「さっぽろMICEリーダーズサミット」レポート(2)-MICE×スポーツ-


『スポーツコンベンション・フォーラム』

基調講演Ⅱ
「スポーツ×MICE」をテーマに『スポーツコンベンション・フォーラム』を実施。

基調講演Ⅱでは、スポーツアコード前理事・国際ワールドゲームズ協会理事、関西ワールドマスターズゲームズ2021組織員会委員で上智大学教授の師岡文男氏が登壇。「国際スポーツコンベンションの意義と地域の未来~札幌で開催可能な「国際会議」と「国際スポーツイベント」~」について語った。

師岡氏は、スポーツとは何か、コンベンションとは何かという原点に戻った問いかけからはじめ、国際スポーツコンベンションの意義を説くとともに、ツーリズムの効果と現状について数字から紐解き、札幌で開催可能な国際会議と国際スポーツイベント、成功のポイントについて、終始、熱のこもった口調で50分の講演を語った。

師岡氏が誘致に動いた2001年秋田での「ワールドゲームズ2001」にも、札幌はすぐに駆けつけるなど、「フットワークがとにかく軽い」と評価し、スポーツを切り口にした誘致への取組みにエールを贈った。

 

 

パネルセッション
続いてのパネルセッションでは、師岡氏に加え、日本スポーツツーリズム推進機構(JSTA)会長の原田宗彦氏、レイベイゼマー・コンサルティングCEOの中川礼一氏、モデレーターにはNPO法人コンベンション札幌ネットワーク理事長藤田靖氏が登壇し、「スポーツコンベンションとビジネスの展望」について語った。

 

 

 

 

原田氏は、スポーツと観光の融合したスポーツツーリズムという概念について、2005年末の時点では検索エンジンでの結果が211件だったのが、2014年末には130万件と約10年で関心が一気に高まってきたとし、改めてその目的と内容について「隠れた資源であるスポーツを旅行商品化する」「見る、する、支えるスポーツという新しい旅の目的と需要を創出する」「スポーツで人を動かす仕組みづくり」との見解を示した。また、この駆動力としては地域スポーツコミッションの役割が重要だとし、設置数(予定含む)は全国で17件となる現状の動きを紹介。観光・スポーツ振興の双方の視点で地域創生の推進役となって成功した国際大会・競技会の事例も合わせて伝えた。

 

中川氏は、新生銀行コーポレート社外アドバイザーや大塚製薬社外アドバイザーとしての業務や、日本企業に対し海外プロジェクトの紹介やコンサルを行なってきた経験と、日本誘致に携わった「X Game」や「FISE」といったエクストリームスポーツの競技大会、XTERRAオフロードトライアスロン大会などでの実績から、スポンサーシップ獲得の方法や放映権などの資金捻出方法などについて、留意すべき点やポイントをアドバイスした。

 

 
師岡氏は、2021年関西で開催される生涯スポーツの世界大会「ワールドマスターズゲームズ」を動画で紹介。基調講演でも触れたスポーツの種目は多岐にわたることを、実際にエアロビクス、オリエンテーリング、ブールスポーツなどの競技風景とともに伝えつつ、このように多くの種目があって各種ごとの国際競技大会があり誘致のチャンスがあることを繰り返し伝えた。また、2001年秋田でのワールドゲームズの成功の秘訣は、スポーツとは関係のない民間企業が開催資金を集め、自治体に働きかけをした民間主導での官民連携体制だったと、スポーツコンベンション開催のヒントに触れた。

 

前日の3月5日には、歓迎レセプションとして、札幌競馬場というユニークベニューを活用したパーティーが行なわれ、サミット・フォーラムの登壇者やアジア地域の旅行会社招待者、MICE関係者を含めた海外10か国・地域から80人が、ポニーの歓迎後にファンファーレで会場に入場し、よさこいSORAN踊りなどのパフォーマンスと道産食材を堪能。大型ビジョンによるオリジナル競馬レース「Sapporo MICE Derby」も楽しむなど、さっぽろならではのイベント企画に充実した時間を共有した。

「さっぽろMICEリーダーズサミット」は、札幌での初めての試み。札幌MICE総合戦略の行動計画に沿って実施された事業で、次代に向けた札幌MICEへの提言を行なうイベントとして開催された。一般公開もされ、アジア太平洋地域から集まったリーダーや専門家の知見は、互恵的な協力によるネットワーク構築の重要性など意識を高める場となった。
「見本市展示会通信」2015年4月1日号・春季特集号、「展示会とMICE」webサイト、「展示会とMICEニュース」メルマガにて掲載する。

 

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