■はじめに
前編①で、このEXPOの簡単な歴史と現状について紹介した。後編では、それらを踏まえどうすればより一層充実・拡大することが可能かにつき、筆者個人の意見を述べたい。
本来であれば、最初に提起すべき事柄がある。展示会の目的、性格、方向性などの基本的な考えである。例えば、①展示会の目的:この展示会の目的は何か、インバウンドを促進するためか、アウトバウンドを推進するためか、両方を追求するためか、そのバランスは50―50か? それともどちらかの比重が高くなるのか? 等々。 ②展示会の性格:商談ビジネス重視なのか一般大衆を巻き込んだPR型重視なのか? 即ちBtoBを重視するのか、現在のようにBtoBtoCで一般の来場者にも同様な関心を払うのか? ③展示会の拡大:世界最大級とは何か? 展示面積の大きさか? 出展者の数か? 来場者の数か? 来場者の質か? 出展者の数はわかりやすいが、最小単位のブースが多くなれば、出展社数は増加する。大きなパビリオンを持つところが増えれば、出展者数は減少する。一般来場者に開放すれば、当然ながら来場者数が増加する。等々、様々な問題がある。 ④展示会の主催者:世界における重要な観光見本市の組織・運営は、多くの場合、民営の展示会運営専門会社が行っており、ビジネス中心が主流である。ツーリズムEXPOジャパンのように半官半民の主催者が開催している例は殆どないようである。このような形の運営には、当然ながら、メリットとデメリットがあるが、メリットを最大限活かすにはどうすればよいのか?
そこで、この提案では、現状のような形、すなわち、3組織共催、BtoBtoC、アウトバウンド、インバウンドと日本人の国内旅行を含めた総合的な形式で進むものとして、内容を質量ともに改善する方法を考える。 以下の提案の中には、すぐにでも実施可能なもの、少し時間がかかるもの、予算が伴うもの、人材や組織間の協力が必要なもの、他の組織を巻き込む必要のあるもの等様々なものが含まれる。筆者は、貿易振興の専門家であるが、観光振興業務に従事した経験はないので、中には的外れ的なアイデアもあるかも知れない。しかし、日本経済における観光産業の重要性を認識し、真にこの分野の発展を望む一個人として、意見を述べさせていただくということをあらかじめお断りしたい。このレポートについての様々なコメントを期待したい。
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