施設運営者が語る料金と稼働の課題【CBN-JPフォーラム開催レポート】

日本コンファレンスセンター協会(CBN-JP)は7月15日、虎ノ門ヒルズフォーラムでコンファレンスビジネス事業化研究フォーラムを開催した。

フォーラムは年に3~4回定期的に開催しており、毎回、コンファレンスに関する旬な話題やトレンドがさまざまな切り口で語られ、関係者の情報共有の場となっている。講演とパネルディスカッションで構成し、自己紹介タイムとKIOSKタイムを導入するなど、参加者同士の交流自体も目的となっており、1999年以来継続して今回で60回の開催を迎えた。

今回のテーマは「“玉石混淆”の都内ビルインコンファレンス施設の心と形」と題し展開。都内で大規模な再開発が続き、多くの場合にオフィスビル計画と共に貸し会議室やコンファレンス施設が計画されている現状に対して、施設運営者である登壇者・参加者に施設コンセプトやサービスポリシーなどを問うテーマとなった。

フォーラムのはじめには、CBN-JP会長の春口和彦氏が開会挨拶にかわって、今年3月に京都で行なわれた富裕層旅行に特化した商談会「ILTM Japan(インターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット ジャパン)」での取材内容を報告。開催地ならではのおもてなしと京料理で徹底されたパーティ料理などにも言及し、昨年ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」の活用について参加者らに提言した。

その後、今回の開催会場となった虎ノ門ヒルズフォーラムを運営・管理する森ビル・倉橋慶次氏が登壇。「虎ノ門ヒルズ コンファレンス施設開発の表と裏」と題し、開設準備をした担当者として、スマートカンファレンスセンターという施設コンセプトに至った背景を、都内施設の開発状況の分析を交えて紹介した。

フォーラムの中程では、「コンファレンス施設に求められる情報発信機能とニュービジネス」をテーマに、CBN-JP顧問の松崎保功氏は自身が開発したマイクロコンピュータによる視聴デモを実施、またシニアアドバイザーの清原理氏はコンファレンス施設におけるネット・通信環境についての考察を発表した。

パネルディスカッションは、「施設運営は料金と稼働のせめぎ合い!?」という題目に対し、森ビル・倉橋慶次氏、マックスパート・石川朋哉氏、TCフォーラム・中川卓之氏の三氏は施設紹介を交えて回答した。
六本木ヒルズのアカデミーフォーラムと虎ノ門ヒルズフォーラムの運営をする森ビル・倉橋氏はディベロッパーという立場で、研修特化型ホテル・晴海グランドホテルをはじめ最近オープンした貸し会議室フクラシア品川など11の施設を運営するマックスパート・石川氏はホテル業の立場で、また大阪会館を皮切りにして2005年「コンベンションルームAP大阪」開業以降、東京・名古屋・大阪とAPブランドで会議室を展開するTCフォーラム・中川氏は貸し会議室業の立場で、それぞれに現状を報告。

 

時間売りを基本としている貸し会議室に対し、ホテルの料金体系が時間に対してソフトな対応であることや、目標に稼働率を入れず売上のみとしているディベロッパーなど、料金か稼働か、という問いに一概に比較がむずしいとしながらも、それぞれの立場から回答していた。

 

また、参加者からは「IT対応について、通信容量の設定について」や「TV会議が導入されはじめているが、その影響を感じるか?」、また「セールスマーケティングにどんな施策を行なっているか」など同じコンファレンスビジネスをしている者同士の専門的な質問が飛び交い、活発なディスカッションとなった。

また、今回のフォーラムではCBN-JPの主催するコンファレンスプランナー資格の今年度認定者に対し、認定書の授与式も行なわれた。認定資格者は8名で、現在までに合わせて168名が保有している。

約40名が参加したフォーラム終了後にはレセプションが開催され、60回の開催を祝うとともに、今後のコンファンレンスビジネスの発展について活発な交流が図られた。

 

      

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