島根の宝を世界に発信 ~観光コンベンションin松江~

島根県立大学短期大学部松江キャンパスは6月28日、くにびきメッセ国際会議場で「ご縁の国しまね 観光コンベンションin松江」を開催。同校の学生のほか、沖縄や東京など県外からの参加者も含めた観光関係者・コンベンション関係者など、合わせて約200人が集まった。

島根県内の観光は、出雲大社をはじめ東部地域を中心に展開しているが、今回は雲南市吉田町、隠岐郡海土町(あまちょう)、県西部の津和野町などの地域文化を活かした観光推進の高まりを受けて実施された。同校で観光を柱とした四大化の計画があることや、「平成25年度 地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」に採択され、大学と地域の連携を推進するという目的もあり、地域の魅力を県外に発信する同コンベンションの開催につながった。

基調講演では、観光文明学の権威で現在は北海道開拓記念館館長を務める、石森秀三氏が登壇。“観光が島根の未来を拓く”と題して、自身の経験などを交えて、観光による地域活性化について提案。人口減少に悩む島根県の現状を逆手にとり観光に活かした「しまね田舎ツーリズム」などさまざまな事例を紹介。全国的な人口減少が進む日本のモデルケースとなる可能性も示唆した。

パネルディスカッションでは、石森氏のほか、シーズ総合政策研究所所長の藤原洋氏、海士町長の山内道雄氏、津和野町長の下森博之氏、島根県立大学短期大学部教授の小泉凡氏が登壇。コーディネーターは同短期大学部准教授の工藤泰子氏が務めた。鉄の歴史文化を活かした雲南市吉田町、役場職員の意識改革からはじめ“島まるごとブランド化構想”、“島留学”などで人づくり・島づくりに力を入れている海土町、宿泊観光客増に向けて空き家を改修した“町家ステイ”に取り組む津和野町など各地域の取組みについて議論がなされた。

パネルディスカッションの後には、第2部の有福神楽保持者会による特別企画「石見神楽公演」が実施された。

コンベンション終了後に、主催した島根県立大学短期大学部の工藤泰子准教授は「若い学生にとって神楽など伝統文化や、地域活性化の実態に触れる良い機会となった。地元の良さを知り島根を誇りに思う気持ちをもって欲しい。また、大学が学生に授業を提供するだけでなく、民間企業や公的機関との地域連携をするという新しい存在意義をもつきっかけになるのでは。コンベンションの開催で終わるのでなく、この縁をつなげて大きな成果に結びつけたい」と語った。