【特集 2025年、経営者の視点】
人手不足を変えるための第一歩
【アドヴァンス企画・小室 弘之 代表取締役社長】

展示会・イベント業界は、変化する市場や社会のニーズに応える柔軟性と革新性が求められている。本特集では業界を牽引する経営者たちに、2025年に向けたビジョンや挑戦、重要テーマを語っていただいた。

(※本記事は新聞「見本市展示会通信」(2025年1月15日号)に掲載された「特集 2025年、経営者の視点」から転載しています)

 

――景況感をお聞かせください

ありがたいことに展示会関連の仕事は多く、新規案件やコンペを獲得する機会もあります。ただ仕事が取れても実際に施工する人手が足りなくて困っています。当社は自社工場があるため、施工の半分は内製化していますが、残りは協力会社に依頼しています。しかし協力会社も慢性的な人手不足を抱えています。案件があっても施工を担う人手がなければ業務は回りません。営業やデザイナーはともかく、制作系は人が集まりづらい傾向があります。大手の建設業界ほどの認知度もなく、「展示会・イベント業界で施工」というとイメージしづらいからかもしれません。

――人手不足に対する取組みは

いろいろ試しています。例えば、私は中学生の軟式野球チームの保護者仲間とのつながりがあって、そこで「アドヴァンス企画で一緒に働かないか」と誘ったりしています。実際に面接の機会を設けたこともあります。

社内でも「人事は他人事ではない」と全社員に呼びかけています。一人につき三人くらいに声をかけてみろと。もしかすると草の根的に少しずつ候補者が出てくるかもしれません。とにかく何でも試してみないと先に進まないので、私は入院したときでさえ、看護師さんたちに名刺を配って宣伝したぐらいです(笑)。

――若手社員の教育はどのように進めていますか

営業や制作に関しては、外部講師を招き基礎的な研修をお願いしたり、社内ベテランが工法や業界のしきたり、見積りの作り方などをレクチャーする勉強会を実施しています。
もちろん、現場に出れば学べることも多いですが、何も知らない状態で飛び込むより、最低限の知識を身につけてからのほうが効率がいい。小さな会社ほど丁寧な教育をしてあげないと人が定着しにくいですから。

――今年の方針は

今年の3月で設立45周年を迎えます。そのタイミングで人事制度や社内ルールを大きく見直そうと考えています。働き方改革の影響もありますし、昔のように「一人で三人分」なんて無理な時代ですから、より効率良く動ける体制を整えるしかありません。

それから人材育成の面でも大きく変えていきたいですね。次の50周年に向けて、さらに若い世代が中心になって会社を回していけるようにしたいと考えています。