MICE支える女性が語りあう ~第1回MICE女性ネットワーキングイベント~


日本コンベンション事業協会(CPA)女性部会とMPIジャパンチャプターウーマンズネットワークは2月26日、東京・日本橋のバンクオブアメリカ・メリルリンチオフィスで「第1回MICE女性ネットワーキングイベント」を開催。約140人のMICE関係者が出席した。

開会に先立ち主催の両団体から挨拶。CPA女性部会長の西川洋子氏は「政府の成長戦略にMICEという言葉が盛り込まれたのと同時に女性の活躍推進も戦略の柱と位置づけられた。女性が日本を支える時代になり、とくにMICEは女性のしなやかな感性が活かされる分野」と語った。MPIジャパンチャプターの山本牧子会長は「会長就任依頼掲げているスローガンである3つのC(コミュニケーション・コラボレーション・コネクション)にふさわしいイベント。これを機に両団体やMICE業界の女性どうしのコネクションを深めて欲しい」と述べた。

■基調講演
「女性が人を動かすとき、女性がビジネスをするとき」
野口弘子氏
(ハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパ総支配人)

「人間には口が一つで耳が二つあるのは、話すことの2倍聞くため」と、野口氏はその経験で得た言葉から講演をはじめた。

自身も含め、一般的に女性は内線と外線の電話では声のトーンがまったく変わるが、その理由を、仕事を計画的に進めることができる反面、じゃまされることに困惑しているかたと分析。

「働く女性の多くが自分の仕事を計画的にこなすことに優れている反面、目の前の仕事に集中しすぎて、周囲が見えなくなることがある。企業で働くということは、多くの人々と協調するということ。一歩下がって全体を見渡すことで、個人の業務だけでなく、チームで動くことの大切さがわかる。そのためには自分の主張を通すことよりも、周りの人の声を聞いていく能力が必要になる」。総支配人として責任ある地位についたことで、そのことを実感した野口さんは、「女性の多くが出世意欲があるわけではないが、ポジションを得ることが人間的に成長する糧となる」と自身の意見を述べた。

またMICEやイベントは思い通りになることの方が少なく、主催側、施設側とそれぞれの立場で語るのではなく、利用者をハッピーにするという共通の目的に向かい、相手の意見を聞きながら進めていくことの重要性を強調した。

■パネルディスカッション
「MICE業界の女性リーダーたち」
登壇者:野口氏、西川氏、山本氏、
ジョーダン黒澤貴子氏(パシフィコ横浜営業部誘致企画課 課長代理)

西川 「仕事柄、夜遅くまで働くことや出張などで土日も関係なく仕事をすることが多い。わたしは独身で自由気ままで耐性があるほうだが、それでもストレスを抱えながら仕事をしている。専務というポジションから社員に充実したプライベートを過ごしてもらいたいと心配している。出張帰りに娘さんが迎えにきてくれたりすると、このような状況でもいい親子関係が育まれている、と安心することもある。みなさんは仕事とプライべートの両立はどうされていますか?」

野口 「2006年の開業1か月前から昨年7月までホテル暮らしを続けていた。オフィスから30歩の客室で寝泊まりしていたので、仕事モードからなかなか切り替えできず苦労した。さまざまな安眠法や快眠グッズを試したが効かず、時間はかかるが室内で映画を見ることでリフレッシュした。満員電車は大変だが、通勤は大切なことと実感した。同様にランチタイムも外にでてゆっくり食べることも重要だと思う」

黒澤 「子供を産んでわかったのが、子育ては仕事よりもずっと大変だということ。ストレスや不満を翌日に持ち越さずにその日で処理することで解決した。また会社と家庭のストレスを相殺している面もある。主人の協力には感謝しているが、最初は産休を取ったにもかかわらず家事を何も手伝ってくれなかった。日本人とアメリカ人ということもあり、あうんの呼吸がなく『アレとコレを何時までにやって』と具体的に言葉にすることが大切」

山本 「ストレスの原因はタイトなスケジュールよりも人間関係が多く、職場環境は重要。私は毎日ワインを飲みながら人と話すことがストレス解消法。しかし健康管理には気を遣い、野菜や生ジュース、サプリなども取り入れ、健康診断の結果は良い。精神面の安定については“ことだま”の効果を信じている。自分の発した言葉が細胞に伝わる。気分がふさいでいるときは、“ありがとう”や“うれしい”といったポジティブな言葉を発することで、良いことが起きる。相手は自分の鏡、こちらの不愉快な思いが顔にでて、相手の関係が険悪になることも。笑顔と挨拶をこころがけて欲しい」

パネルディスカッションでは各者の経験から得た女性の社会進出について語られ、出席した多数の女性へのエールが送られ、男性には協力を呼びかけられた。

イベント終了後は懇親会が設けられ、両団体の会員やMICE関係者たちが親睦を深めた。

 

左)感想を述べる分部日出男CPA会長  右)乾杯の挨拶はMPIJapan次期会長の新井立夫氏

 

左)会場のようす  右)登壇者と運営を行なった事務局のメンバー