未来の技術を見つけに~「第3回おおた研究・開発フェア-産学連携・新技術展」

 

大田区・(公財)大田区産業振興協会が主催する「第3回おおた研究・開発フェア-産学連携・新技術展」が10月3日開幕した。

会場の大田区産業プラザPiO・大展示ホールには、全国から企業・大学・研究機関ら88団体、92小間が集まった。

     ロボット技術分野で初出展した九州工業大学では、球駆動式全方向移動装置を電動車いすに取り付けて、展示。従来の全方向移動機構で採用されるオムニホイールでは、小さなフリーローラーに起因する段差乗り越え時の振動や横滑りが発生するなどの課題があったが、球体を用い解消している。また、樹脂を使用し、軽量化・安価提供にも対応する。3球・3アクチュエータを車輪の代わりに使用した装置の応用例としてブースでは電動車いすを試作品として展示したが、搬送台車への応用が可能だと、大学院・博士後期課程の新福宜侑さんは話す。同機構は今年特許申請がおりたばかり。初日の午前中には、産業関係の搬送で引合いがあったという。

また、新エネルギー分野に出品したサレジオ工業高等専門学校は、各種海洋再生可能エネルギー発電システムに関して、4つの研究をパネルを展示した。河川等の水流・海流を利用したマグナス効果による発電装置の実験のようすを動画でもみせ、1秒につき0.25mというわずかな水流でもモーターを回転させ発電につなげることができるとを説明した。技術提携や共同研究・共同開発を行なえる企業との面談を希望しての出展だ。

 

IT・システム開発分野で、Distty(株)と東北イノベーションキャピタル(株)が共同出展したブースでは、段ボール素材の防音室を体験できる。これは、製品調達先や開発パートナー、OEM委託先、投資・買収先などのビジネスマッチングをWebを活用して行なう「eEXPO」サービスで、実際にマッチングに成功した第一号の製品。最適なサプライヤー・パートナーを見つけ出すサービスとして、現在東日本大震災による津波被害を受けた企業を対象に、域外の企業とのビジネスマッチングをしており、今後は東北だけでなく全国展開へと広げたい考えだ。

フェアは、大田区外の出展企業が多いのが特徴。自治体が主催する展示会や商談会では、地場産業の振興という目的から、通常その地域の企業が出展する側であることが一般的だが、「おおた研究・開発フェア」は逆。

フェアを企画した大田区産業振興協会の取引促進グループ国内取引担当の中山淳一さんは、「いわば逆見本市です。大田区の企業には来場してもらって、最先端の研究や未来の開発に触れて、新たな分野領域や可能性に技術力を提供することで活躍の場を広げてほしい。区外企業でも出展者のブース出展料には区からの助成が適応されているので、こうした試みはなかなか許可が下りづらいところではないかと思いますが、企画が通ったのは大田区の懐の深さですね」と話す。

出展者はいずれも、中山さんをはじめとした担当部署が、これはと思う研究や開発を情報収集し、自ら足を運んで、参加を呼びかけたもの。「『大田区にくれば未来の技術が見つかる』と言われる展示会にしたい」と中山さんは話す。

フェアは、10月4日17時まで。