都市・東京に 新たな視点を提案~Innovative City Forum Seminar

2月26日、森記念財団都市戦略研究所とアカデミーヒルズは、六本木アカデミーヒルズで「東京のグローバル・プレゼンスを高めるアイデア」をテーマにInnovative City Forum Seminarを開催。約300名が参加した。

建築家のアストリッド・クライン氏、都市ブランディング戦略家のジェイ・ティー・シン氏、デザイナーのグエナエル・ニコラ氏とさまざまな分野で活躍する3氏が2020年に向けて、東京の魅力やポテンシャル、課題を捉え直し、 東京のグローバル・プレゼンスを高めていくための戦略について、独自の視点で提案した。

 

セミナーのなかで、建築家のアストリッド・クライン氏は、世界のアイコニックな建築物や空間を引き合いに、「人を街に出てきてもらうには、人々を解放し、気持ちよく過ごす楽しい空間が必要。アイコニックな風景、印象的な場所、フォトジェニックな景色、そこには場を楽しむ人がいる。周囲の楽しげなひとをを含めて都市デザイン」と、文化への投資について言及した。

 

 

 

 

都市ブランディング戦略家のジェイ・ティー・シン氏は、「東京は未来の都市だと思っている。このプラスのイメージを継続していくべきで、グローバルに影響力をもつ必要がある。世界の学生や起業家、アスリート、エンジニアと競合性をもってイノベーションできなければひとは都市から出ていってしまう。現在、2015年に生きていても、たとえば2013年や過去にとどまって暮らしていてはいけない。2015年に視点を合わせ、キーテーマが何か注目すべき」と、問題になる前に危機を感じることの重要性やイノベーションへの投資について提言した。

 

デザイナーのグエナエル・ニコラ氏は、15年日本でデザイナーとして活動した経験から「日本人は東京が他の都市にくらべて『後れている』と思っていることに異を唱えたい。最も最先端であることを自覚すべきだ」とし、家電と衣料の店舗のコラボやコンビニでおいしいコーヒーなどの例からエネルギーやITなど、固定概念から今後どのような融合がみられるのか楽しみだと異分野同士のシナジー効果について期待を寄せた。

 

 

 

モデレーターは森記念財団が発表する「世界の都市総合力ランキング」でお馴染みの市川宏雄氏がつとめ、物質的な価値によらない『都市の感性価値:アーバン・インタンジブル・バリュー(UIV)』の概念についても触れた。UIVは、新たな視点で都市のあり方を捉えることを試みた都市評価で、「正確・迅速」、「安全・安心」、「多様」、「ホスピタリティ」、「新陳代謝」の6つの要素に基づいて世界の都市総合力とは別の観点で指数化する。

なお、「アーバン・インタンジブル・バリュー(都市の感性価値)」は、森記念財団から3月3日に発表された。
http://www.mori-m-foundation.or.jp/pdf/20150303_uiv.pdf