CPA女性部会がつくば国際会議場で防災訓練とフォーラム

日本コンベンション事業協会(CPA)の女性部会は9月13日、つくば国際会議場で「女性部会 つくば防災訓練および交流フォーラム」を実施した。

CPAでは今年5月に「東京臨海広域防災公園体験ツアー」を行なうなど、防災に関するさまざまな取組みを行なっており、今回は今年度の防災関連活動の第2弾として、つくば国際会議場の防災訓練に参加し、避難誘導などを体験した。

 

午後の部ではつくば国際会議場の視察と、地元MICE業界の交流およびCPAのPR活動の一環として、同館の中会議室で「交流フォーラム」を開催した。

基調講演では、筑波大学生命環境系ゲノム情報発生生物学分野教授の漆原秀子氏が登壇した。

漆原氏は、日本では研究者の女性比率が約13%と調査した34か国中最下位であること、女性研究者の60%が子供を産んでいないことなど、学協会においても男女共同参画が進んでいない現状を語った。その理由として、女性研究者の業績能力に課題があるわけでなく、家庭との両立がむずかしいことや中途離職が多いことといったアンケートの結果を明らかにした。そのほか、自身が子育てと研究を両立できた理由を分析し、課題解決のために、育児休暇制度の整備と情報発信、家庭の支援、女性の役割意識の変化を推進することなどが必要と話した。

また、自身の専門分野である生物学の見地から、女性の社会参画の増加など、ダイバーシティ(成員の多様化)は、種の保全のためのセーフティネットとなっていることを、大腸菌のゲノム修復を例にとり説明。生物の種の保存と同様に組織のバックアップシステムとして、女性の社会参加による多様な意見が有効ではないかとの考えを語った。

パネルディスカッションには漆原氏のほか、つくば市国際戦略総合特区推進部化学技術振興課係長の小川英男氏、オークラフロンティアホテルつくば総支配人の杉山良太氏、CPA女性部会部会長の西川洋子氏が登壇。コーディネーターは女性部会の山口朋子氏が務め、「MICE産業と地域のつながり」をテーマに議論が進んだ。

西川氏はPCOの業務やコンベンションの実務を紹介。国際会議の経済波及効果の大きさや観光庁など行政が行なっている誘致支援など施策について説明したほか、MICE取組みのメリットや具体的な推進方法にも触れた。

小川氏が語ったのは、グリーンイノベーションやメディカルツーリズム、セグウェイなどのロボット特区実証実験推進協議会の観光活性化などの研究学園都市の特徴を活かした施策。

杉山氏は、今年30周年を迎えるオークラフロンティアホテルつくばや、国内外で76のホテルをもつオークラホテルズ & リゾーツとJALホテルズの施設を紹介したほか、ブライダル市場縮小の補完や安定的な売上げが期待できるMICEの魅力を語った。ディスティネーションマーケティングとターゲットの絞込み、地域の連携協力、環境配慮などがMICE誘致に欠かせないポイントという。

漆原教授が、大学の教授にとってコンベンションのノウハウを蓄積するのは難しく、PCOやビューローなどに情報収集や手配などの一元化をしてほしいと発言するなど、それぞれの立場からの質問や要望、意見が飛び交い活発な議論の場となった。

閉会の挨拶ではCPA会長の分部日出男氏が、「コンベンションは女性の活躍が多い業界。有為な人材を活かすためには、出産や子育てをしながら働いたり、子育て後に再就職しやすいしくみづくりをしていかなければならない」と自身の経験も交えて語った。

 

 

(左)コーディネーターの山口氏
(右)司会の田代氏

 

 

 

交流フォーラム終了後には、会場をオークラフロンティアホテルつくばに場所を移し、情報交換会を開催。くつろいだ雰囲気のなかで防災訓練とフォーラムの感想や、お互いの業務内容や職場環境について参加者が語り合っていた。