イベントのユニバーサル対応に関心、立ち見も【「イベントJapan2014」開催レポート】

1月28日・29日の2日間、東京ビッグサイトで開催された「イベントJAPAN2014」(主催:(株)インタークロス・コミュニケーションズ)は、出展者75社・来場者7137名を集め成功裏に終えた。

同展は、集客や販促をサポートするグッズやサービスを集めた西展示棟の展示ブースのほか、同会場の会議棟6Fを会場に行なわれた特別セミナーで構成。4つの講演を展開したセミナーでは、各講座、先着80名の定員だったが、いずれも満席となった。

なかでも、「新法律や2020年に対応できるユニバーサルイベント推進のポイント-イベントスタッフ・ボランティアに必須のスキル」の講座は立ち見になるほどで、イベントのユニバーサル対応への関心の高さがうかがわれた。

同講座では、ユニバーサルイベント協会理事長でユーディージャパン代表取締役の内山早苗さんが講師となり、1時間のうち前半の30分を社会の環境変化とイベントへの影響について、後半をユニバーサルイベント開催に必要なソフト開発やIT技術について実際の開発担当者らがツールを紹介する形での講演内容となった。

内山さんは講義冒頭で、「企業は変化する社会のなかで存続することによって貢献しており、多くのひとに必要とされることが企業価値となっている。多様な人々が活発に社会参加するための支援が重要であり、企業には多様性のある支援・提供が必要となってきた。イベントも同様」とし、現在、日本の置かれている社会状況を人口動態の図でわかりやすく示した。

日本の現状として、内山さんは超高齢化社会によってサービスの主体がシニア中心となっているという大きな流れに加えて、日本が2014年1月20日に障害者権利条約を批准したが、それに向け関連の法律が2011年から2013年にかけて整備されたことに言及。条約の批准は、そこに明記されている『合理的な配慮』が求められる社会に突入したことを明示しており、それはイベントにおいても、企画・運営スタッフに合理的配慮のできるスキルが求められることだと解説した。

「こうした流れを踏まえ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けてだけでなく、今後イベントは『ユニバーサルイベント』が当たり前の時代になる」
内山さんは、これまでのイベントでも対応はしているが、特別対応ではなく、当たり前の対応がこれから必要だと話し、いちばん重要なこととして、さまざまな特性あるひとたちのことを知り、交流し、遊ぶなかで体感することが、ユニバーサルな配慮のあるイベントづくりに役立つ、と話した。

また、ソフトや機械、ツールを利用することで、ユニバーサルイベントの実現を助けてくれる、としてUDトーク、遠隔情報保障、サウンドコードの3つを事例紹介した。

◆UDトーク(シャムロック・レコード(株)/代表取締役青木秀仁さん)


ほぼリアルタイムで音声が文字化されるアプリ。対面で行なわれるチャットでは、音声だけでなく、手書きでの入力もできる。

◆遠隔情報保障((株)プラスヴォイス/代表取締役三浦宏之さん)

離れた場所からテレビ電話を使用することで手話での情報保障ができる。また、パソコン要約筆記と同じ要領でオペレーターが入力する文字での情報保障にも対応。

◆サウンドコード((株)フィールドシステム/事業戦略室市橋章也さん)
聞こえない音波によって、URLなどの文字情報を送信する独自技術。送受信には特別のインフラを必要としないなど、手軽さが特徴。

内山さんは、最後に「多様なひとたちの特性を理解して、面白い、楽しい、わくわくするイベントをつくりましょう。東京オリンピック・パラリンピックまで、これから6年ですが、あっという間。それまでにもいろんなイベントが開催される。日本は英語圏でないといったマイナス要素もあるが、いろんなツールを駆使しながら多様性社会、国際社会に貢献していきましょう」と結んだ。

講座後には、ツールに関して個別に質問の列ができるなど、受講者とツール開発者・担当者が情報交換し、ツールを活用したイベント、イベントへのツール活用の双方向でユニバーサルイベントの可能性を模索する姿が印象的だった。