五輪招致の現場を語る~JCCB産業部会MICE技能研修会

日本コングレス・コンベンション・ビューロー(JCCB)が5月29日、日本政府観光局(JNTO)内会議室で「JCCB産業部会MICE技能研修会」を開催した。

開催に先立ち、部会長を務める日本コンベンションサービスの近浪弘武氏が「オリンピック・パラリンピックは日本最大のMICE」と語り、参加者の協力を呼びかけた。

講演では、東京都オリンピック・パラリンピック準備局大会準備部開催計画課長の折笠眞由美氏が「2020年オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて」と題して登壇した。

2016年、2020年と双方の大会招致の実務を担当した折笠氏は、2020年は招致経費予算が16年に比べて約半額の75億円となったにも関わらず、経験を活かして効率的な運動を展開したことや、国と東京都、民間企業、市民が一体となったオールジャパンでの招致体制が勝利に結びついたと分析。具体的には、ロンドン五輪後の日本代表選手団パレードを契機に支持率がIOC調査で70%に向上したこと、IOC評価委員が来日した際の、アスリートや都知事などによる心のこもったおもてなしと、時間通りの視察プログラムの進行、プレゼンテーションがかみ合い評価委員と意思疎通がうまくいったことなどを挙げた。

フェリペ皇太子(当時)氏が参加したマドリード優勢と伝えられるなか、開票を待つ緊迫した招致事務局の当時のようすを語った。折笠氏は、IOCジャック・ロゲ会長会長がTOKYOと書かれたボードを手にした、開催地決定の瞬間の画像をデスクトップ画像にして設定して繰り返し見ているという。

2020年の開催については、大会ビジョンの「WHY TOKYO?」、国際スローガンである「~Discover Tommorow~ 未来(あした)をつかもう」を軸に、安心・確実な大会運営(Delivery)と、世界中を魅了するダイナミックな祭典(Celebration)、革新がもたらす未来への貢献(Innovation)という3つの強みを活かしていくと説明。オリンピック28競技、37会場、パラリンピック22競技(1競技追加予定)、20会場の運営方法や予算を公表。東京都とJOCが中心となり1月24日に設立した大会組織委員会(TOCOG)が中心となって、大会の計画、運営、開催の主体となるほか、スポンサーセールス、組織体制整備の強化、関係機関との調整を実施。来年2月までに、競技、会場、輸送、セキュリティなど分野別の計画や実施体制スケジュールを記載する「大会開催基本計画」をIOC・IPCに提出する。

また、経済波及効果については東京都で1兆7千億円、全国で約3兆円、雇用誘発数は東京都で8万3千人、全国で約15万人と、都市・国へ大きく貢献することを説明した。また、スポーツ振興や観光客数や観光消費の増大などオリンピック・パラリンピック開催の意義yは、ソチ五輪視察で得た課題を紹介した。オリンピック後にも観光の伸びが期待されるため、会期後の展望までを踏まえた観光誘致策が必要という、英国政府観光局からのアドバイスを紹介。オリンピック・パラリンピック最大のMICEイベントであり、世界中と日本の文化、東京の魅力を伝える良い機会と、MICE関係者にエールを贈った。

セミナー修了後には懇親会も開催され、JCCB事務局長代行の神保憲二氏、同会長で参議院議員の猪口邦子氏が、関係者一丸となったMICE推進を呼びかけた。