【レポート】「Japan MICE EXPO 2024」日本 MICE の魅力を国内外に発信

(※本記事は雑誌「EventBiz」Winter(11月発売)からの転載記事です。)

JapanMICEEXPO2024実行委員会(大阪観光局、大阪国際会議場、大阪国際経済振興センター)は10月17日と18日の2日間、インテックス大阪で「JapanMICEEXPO2024」を開催した。「JapanMICEデスティネーションEXPO」「MICE開催支援EXPO」の2展で構成された同展の模様をレポートする。

オープニング

開会式では主催者を代表して、インテックス大阪の運営者でもある大阪国際経済振興センターの北岡均理事長が挨拶した。

北岡氏は同展について「MICEの重要性を改めて訴え、日本のMICEブランドを国内外に発信する場だ。今回、アジア・オセアニア10カ国から、30名のMICE主催者や関係者に来ていただいた。ピッチイベントやファムトリップ、交流会を通じ、ビジネスチャンスを提供させていただく。国内のMICE主催者とMICE関連サプライヤーとの商談会を実施することで、素晴らしいMICEになることを確信している」と語った。

さらに2020年からのコロナ禍にも言及し「IT化を促進したのは間違いないが、改めて人と人が交流する素晴らしさも認識された」として、MICEが経済効果だけでなく、人との出会いを創出し、情報や知見が公開され、未来に良い変化をもたらすものであるとした。

来賓からはまず、大阪府府民文化部都市魅力創造局の増田將雄局長が登壇。

「大阪府はこれまで、大阪市をはじめ関係機関とともに国内外のMICE誘致に積極的に取組んできた。中でも我が国がはじめて議長国を務めた2019年のG20大阪サミットや、世界最大級の旅行博ツーリズムEXPOジャパン2019および2023はインテックス大阪で開催され、国内外の多くのメディアに取り上げられ、経済効果のみならず大阪の魅力を広く発信した」と発言。

また、「2025年大阪・関西万博まで残すところ180日を切り、その後にはIR開業も控えている。大阪で開催されるMICEは今後ますます注目されるだろう」と語り、大阪府として大阪が持続的な成長をするためにもMICE誘致に力を入れる必要があると認識を示した。

続いて、大阪市経済戦略局の岩谷和代理事が登壇。

岩谷氏は「大阪市は大阪府と共にMICEの開催や誘致を推進している。中でもインテックス大阪は全国でも有数のMICE施設であり、これまで国内外の多彩な展示会やイベントが開催されてきた。

JapanMICEEXPO2024はMICEに関するさまざまな業種・立場の方々の交流や商談を通じ、大阪から国内外へ情報発信し、さらなるMICE開催につながる場だ」と述べた。

そして、「今回の展示会には出展者としても参加しており、大阪市が有するユニークベニューとして活用できる施設を紹介している。皆さまにとって魅力的なMICE都市であることを伝えられると思う」と語り、その一例として大阪迎賓館や大阪中之島美術館、大阪市中央公会堂などを挙げた。

その後、テープカットが行われ、JapanMICEEXPO2024が盛大に幕を開けた。

展示

JapanMICEEXPO2024には全国のMICE関連企業・団体128社が133小間にわたって出展した。

構成展の1つであるJapanMICEデスティネーションEXPOには、全国の自治体やコンベンションビューロー、MICE施設が数多く出展。

2025年2月24日にオープン予定のあなぶきアリーナ香川(香川県立アリーナ)は、中四国最大級の1万人収容が可能で、サブアリーナと武道施設を使い分けることでスポーツイベント、コンサート、ファッションショー、国際会議、武道大会、発表会などさまざまなシーンで利用可能な多目的アリーナ。既に一般利用受付を開始しており、ブースではアリーナのジオラマを展示することで、ブース来訪者に利用イメージを伝えた。

また、姫路観光コンベンションビューローでは2021年9月にオープンしたコンベンション施設アクリエひめじを中心に、学会や大会の誘致を呼びかけた。ブースには日本の重要文化財である姫路城の写真が大きく貼り出され、国内外からの来場者の興味を引きたてた。

もう1つの構成展であるMICE開催支援EXPOでは、さまざまなMICEサプライヤーがユニークな製品やサービスを出展し、新たなMICE開催の可能性を示した。

パナソニックグループでは「オールインワンMICEソリューション」として、9つの製品・サービスを展示。そのうち、「シルキーファインミスト」は何もない空間にミストでスクリーンを形成する技術で、物理的な仕切りがないため人が通過することが可能な上、ミストが細かいためほとんど濡れ感がないのが特徴だ。

また、アバター式リモート案内サービス「TAZUNE」はAIと有人オペレーターのハイブリッド対応で、定型的な問い合わせは高性能AIエンジンが自動で応答し、必要に応じて有人対応に切り替えることができるシステムとなっている。これにより、受付、案内、接客業務のDX化を実現する。

