“広がるビジネスチャンス”テーマに情報交換会を開催~東京観光財団

東京観光財団は、2月17日、ホテル椿山荘東京で「平成26年度 公益財団法人東京観光財団 賛助会員情報交換会『交流の集い』」を開催。約200名が参加した。

観光で“広がるビジネスチャンス”をテーマにした講演会と、賛助会員の交流を目的にした懇親会で構成。講演会前には、財団から各種事業の報告や新規事業「観光資源商品化支援事業」についても触れられた。

■講演会第一部
「需要を生み出せ まだまだ広がる観光振興!広がるビジネスチャンス!」
(跡見学園女子大学・准教授の篠原靖氏)
講演会第一部では、跡見学園女子大学・准教授の篠原靖氏が「需要を生み出せ まだまだ広がる観光振興!広がるビジネスチャンス!」と題し、観光を考える際に必要な視点について解説した。篠原准教授は、冒頭で昨年日本の訪日外国人客が1300万人を超えて過去最高となったが、 2013年の外国人訪問者数の国・地域別ランキングをみると、日本は世界27位、アジアでも8位で、まだ拡大の余地がある、とし観光を考える際に必要な視点を伝えた。なかでも、期待される旅行消費と生産波及効果の拡大を図るため、旅行消費を拡大させるための施策の必要性、また、来訪者の視点から見た都市観光の魅力要素を出し「地域の個性」をもつ個別戦略の重要性について提案した。

また、篠原准教授は最後に「観光資源を再編集し、顧客価値を創造すること。地域を周遊し滞在時間を延ばす取り組みが不可欠で、時間の過ごし方をどう提案していけるかがポイント」とし、団体から個人へとオンリーワン旅行志向への変化に対応し、地元から企画・提案できる着地型商品の開発と育成について企業それぞれ、または賛助会員のメリットを活かしコラボしながら取り組んでほしいとメッセージを送った。

 
■講演会第二部
「広がるビジネスチャンス -事業の現場から-」

講演会第二部では、第一部に続き、篠原准教授を座長に広がるビジネスチャンスについて事業の現場からの視点を盛り込みパネルディスカッションが行なわれた。

篠原准教授から「観光パートがどうビジネスチャンスにつながるか」という問いかけに対し、各委員会を代表して登壇したパネリスト3氏は、次のように回答した。

コンベンション委員会の坂本 和也氏(森ビル(株) アカデミーヒルズ事業部業務推進グループ課長)は、「六本木ヒルズアカデミー49、虎ノ門ヒルズフォーラムという2つの会場運営をしていることから、インバウンド観光=インバウンドMICEという立場。また、昨年から大きな会議などを一施設で受け入れるのではなくエリアでとの考えから近隣ホテル、飲食店などと連携してDMO六本木という新しい組織を立ち上げた。六本木・赤坂・麻布エリア内に集積するMICE主催者とのネットワーク構築し、ニーズに合った六本木ならではのサービスメニューを開発していくもの。どうビジネスチャンスにつなげるかについては、ポイントは3つあると考えている。1つは、エリア特性を認知すること、2つめにエリア観光として施設、会議室、ホテル、レストランだけではなく、たとえば六本木で神楽を行なっているところがあるなどの観光情報まで一体的に提案できること、そして3つはシーズの発掘をし、ニーズとシーズのマッチング機能が必要」とした。また、インバウンド観光に当たっての注意点として、こたつをみた外国人から「ストーブ、ふとん、テーブルがミックスしたすばらしいもの」という反応を例に、日本人が当たり前に思っていることのなかに見過ごしていることがあること、そして本物の日本体験をと提案した座禅のプログラム後の会話で「40分は過酷だった」との何気ないひと言から、押しきせにならないようなメニューづくりが必要と、自身の体験を振り返った。

 

 

タウンアメニティ委員会の渋沢恒男氏((株)世界貿易センタービルディング 管理部部長)は、「インバウンドは、海外から来るお客さまだけで捉えてはいけない。他道府県から来る国内のインバウンドもある。言語対応やサイン表示などの課題が挙げられるが、国内インバウンドという視点も踏まえれば、日本人にわかりやすくすることで、海外からのお客さまにとってもわかりやすくなるのではないか」とした。また、東京オリンピック・パラリンピックは、インバウンド観光の中継地点だとし、期間中に心地よい東京を過ごしてもらうことで、その後にもさらに深い日本を知りたいといったリピーターづくりのチャンスになる。この会場に集っている東京観光財団の賛助会員には幅広い業種がある。ビジュアルやIT技術によって、心地よい日本、心地よい東京を感じてもらえるよう協力して進めていきたい、と呼びかけた。

 

 
アジアセールス委員会の村山慶輔氏((株)やまとごころ 代表取締役)は、外国人観光客に日本の商業施設に対してどういった課題(クレーム)があるかアンケートした結果、「無視されていると感じる」がもっとも多い回答だったとし、百貨店の販売スタッフでさえ、対応が一歩引いていると受け取られている現状を伝えた。「これは一つのポイントで、言葉の壁を越えて、一歩踏み出すことでチャンスが生まれる。単価の高い宝飾品や化粧品、などは説明がないと買わない」と指摘。昨年は1300万人の訪日外国人客数を達成し、前年から30%の伸びたが、消費額は2兆円と40%も伸びており、一人当たりの消費単価の増加がみられ、今後のさらなる拡大が予想されるとした。また、今年4月に日本ゴルフツーリズム推進協会が立ち上がることを例に、ジャンルやカテゴリーごとに外国人をとらえるコンテンツがあるが、マッチング機能が不足してる。コーディネート機能にビジネスチャンスの可能性があるのではないか、と投げかけた。

 

 

パネルディスカッションでは、講演会聴講者へ「なぜ賛助会員として入会したのか」「インバウンド観光に対する現在の取組み」などの質問タイムが設けられるなど、参加型の内容ともなり、篠原准教授は「ここにお集まりの方々は意識が高い、ぜひ交流を深め一体となって観光に取り組んでいきましょう」とまとめた。

その後、懇親会では賛助会員同士で情報交換をするなど、交流をあたためていた。