日本映像機材レンタル協会(JVRA)は7月19日に「業務担当責任者会議」をホテル イースト21東京で行った。会議内のプログラムで、映像関連の展示会「ISE2024」と「InfoComm2024」の視察を行ったツアーの報告会をパネルディスカッション形式で実施。実際に視察に行ったメンバーが気になった機材や演出、ラスベガス市街の様子を会員と共有した。
〈登壇者〉(写真左から)
ファシリテーター
・菊地 利之 氏/ヒビノ
パネリスト
・後藤 崇 氏/ヒビノシグマライズ
・但木 麻梨恵 氏/教映社
・木村 壮平 氏/エージーエーコーポレーション
パネルサポーター
・石丸 隆 氏/シーマ
IP 伝送に関する考察
菊地 実にISE ツアーは4年ぶり、InfoComm ツアーは5年ぶりの再開となりましたね。それでは早速、InfoComm 視察チームから紹介していただきたいと思います。
まず ➊ Blackmagic Design 社のブースですね。そのうちのコンバーター ➋「Blackmagic 2110 IP Presentation Converter」はパネリスト全員が注目する機材です。どのあたりが魅力ですか?
但木 この製品はSDI やUSB-Cが付いていて、パソコンをつなぎながら映像音響機器から音を出力するなど、同時に複数の動作をこなしてくれます。
ほかにもブース内ではHDMI やSDI といった従来のケーブル伝送の規格のみ対応する製品から、この機材のようにIP 映像伝送(以下IP 伝送)※も含めて対応する製品まで幅広い展示がありました。イベント全体でIP 伝送を意識した製品が多く、私たちもIP 伝送を無視できなくなってきていると感じます。
※ IP 映像伝送…IP 技術を用いて映像伝送を行うことで、どんな機器・場所からでも映像を送信し、共有できる技術。
菊地 仕事でIP 伝送を使う機会って、やっぱり増えていますか?
但木 機会が増えたというより、今後のために機材を見極めて選ぶべき時期が来たと思っています。4K映像をリアルタイムで伝送できる程度のスペックの機材は、今も現場で使っていますが、今後4K以上の映像をリアルタイムで扱う仕事が主流になってくるなら、高速でIP 伝送ができる機材の購入も視野に入れていかないといけない。となると、この製品「Blackmagic 2110 IP」のように幅広い規格で使える製品が候補に入ってきます。
菊地 皆さんの会社でもIP 伝送ができる機材が増えていると思いますが要望は多くなっていますでしょうか?また今後の動向についてはどう見ていますか?
石丸 僕らもIP に対応するシステムや機材は「KAIROS」をはじめ実際に運用しています。但木さんがおっしゃったように、4K 以上の映像をSDI で送るのはいずれ限界がやってくると思います。現段階のレベルでの長距離伝送や12GB 程度の重さなら事足りるのですが、今後はそれ以上の長距離、重い映像を取り扱うことになるのではないかと。
今までIP 伝送を僕らが避けてきた原因は、映像の「見た目」とネットワークの「環境」。100Gbps でやり取りができるインターネット環境の土壌ができあがり、リアルタイムで送られる映像がきれいになるなら、これからもっとIP 伝送についても学ぶべきなのかな。ですからIP 伝送に関する商品はもっと注目し、見極めていくべきでしょうね。
(次ページへ続く)