あなぶきアリーナ香川のジオラマ

 

アバター式リモート案内サービス「TAZUNE」

セミナー・イベント

会場内のイベントステージでは国内外のゲストによる、さまざまなセミナーやトークセッションが行われた。

最初のセッション「SustainableMICEの現在地-ぶっちゃけ、主催者はどこまで本気?-」では、シンガポールで活動するPCMA(ProfessionalConventionManagementAssociation)アジアパシフィックのマネージングディレクターFlorenceChua氏と、AONIA/MICECarbonマネージングディレクターのDanielChua氏が登壇。MICE産業における現在のアジア市場をどのように捉えているかなどを論じた。

「今なお成長中or成熟期?東南アジア市場のいま」ではAcclaimSAVOIRマネージングディレクターのAlvinValencia氏、EventsTravelAsiaマネージングディレクターのMaxBoontaweeJantasuwan氏が登壇。

東南アジア市場で台頭している主催者像などについて持論を展開した。JapanMICEEXPO2024の特別協力団体である日本コンベンション協会(JCMA)によるセミナー「繋がる、拡げようJapanサステナブルMICE」では、JCMAのSDGs委員会に加え、コングレ、マッシュ、大阪国際会議場からゲストが登壇。持続可能なMICE開催に向けて、どのようなことに気を付け、取組んでいくのか意見を交換した。

また、同協会も制作に関わっている「イベントMICE関係者のための使いやすいサステナビリティガイドブック」も紹介した。

さらに会場内のステージだけでなく、MICE関係者らが一堂に集うということもあり、インテックス大阪内ではさまざまなイベントが行われた。

日本展示会協会(日展協)と全国展示場連絡協議会(全展協)は会議室で意見交換会を実施。主催者とMICE施設運営者が屈託のない意見を交わしつつ、首都圏以外の地方開催実現に向けたアイデアや、安全管理問題などを話し合った。

また、JCMAはインテックスカフェで会員交流会を開催。同協会では2025年に設立以来初となる大阪での社員総会を予定しているほか、関西支部の設立に向けても動き出しており、関西での活動を強化していく方針だ。

セッション「Sustainable MICEの現在地」
セミナー「繋がる、拡げよう Japan サステナブルMICE」
日展協と全展協の意見交換会
JCMAの会員交流会

OsakaNight

初日の夜には出展者を対象にした、国内外バイヤーやセミナー講師と交流ができるネットワーキングイベント「OsakaNight」がインテックス大阪至近のグランドプリンスホテル大阪ベイで行われた。

開会の挨拶には、大阪観光局の溝畑宏理事長が登壇。溝畑氏はMICE市場規模が世界で約200兆円と言われており、去年8.5%の伸びを見せたことに言及。

一方で日本のMICE市場規模は約2兆円に過ぎず、日本のGDPや交通インフラ、受け入れ態勢を考えると成長の余地が多いことを指摘。

その上で、「いよいよ来年は2025年大阪・関西万博が開かれ、2030年には大阪で日本初のIRが開業する。これは大阪にとって重要な成長インフラであり、高品質なMICEを大阪全体で誘致していく体制が整備されつつある。例えば医療や食、ものづくり、スポーツなどさまざまな分野のMICE誘致に対し、官民挙げて取り組んでいく」と話し、大阪をMICEにおける西日本のハブと位置付けた。

また、MICEは点ではなく面で都市づくりや政策とコミットすることが重要だとして「皆さんの力を結集してハードとソフトを充実させ、2030年までに日本のMICEの市場規模を10兆円にしていく気持ちで一緒に頑張っていこうではないか」とMICE関係者らに檄を飛ばした。

来賓からはJCMAの近浪弘武代表理事が登壇。

近浪氏は「来年の大阪・関西万博と2030年の大阪IR開業を楽しみにしている。世界中の人々が大阪を見て、食べて、体験し、自国に帰って大阪という素晴らしい都市を宣伝してくれると思う。そしてまた、その評判を聞いた世界中の人が大阪に集まるだろう」と語った。

また、海外バイヤーを代表してベンチャーマーケティングCEOのNitinSachdevaが登壇。Sachdeva氏は「今回大阪に初めて来て、インフラ設備がとても素晴らしいと感じた。ただ新しいだけでなく昔からの伝統と融合している。今回招いていただきとても感謝している、これからもこのような関係が続いて欲しい」と述べた。

その後、日展協の堀正人会長が乾杯の発声を行った。堀氏はコロナ禍が明けてMICEの重要性は再認識されているとした上で、「MICEは開催地の経済を活性化する重要産業であるとともに、社会課題解決に資するソーシャルグッド産業だ」と語り、MICEを生業とする人々に次世代へ明るくバトンをつなげてほしいと展望を述べた。

大阪観光局 溝畑理事長