過去最大規模となった「東京ゲームショウ2024」27万4739人のファンが来場

9月26日から29日までの4日間、幕張メッセで世界最大級のコンピューターゲームの展示会「東京ゲームショウ(TGS)2024」が開催された。出展者数985社、出展小間数3252小間と過去最大規模での開催となった今回、会期4日間で歴代2位となる27万4739人が来場した。その模様をレポートする。

オープニングセレモニー

ゲームハード・ソフト展示
今年のTGSで特に大きな注目を集めたのが、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)ブースだ。5年ぶりの出展となる今回、11月7日に発売予定の最新ゲームハード『プレイステーション(PS)5 Pro』を出展。既存のPS5と比べGPU性能の大幅アップ、レイトレーシング技術(光の動きのシミュレーション)進化による表現力向上、AIによる解像感向上、既存タイトルのパフォーマンスを向上させるゲームブースト機能搭載など、さまざまな面で進化を遂げた。さらにブースでは、PS 30周年に合わせた限定モデル「アニバーサルコレクション」もお披露目。初代PSを彷彿とさせるデザインがゲームファンの期待感を煽った。

PS5 Pro
PS5 Pro LIMITED EDITION

一方、ゲームソフトで最も話題となったタイトルは、カプコンの『モンスターハンター(モンハン)ワイルズ』だろう。ブースには「2025年2月28日狩猟解禁!」という、モンハンシリーズお馴染みのフレーズがデカデカと掲げられ、発表後初めての試遊をするため大勢のファンやメディアが押し寄せた。150台以上の試遊スペースを設けたにもかかわらず整理券は数分で配布が終了する人気ぶりで、SNSでは「モンハン遊べなかった悔しい!」といった嘆きの声を投稿するファンの姿も見受けられた。

カプコンブース「モンハンワイルズ」試遊エリア

そのほかにも、今年はスクウェア・エニックスが11月14日に発売予定の『ドラゴンクエスト3』HD-2Dリメイクや、セガが来年2月28日に発売予定の『龍が如く8外伝  Pirates in Hawaii』など、人気タイトルの最新作が数多く展示・試遊されており、歴代TGSの中でも随一の熱気を感じさせることとなった。

スクウェア・エニックスブース『ドラクエ3』HD-2Dリメイク試遊エリア
セガブース『龍が如く8外伝  Pirates in Hawaii』試遊エリア

セミナー・発表会
ビジネスデイ(26日・27日)に行われたセミナーは、ゲーム業界の人間であれば聞き逃せない内容ばかりだった。

基調講演では、PSの生みの親として知られる久夛良木健氏(アセントロボティクス代表取締役CEO / 近畿大学 情報学部 学部長 教授)が、PS 30周年を機に登壇。久夛良木氏は初代PSからPS3までの開発を指揮したことで知られているが、当時ゲーム機開発の実績がない中でソフトメーカーとのつながりを構築しするのは並大抵の苦労ではなかったという。そのような状況からいかにPSを世界最大級のゲームハードに成長させていったのか、また、その経験から推測する今後のコンピューターゲーム産業の展望を語った。

基調講演

TGSの主催者であるコンピュータエンターテインメント協会(CESA)が2日目に行った「CESA発表ステージ」では、「CESAゲーム産業レポート」が初公開された。これは「CESAゲーム白書」をリニューアルしたもので、2004年から2023年にわたる国内ゲーム市場規模の推移や、その年のトピックス、主要地域を踏まえたグローバルの比較と共に、コンソール・PC・モバイルなどプラットフォームごとの主要トピックスを取り上げている。レポートによるとゲーム産業のグローバル市場規模は約30兆円と4年間で約2倍に伸長しており、国内ゲーム市場においてはPC市場が4年で約3倍に成長していることなどが分かる。レポートは今年12月20日に発売予定だ。

さらに、同ステージではCESAが文化庁や日本芸術文化振興会と連携して推進するゲーム分野の育成プログラム「トップゲームクリエイターズ・アカデミー(TGCA)」についても発表。プログラムの全体指揮はレベルファイブの社長兼CEOである日野晃博氏が行い、国内外で高い評価を得るIP(知的財産)を創出しゲームにとどまらないクロスメディア展開などを手掛けてきた実績から、世界的に活躍するクリエイターを育成していくという。

CESA発表ステージ

日本ゲーム大賞2024
日本の優れたゲームを表彰する「日本ゲーム大賞2024」では、経済産業大臣賞を『プレイステーション』が受賞、年間作品部門大賞を『ゼルダの伝説ティアーズ オブ ザ キングダム』が受賞(ベストセールス賞、優秀賞とのトリプル受賞)した。

『ゼルダの伝説ティアーズ オブ ザ キングダム』

『プレイステーション』は1994年の発売以来、ゲーム市場に大きな変化をもたらすとともに、長年にわたり日本のゲーム産業発展に貢献してきたことが、『ゼルダの伝説ティアーズ オブ ザ キングダム』は幅広い世代のユーザーから熱狂的な支持を得ていることが選考理由となった。

また、シンプルなルールを用いた独創的なアイデアが光る『8番出口』がブレイクスルー賞を、ニンテンドースイッチDL版での発売後、複数のストリーマーが紹介したことをきっかけにプレイヤー数が急増した『スイカゲーム』がムーブメント賞を受賞した。

さらに、TGS2024出展タイトルを対象にユーザーによるオンライン投票と審査員による審査会を経て選出されるフューチャー部門では『アークナイツ:エンドフィール』、『幻想水滸伝I&Ⅱ HDリマスター 門の紋章戦争/デュナン統一戦争』、『真・三國無双 ORIGINS』、『ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…』、『ペルソナ5:THE Phantom X』、『メタファー:リファンタジオ』、『モンスターハンターワイルズ』、『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』、『レイトン教授と蒸気の新世界』、『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』の10タイトルが選ばれた。

進化し続けるTGS
そのほかにもTGS2024では「AR/VR」、「eスポーツ」、「インディーゲーム」、「ビジネスソリューション」、「ゲーミングハードウェア」といったさまざまなコーナーが展開された。定番となりつつある「ゲーミングライフスタイル」コーナーではニトリやイケアといった家具販売企業がゲームのある快適な暮らしを提案。ストリーマー向けのゲーミングマンションや防音室などを出展する企業もあった。

ニトリブースではモンハンコラボ家具を展示

また、幕張メッセでのリアル会期を挟む9月20日から10月6日までの期間で「東京ゲームショウデジタルワールド(TGSDW)」も開催された。VRやPC、スマホを使い、バーチャル空間ならではの展示や演出を楽しむことができ、中には大阪・関西万博を主催する2025年日本国際博覧会協会など一風変わった出展者も見られた。

TGSDW 2025年日本国際博覧会協会ブース

TGS2024は会期4日間で27万4739人の来場を記録。2018年の29万8690人に次ぐ歴代2位とった。なお、2025年のTGSは9月25日から28日までの4日間幕張メッセで開催予定となっている。