京都ユニークベニュー活用に学ぶセミナー ~東京観光財団コンベンション委員会

東京観光財団は12月11日、同財団の会議室で「平成26年度第2回コンベンション委員会」を開催。二条城京都市元離宮二条城事務所担当課長の梅林信彦氏と、京都文化交流コンベンションビューロー国際観光コンベンション部長の赤星周平氏が登壇し、京都におけるユニークベニューの取組みと活用事例などを紹介した。

梅林氏は、世界遺産であり多数の国宝や重要文化財をもつ二条城をMICE会場として開放することによって、二条城、京都、そして日本の魅力を国内外に発信し、文化財の素晴らしさを再発見するという「世界遺産・二条城MICEプラン」事業の目的を語った。

今年3月にスタートした同事業はこれまでに、パーティ、着物の展示会、試写会など4件のイベント会場として利用された実績をもつ。梅林氏は、二之丸御殿台所・庭や、東南隅櫓前庭・唐門の組合せなど、おすすめの利用法を実際に開催したパーティの写真などを交えて解説。レセプションなど飲食をともなう催事については、文化財保護の観点から屋内での使用ができないため、雨天の場合のために他にバックアップ会場の用意が必要といった注意点にも触れた。

実際の利用にあたっては、12社の契約コーディネーターを通して貸し出す方式を採用している。それによって二条城の魅力を活かした各種プラン企画、国内外の有料企業向け広報・案内、利用企業への使用条件説明、調整、各種イベントに応じた企画、会場設営、工業の手配調整、二条城の歴史的かつや文化財の保護、事故の防止など 安全・効果的な運用を実現している。

また、事業を進めていく際の苦労話として、奇跡的に数百年も残った文化財を保存する将来にわたる責務から、文化財MICEプランを肯定的に捉えていない人もいることをあげた。文化財の保存・継承の啓発や、使用料を本格修理事業の費用に充てることを条件として開放してもらっている現状を利用者によく理解してもらうことの必要性を訴えた。

赤星氏は、今年10月に改定された京都市のMICE戦略を説明するとともに、戦略策定を行なう市と、プロモーションを実行するビューローの役割が明確化されていることを説明。

2020年の東京五輪開催にむけて、京都の強みを活かしたMICE誘致のため、大学との連携強化、MICE協議会設立、支援制度の拡充、ユニークベニューの開発に取組み、コンベンション開催件数を世界35位、外国人参加比率国内1位の堅持、MとI領域の発展的拡大を目指している。

京都MICEの課題として宿泊・会場などのキャパシティが限られていること、空港が府内にないというアクセス面、効果測定にもとづいた戦略構築などをあげた。とくにキャパシティについては大きな課題とし、4月・11日の繁忙期と閑散期のギャップと解消と、会場についてはユニ重要課題と捉え、ユニークベニューの開発に大きな期待が寄せられている。

ユニークベニュー開放について、A)積極的に取組む、B)制約をクリアすれば可能、C)否定的、という施設の対応はさまざまで、それぞれに適したアプローチと施設へのリスペクトとが必要と説明した。ユニークべニューの対象施設は歴史的遺産や宗教施設であり、民営施設に見積り要求するような感覚で問い合わせたり、一斉アンケートなど十把一絡げな対応は固く慎むべきとし、紹介した企業の対応が不備だったため、何度も謝罪に赴いた自身の経験なども語った。

また誘致活動について、観光、MICEといった点での展開でなく、企業誘致なども含めた面での展開が必要とし、前職の広告代理店勤務での経験を活かした、詳細な現状分析と積極的なプロモーション活動の内容を説明した。