Aichi Sky Expoが今年8月末、開業5周年を迎えた。開業から展示会や国際会議、コンサートをはじめ、多くのイベント開催を支えてきた。そして10月には食の総合展「FOOD STYLE Chubu」の初開催が決定している。
そこで5年間の運営で磨かれた会場の価値を見つめ直し、催事と会場による連携の展望について、施設を運営する立場とイベントを主催する立場から、それぞれの思いを語ってもらった。
〈登壇者〉
・Aichi Sky Expo(愛知国際会議展示場)代表取締役社長
モルガン・ショドゥレール 氏
・イノベント 執行役員 第1事業部長
倉石 剛治 氏
空間だけではなく成長を促すサービスを提供する
―開業5周年おめでとうございます。今の率直な気持ちをお聞かせください
モルガン まず「感謝」という言葉が思い浮かびました。開業当時から今まで支援をしてくれた愛知県と、地域のホテル協会、交通機関、空港を含む、ステークホルダーの皆さんに深く感謝します。周囲の力添えがあったからこそ、開業5年という短い時間の中で多くのイベントを当会場に誘致し、開催することができました。また今日も会社を支えてくれている社員に、感謝の気持ちを伝えたいです。
―倉石さんはAichi Sky Expoの建設が決定したときの印象を覚えていますか
倉石 地方の展示場としては最大級の規模で、展示会業界全体が大きなインパクトを受けたと記憶しています。モルガン社長とは以前から展示会の開催に向け情報交換を行っていましたが、昨年初めて実際に会場を視察しました。やはり視察時にも、その規模に圧倒されました。
―5年間の運営を経て、改めて感じる施設の強みはどんな点でしょうか
モルガン 指定管理者の視点だけでなく、イベントを成功まで支援するノウハウを持っている点です。当社はイベントを生業とする一企業ですが、ただ場所を貸すだけではなく、クライアントがどんな課題を抱え、解決に向けてどのように取組んでいるかを分析します。そして顧客のイベントの成長に何が必要であるかを考え、サービスを提案しています。
愛知県や常滑市との連携の強さも、Aichi Sky Expoの長所です。常滑市・伊藤辰矢市長とは定期的に面談し、イベントのスケジュールや経済効果、顧客のニーズについて情報を共有しています。
―展示会を主催する立場から、Aichi Sky Expoの長所はどんな点にあると思いますか
倉石 まず空港直結の会場であることです。イノベントが大阪や九州をはじめ各地で展示会を展開しているのは、東京開催のみでは出会えない、地方の小規模な事業者による出展や来場をカバーするためです。地域に根差した企業の情報を多くの方に見てもらうためには、僕らがその地域で展示会を開催するのが最も確実です。とはいえ地方の開催では、開催地近隣からの来場者が多くなります。主催者としては、もちろん県外のバイヤーにも地域の優れた生産品を訴求したいと考えます。これには全国または海外から来場者を呼ぶ必要がありますが、空港が直結している当会場は、遠方からの来場者も誘致しやすいです。これは大きなメリットです。
「FOOD STYLE Chubu」初開催が決定 継続を見据えて
―今年の10月23日、24日の2日間、「FOOD STYLE Chubu」が初開催されます。なぜ会場にAichi Sky Expoを選んだのでしょう
倉石 決め手となったのは、会場と地域による手厚い協力体制です。開催発表までに会場による県や市とのつながりを活かした支援を受けました。実際のところ、ここまで初開催に向けて地域と共に準備をしたのは初めてかもしれません。今回は特に県には、出展企業と来場企業の誘致に協力していただきました。展示会内の企画も共催しており、親身になっていただいています。
施設としての機能の高さも、開催を決めた要素のひとつです。特に駐車場の台数が多い点が魅力でした。地方の展示会場は多くの場合、催事の規模を拡大すると、施設会場の各インフラが来場者や出展者の数に追いつかなくなってしまう問題を抱えています。
駐車場はその傾向が顕著であり、全館規模の展示会を開催すると、駐車場が足りなくなったり、出入り口で渋滞が起こったりしてしまうことがあります。その点Aichi Sky Expoは十分な台数の駐車場があり、これから展示規模を拡大しても駐車場の運営がスムーズにできると思います。
モルガン 「FOOD STYLE Chubu」をはじめイベントの進化のため、今後会場に望むアップデートはありますか?
倉石 今のところ、会場自体の機能に不満点はありません。ただ会場が位置する空港島に渡る際、必ず有料道路を通らなければならないのが、運営者と参加者を含め少し負担になっています。高速道路の開放や鉄道特急券の割引、シャトルバスの運行といった交通手段の支援があれば嬉しいです。
モルガン 考えられる支援策としては、主催者への一括でのサポートでしょうか。個人個人で有料道路の割引を実施するのは、来場者と空港へ向かう人々の区別がつかず、かなり難しい状況です。
倉石 なにかしらの支援をいただけるのであれば、どんな形でもありがたいです。個々には主催者で対応します。例えば今回は、会場の駐車場を利用されている来場者の方は有料道路を通ったと判断できますので、限定でクオカードのプレゼントを考えています。こうした施策に対して会場や地域からサポートがあれば、より使いやすい会場として他の利用者から認知されていくのではないでしょうか。
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