(以下は新聞・見本市展示会通信からの転載記事です)
東京都と東京観光財団(TCVB)は、1月22日に「東京都MICEシンポジウム」を開催した。東京・港区のベイサイドホテルアジュール竹芝と、八丈島の八丈町多目的ホール「おじゃれ」の2つの会場を中継でつなぎ、基調講演とシンポジウムを行った。
冒頭、TCVBの鈴木勝専務理事が挨拶。観光経済のうちビジネスイベンツの状況についても触れ「世界獣医師大会や世界哲学大会などの国際的かつ大規模な会議の東京開催が決定した。さらに八丈島をはじめとした島しょ地域や多摩地域での開催もあり、着実に実績を重ねている」と説明。東京都は2030年までに国際会議開催件数を世界3位以内に押し上げることを目標に、公金はじめ政策を講じていく構えだ。
プログラムの第1部ではMPIJapanChapter名誉会長・山本牧子氏が「参加者が満足するMICEのデザイン 海外参加者のニーズから探る満足度向上へのヒント」をテーマに講演。ビジネスイベンツで参加者の満足度向上につなげるためには、テクノロジーとホスピタリティによる、参加者にストレスをかけないスムーズな運営が重要であると説いた。
アクティビティについては、地域によってニーズが異なり、北米では自由時間を多く確保すること、欧州ではグループの食事、アジアは文化・観光が求められる傾向に変化していることから、山本氏は「属性に併せて個別のニーズに対応し、パーソナライズされた内容のコンテンツにしていくこと、五感に訴える驚きの要素があると参加者の記憶に残る。また地域の人々と共に参加するアクティビティがあると満足感が高くなる」と、要点を解説した。
次に、国際会議の「感動品質」について東京女子大学矢ヶ崎紀子教授が登壇。参加者の満足度向上を考える際に重要な要素として「当たり前品質」と「感動品質」という2種類を挙げた。「当たり前品質」は参加者にとって充実していることが当たり前の要素群で、「感動品質」は質が良ければ参加者の驚きを生む要素群。準備段階のやりとり、登録・予約・進行管理、交通アクセスなどが当たり前品質にあたり、学術プログラムやユニークベニュー、食事などが感動品質に該当する。矢ヶ崎氏は「感動品質が満足度を、当たり前品質が信頼を生み、いずれも参加者の満足度向上には欠かせない。チームの連携体制が重要だ」と解説した。
第2部はパネルディスカッションを行い、令和6年度東京都国際会議ボランティア事務局・関敦氏、DMO芝東京ベイ・田中敦典氏、八丈島観光協会・田村真吾氏、DMO東京丸の内・藤井宏章氏が登壇。ビジネスイベンツにおいて大切にしていることや、参加者の満足度向上によって期待できる開催地のメリットなどについて意見交換を行った。
エンディングでは八丈太鼓六人会が八丈太鼓パフォーマンスを披露。また会場ホワイエでは八丈島の特産品コーナーを設置し、八丈島エリアの魅力をPRした。