の解消と利便性の確保に強力に取り組む。

「オーバーツーリズムの未然防止・抑制」について

全国20の先駆モデル地域に、小豆島、高山、那覇など6地域を追加して対策を講ずるとともに、この成果を踏まえつつ、全国各地における対策の参考となるよう、年内に、指針を取りまとめる。

その際、富士山の山梨県側で登山者数上限の設定と通行料徴収が開始された一方で、静岡県側に登山者が集中することが懸念される事案を含め、地域のオーバーツーリズム対策において国有地など国の関与が支障にならないよう、政府を挙げて、積極的に協力する。

これらの課題に、政府を挙げて一体的かつ重点的に取り組み、増額が見込まれる国際観光旅客税財源も弾力的に活用して、インバウンド拡大と、持続可能な観光地域づくりを強力に進めていく。