田中旅日記 どさんこーれ札幌 その4 スペシャルトークセッション前編

 

札幌国際プラザとTCEB、および大田マーケティング公社との覚書調印式につづいて、
スペシャルトークセッションが開催されました。
パネラーはTCEB社長トンチャイ・スリダマ氏、韓国大田マーケティング公社の蔡勲(チェ・フン)氏、観光庁次長の志村格氏。モデレーターは札幌国際プラザ代表理事の中田博幸氏が務め、3か国のMICEリーダーが、今後のアジアMICEの方向性を確認するとともに、アジアMICE促進ネットワーク構築について論じました。

冒頭で観光庁の志村格次長が日本の置かれている状況について説明。
国際会議開催の意義として、1万人規模の国際会議開催によって、約38億円の直接消費(経済効果)、税収も1.6億円の効果があるという試算を紹介。世界の国際会議開催の状況として、以前は全体の半数が欧州で開かれていたが、さいきんはアジア、中近東、南米の件数が伸びている。しかし日本は国内最多の東京がICCA基準で41位と下がっており、アジア太平洋地区の競争激化のなか日本の地位が下がっているという現状を説明していました。

観光庁の取組としてはマーケティング戦略の実施、MICE推進体制の構築、通信網や交通機関の整備、多言語表記、ボランティアなどの受入環境の向上などを進めていく方針とのことです。

マーケティングについては、ドラッカーやコトラーの論を引き合いに、自分の売りたいものでなくて相手の求めているものを提供するという考え方に触れたほか、3C、4Pといったマーケティングの基本をMICEに当てはめて戦略を構築する必要性をあげていました。

MICEマーケティングの成功例として、韓国・大田のターゲットプロモーションを説明。科学技術を中心とした国際会議に絞って誘致活動を展開したこと、世界の都市とアライアンス関係を締結するなどして、年間100万人の参加者を誘致した実績を説明。そのほか、医療・生命科学に特化したコペンハーゲン、デジタルアート技術など先進分野を強化した米国・オーランドなどの例をあげ、日本も具体的なターゲット設定することの重要性を強調していました。

MICE都市としての売りについては、交通アクセス、世界クラスの施設、ホテルの規模やサービス品質、豊富な料理、ショッピング、国際都市などでは、他の都市との差別化が難しいという考えでした。MICE開催地として期待される、会議の運営、会議内容の質、に加えて、会員が増えることや多数の出席による収入増加などオーガナイザーへの価値提供がいいのではないかということです。

理想的なビジネスパートナー、MICE成功へのカスタマイズ対応を売り出すシンガポールや、ビジネスと自然資源の活用を融合したマレーシアの例をあげ、これまでの一律的なMICE目的地としてのセールスポイントに加えて、都市の特徴を活かした新機軸を打ち出すことを提案していました。

スペシャルトークセッション、まだ続きます。マジメな旅日記がいつまでもちますでしょうか。(田中:2013年2月26日取材)

 

田中旅日記 どさんこーれ札幌

その1:札幌に内外のMICE関係者集結 ~札幌/北海道MICEコンテンツマート~編

その2:札幌市主催の歓迎パーティ編

その3:札幌国際プラザ、タイTCEB・韓国大田マーケティング公社とMOU締結編