台湾イベント協会、日本MICEを学ぶ

台湾イベント協会(賴東明理事長)、台湾貿易センター、広告代理店、大学教授を含む台湾MICE関係者ら23名は、8月5日から9日までの5日間の日程で来日し、日本MICEを学ぶために関連施設や関係機関を視察。来日2日目となる8月6日には、東京グリーンパレスを会場に、日本イベント産業振興協会による講義を受けた。

日本イベント産業振興協会(JACE)では、常務理事の原正彦氏が「今日は、MICEに強い関心をもつ皆さんと2つのことを共有したいと思います」と話し、さいしょにJACEの事業および日本国内のイベント市場規模を、次にJACE会員による業務紹介として、博報堂プロダクツの東京スカイツリープロジェクトの事例からイベントの「安全」をつくるという視点で、2つの講義が行なわれた。

JACEの事業については、原常務理事が『人を育てる。イベントを育てる。日本を元気にする。』をテーマに具体的な事業内容と日本のイベント市場規模などについてを紹介。原常務は、日本におけるイベントの現状として、リアルなコミュニケーションメディアとして期待が高まっており、安心で安全、信頼のある高品質なイベントが要求されている。そのニーズに応えるためには、「個人の能力」が不可欠であり、イベントのつくり手である企業会員で構成されるJACEの課題は、プロフェッショナリティーの育成だと説明、資格制度を構築・運営していることを解説した。また、イベント市場規模推計として、JACEが平成21年にまとめた国内イベント市場規模推計から、販促イベント・会議イベント・展示会・フェスティバル・文化・イベント・スポーツイベント・博覧会の各ジャンルの総計として日本のイベント市場規模は2兆4005億円であると紹介。直接・間接の波及効果を含めると、9兆5,614億円との推計も発表した。JACEでは、こうした社会的波及効果も踏まえ、イベント産業の地位向上と人材育成を推進し、安全で高品質なイベントをつくり、イベントで日本を元気にしたい、とまとめた。

 

また、JACE会員のイベント事例として、博報堂プロダクトの田中浩弥氏も登壇。台湾MICE関係者の一行が、視察日程に東京スカイツリーを入れていることを踏まえた内容となった。田中氏は、東京スカイツリーが開業するまでの情報発信を踏まえたコミュニケーションイベントの事例を紹介するとともに、開業記念式典業務に対し事故ゼロを目指した計画と実行の中身について解説した。東京スカイツリーは、世界一の高さを誇る日本中が注目する新名所として、これまで誰も運用をしたことのない施設。いかに「安全・安心」に開業を迎えるかを命題として、開業記念式典業務を遂行した経験について、田中氏は「いろんな視点で現場を良く知ること、未知の部分は必ず検証することが重要。そうすることで、事故は予測・予防でき、事故ゼロにつながる」という教訓を得たと話した。

 

 

講義後には、質疑応答が行なわれ、台湾一行からはJACEの資格制度や人材育成について今後提携の可能性があるか、などの質問が挙がり、情報交換が活発に行なわれた。

 

 

視察ツアーの団長を務める台湾イベント協会の賴東明理事長は、「日本のイベントがどういう状況に置かれているのか、その概要やノウハウを持ち帰って、勉強していきたい。イベントは文化・芸術・伝達など、多様な要素を複合的に含んでいる。マーケティング的な数量的効果にとどまらず、文化的な波及効果などについても、今回の視察で学んで台湾のイベントビジネスに活かしていきたい」と語った。