◆テーマと主要イベントについて
表2でテーマの選定と主要イベントを列挙した。2014年以降、毎年テーマが選定されている。原則、毎年新しいテーマが選定されているが、2017年と18年の東京開催、2019年と20年の大阪と沖縄開催の2回、同じテーマとなっている。この点もルールを決める必要があるだろう。
表2 ツーリズムEXPOジャパンの過去10回のテーマと主要イベント
年 | 場所 | テーマ | 主要イベント |
2014 | 東京 | 新しい旅が始まる | JAPAN NIGHT、JATAツーリズム大賞、ツアーグランプリ、国際観光フォーラム、商談会、展示会、観光庁・日本政府観光局主催Visit Japanトラベルマート及びVisit Japan MICEマート、東1~6ホール使用 |
2015 | 東京 | 動く。感じる。旅になる。 | 5つの事業、①国際観光フォーラム、②アウトバウンド・国内商談会、メデイアミーテイング、③展示会、④第1回ジャパン・ツーリズム・アワード、⑤JAPAN NIGHT、東1~6ホール使用 |
2016 | 東京 | 旅は変える。人生を。世界を。 | 5つの事業、①ツーリズムEXPOジャパンフォーラム、②アウトバウンド・国内商談会、メデイアミーテイング、③展示会、④第2回ジャパン・ツーリズム・アワード、⑤JAPAN NIGHT、日本政府観光局主催のVisit Japanトラベル&MICEマート(東6ホール)東1~6ホール使用 |
2017 | 東京 | 創ろう。ツーリズムの「新しいカタチ」 | 5つの事業、①ツーリズムEXPOジャパンフォーラム、②アウトバウンド・国内商談会、訪日ランドオペレーター商談会、メデイアミーテイング、③展示会、④第3回ジャパン・ツーリズム・アワード、⑤WELCOME RECEPTION JAPAN/WELCOME RECEPTION WORLD、インバウンド・観光ビジネス総合展(日経共催)東1~6ホール+7ホール(VISIT JAPAN トラベル&MICEマート) |
2018 | 東京 | 創ろう。ツーリズムの「新しいカタチ」 | 4つの事業、①ツーリズムEXPOジャパンフォーラム2018フォーラム&セミナー、②展示商談会、③第4回ジャパン・ツーリズム・アワード、④WELCOME RECEPTION、インバウンド・観光ビジネス総合展(日経共催)、東1~6ホール+7ホール(VISIT JAPAN トラベル&MICEマート) |
2019 | 大阪 | 私に旅は、新しいステージへ | 4つの事業、①ツーリズムEXPOジャパンフォーラム2018フォーラム&セミナー、②展示商談会、③第5回ジャパン・ツーリズム・アワード、④WELCOME RECEPTION、インバウンド・観光ビジネス総合展(日経共催)、IRゲーミングEXPO 2019、VISIT JAPAN トラベル& MICEマート |
2020 | 沖縄 | 私に旅は、新しいステージへ | 4つの事業、①ツーリズムEXPOジャパンフォーラムフォーラム&セミナー、②展示商談会、③OKINAWA NIGHT、④第6回ジャパン・ツーリズム・アワード |
2022 | 東京 | HELLO NEW JOURNEY | 4つの事業、①フォーラム&セミナー、②展示会、③商談会、④交流事業、VISIT JAPAN トラベル&MICEマート、トラベルソリューション展2022(日経共催)、GOOD LIFE フェア(朝日新聞主催) 東1~6ホール |
2023 | 大阪 | ひらけ未来へ 未来に出会える旅の祭典 | 4つの事業、①フォーラム&セミナー、②展示会、③商談会、④交流事業、第7回ジャパン・ツーリズム・アワード、トラベルソリューション展2022(日経共催), VISIT JAPAN トラベル&MICEマート |
2024 | 東京 | わくわくは、無限だ。旅、それは新たな価値との遭遇 | フォーラム&セミナー、展示会、商談会、交流事業、第8回ジャパン・ツーリズム・アワード、トラベルソリューション展2024(日経共催)東館1~6ホール+7ホール(VISIT JAPAN トラベル&MICEマート) |
主要イベントについては、各年の報告書の主要イベントを列挙したものだが、毎回、名称がかなり変更されていることがわかる。ジャパン・ツーリズム・アワードは変化なく使用されているが、JAPAN NIGHTなどのレセプション、フォーラム、商談会等々、名称がたびたび変更されている。併催事業として、2017年より、日本経済新聞社との共催による「インバウンド・観光ビジネス総合展」および日本政府観光局主催の「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート」が開催されるようになった。その後、「インバウンド・観光ビジネス総合展」が2019年になくなり、2022年から現在に至るまで、同じく日本経済新聞社との共催で「トラベルソリューション展」が開催されている。この2つの展示会の違いも不明である。
◆主催3団体の役割分担は?
ツーリズムEXPOジャパンの主催者は、日本観光振興協会、日本旅行業協会、日本政府観光局の3団体である。3団体がそれぞれの強みを生かして、相乗効果を発揮することが期待されるところである。毎年、開催報告書が公表されている。それによると、2022年の東京開催時には、組織委員会の構成は、組織委員長は、日本観光振興協会会長、副委員長は日本旅行業協会会長と日本政府観光局理事長で、委員は20名(23年大阪では、24名)、実行委員会は、委員長が日本旅行業協会会長、副委員長は日本観光振興協会理事長と日本政府観光局理事長代理で、委員の数は19名(23年大阪は25名)となっている。この両委員会の構成は、2017年以降3団体共催になって以降、ほとんど変わっていない。この構成からみると、実際の実行は、従来より比較的大規模に展示会を開催してきた日本旅行業協会が主導権を持ち、日本観光振興協会と日本政府観光局が側面的に協力するという構図であると推測される。日本政府観光局は、インバウンド部門で、商談会の開催やUNWTO事務局長などの幹部招聘など積極的に関与しているものとみられる。また、2017年からは、「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート」の組織運営にも当たっている。
誰が、展示会全体の目的、コンセプトや方向性を企画設定し、どのように内外の出展者を誘致するのか、また来場者誘致戦略・戦術や広報PR戦略は誰が立案するのかが見えにくい印象である。現在の体制がうまく機能しているのかどうか部外者には想像がつかないが、3社が一致協力して、原点に戻り「ツーリズムEXPOジャパン」活性化戦略を策定し、誇張ではなく「世界最大級」の観光展示会に発展させていただきたいものだ。
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その2では、「ツーリズムEXPOジャパン」を一層充実・活性化するにはどうすれば良いかを考えてみたい。