
(以下は新聞・見本市展示会通信4月15日号からの転載記事です)
2月24日、中四国最大級の1万人規模となる「あなぶきアリーナ香川(香川県立アリーナ)」がオープンした。4月以降も続々とスポーツイベントや有名アーティストのライブの開催が予定されている。アリーナの特徴と展望について、運営課長・友国崇氏に聞いた。
地域のスポーツ文化を 活性化させる
―オープンの背景についてお話しください
旧県立体育館の閉館以降、近隣の公立体育館では利用希望者が増え、予約が取りにくい状況が続いており、スポーツ大会をはじめとした各種イベントが開催できる体育館のオープンを望む声が地域から高まっていました。こうした地域のニーズを受けて、幅広いスポーツ大会が開催できることや生涯スポーツ活動の拠点となること、コンサートやMICEでの利用にも対応することを目的に、当施設は建てられました。
景観と調和しながら 最新の機能を 備える
―各空間の特徴をお話しください
メインアリーナは中四国で最大級規模の1万596人を収容します。床が通常時はコンクリート敷きとなっており、必要に応じて全面を手動で木製の床に切り替えられます。
地域の大規模なスポーツ大会の開催を想定して導入しており、バレーやバスケット、卓球をはじめとした、各種コートを何面も作ることができます。
客席の上部は天井まで続いておらず、吹き抜けとなっており、外のエリアとつながっています。開放感を作り出すとともに、外からアリーナのにぎわいが分かる構造です。メインアリーナのほかにも2928人を収容するサブアリーナと、武道場も備えています。メインアリーナの外は交流エリアとして、カフェも常設しました。アリーナの利用がない日に、交流エリアの一角を一般開放しています。ちょうど瀬戸内海が一望できる場所で、すでに地域の方にも利用いただいています。
また当施設は同規模の施設と比べて、非常に背の低い建物です。瀬戸内海を含む近隣の景観を壊さないように配慮した結果、低い構造を採用しています。

―他施設と比較して強みはどんな点ですか
立地が大きなアドバンテージだと考えています。JRと私鉄・琴平線の駅からほどなく近く、徒歩5分圏内に位置しています。
またアリーナの周囲3方を囲むプロムナードも、施設の特徴であり強みです。プロムナードには車を入れられる箇所があり、入場列の整理での利用やキッチンカーの設置、ラッピングトラックの展示、大型バスの一時停車も可能です。
地域MICEの 振興と経済効果を 見据えて
―予定しているイベント、誘致を強化しているイベント についてお話ください
スポーツイベントはもちろんのこと、コンサートや展示会についても積極的に誘致を進めています。現在、穴吹エンタープライズ、ファイブアローズ、デューク、ハンズオン・エンタテインメント4社の共同体である「香川アリーナコンソーシアム」で運営しています。
コンソーシアムを構成する各社の事業は、施設会場の管理やプロバスケットボールチームの運営、イベントの制作・企画と専門性があり、それぞれの得意分野を活かしたイベント誘致ができる点が強みです。
香川県は県内に収容人数1000人を超えるホールが5つあり、地方都市としては会場が充実していました。しかし国際的な大規模なMICEには、どの施設もキャパシティが足りていませんでした。従来、5000人を超えるような大規模な催事では、屋外の広場で開会式を実施し、あとは各会場に分かれて分科会を行うのが、主な開催のスタイルとなっていました。これが大規模なイベントを香川県に呼び込みにくい要因の一つでした。コンサートについても、アリーナツアーを主としたアーティストが、香川県に訪れていない状態でした。ですが、あなぶきアリーナ香川のオープンにより、会場のキャパシティによる誘致の壁が解消されました。今後は各分野のより幅広いイベントを誘致していきます。
―今後のアリーナの目標をお話しください
今まで香川県になかった規模の施設がこの土地に完成し、地域に対するインパクトは非常に大きいです。先日開催したとある有名アーティストのイベントでは、2日間それぞれで8000人ほどが集まりました。
このように多人数が動くイベントは、地域の住民の皆さんや近隣施設、商店街といったエリアの協力なしでは成り立たちません。現在も香川県MICE誘致推進協議会を中心に、高松観光コンベンションビューローとホテル、ホール、国際会議場と定期的に意見交換し、連携を深めています。地域に愛されている芸術祭や街角の音楽イベントなどととも協力し、地域と一緒に地域を盛り上げるアリーナとイベントを育てていきたいです。