次世代の採用と育成
─人材の育成について、課題に感じていることはなんでしょう
鵜澤 いかに若い社員にやりがいを感じてもらえるかを常に考えています。映像業界といえば、コンサートのように華やかな仕事を想像して業界に入る人も多いですが、当社の仕事は華やかとは言い難い。だから、どう仕事を前向きに捉えて、楽しみを見出してもらえるかなと。僕はこの仕事を面白いと思ってやっているから、自分の感じている面白さをどうすれば彼らに感じてもらえるかが課題ですね。
飯野 どうしても「背中を見て覚えろ」という時代ではなくなっているので、若手の育成も試行錯誤しながら進めています。例えばOJTに入る前の期間、半年間ロールプレイングと現場とを2週間ごとに切り替えて、ちょっとずつ成功体験を重ねてもらう取り組みもチャレンジしました。丁寧に研修教育をすることによって、定着率の上昇という意味では、だんだんと状況が変わっています。
森谷 若手の育成は、今まさにすごく当社が悩んでるところ。取り組みははじめているけど、教える方も「背中を見て覚えろ」で覚えてきたから、若手が何を知りたがっているか、抜けている知識がどれかを、うまく掴めていない。
以前当社の教育では、若手に先輩をつけて現場に行かせて勉強させていました。でも若手は先輩がいるとどうしても頼ってしまいます。先輩と後輩で役割分担になって、結局若手が自分の仕事の範疇はここまでだと線を引いてしまう。これはいけないと思って、最近はある程度の技術が身についたら若手にも責任を持たすようにしました。やらせてみると案外一人でツアーを回って、一皮むけて帰ってきますよ。
鵜澤 映像の仕事って失敗が目立ってしまうし、うちは株主総会メインですから絶対に失敗できないシーンもある。もちろん失敗に対するプレッシャー、現場の緊張感って相当なものだと思うんですよ。だからこそ失敗を恐れるあまり、先ほど森谷さんがおっしゃってたように、自分で自分の仕事を線引きして、失敗しない範囲で小さく収まっちゃう。一歩踏み込んで新しいことにチャレンジする気持ちが今の若手は少なくなっていて、同じような心配が僕にもあります。現場にしても営業にしても一緒で、もっとトライしてほしい。失敗してもいいから、安心して砕けてこいみたいなね。
森谷 昔の方がよく謝ってたような気がしますよね。最近謝ってない気がする。
鵜澤 今の若手はリテラシーや対応力の高さなど、良いところはいっぱいある。でも今は情報があふれている時代で、求めなくても入ってくるから、自分で新しいものを取っていくような貪欲さや泥臭さがちょっと足りないかなと。
僕も若手が責任を持って、自分で新しいことにチャレンジできて、そこに楽しみや喜びを見出してもらえるようにしていきたいです。
飯野 私も若手にはたくさん失敗してほしいと思っています。私もたくさん失敗をしてきて、それが自分の技術になって、自信につながりました。チャレンジと失敗を繰り返せば、仕事の良い進め方も見えてくる。あとはできるだけ若手の意見を抑え込まないように気を付けていますね。できるだけチャレンジしてもらって、うまくいかなければ当然彼らも反省するわけですけど、そこで得られるものは重要だと思います。
永渕 ほかの3社の皆さんと違って、当社が各地に営業拠点を持っているからこそのアプローチですが、下関と東京はじめ事業所が各地で点在しているため、事業所ごとで仕事への温度差が出ないように意識しています。相手にしている会社やイベントの規模の差はありますが、事業所を越えて横割り、同期や近い世代同士でつながりを持つようにと伝えています。そうすればストロベリーメディアアーツの仕事の幅広さも自然と分かってくれるかなと。
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