日本映像機材レンタル協会 & ピーオーピー合同企画 座談会 第5回
鈴木 私が入社したときには、既にマッピング調整技術が先輩たちによって確立されていたのですが、取り入れた当初は本当に大変だったという話は聞きました。印象に残っているのも同じくマッピングの案件なのですが、去年の夏に、自分で絵コンテを描くところからさせて頂き、CGチームとのコンテンツ制作を進めながら、機材のシステムを考え現場まで収める、全体のディレクションをさせていただいた案件です。自分の頭で描いたコンテンツが大きなオブジェに投影された瞬間はとても感激しました。
菅原 初心者でも使えるマッピングソフトを導入して、前日の夜少し触っただけで現場に行き、簡単に使えるはずのソフトなのに逆にうまく投影されなかったりと焦ることがありました。マイクロタイルというリアプロジェクターを初めて導入した時にも、展示会で面数100枚くらい組むことになり、時間がすごくかかってクライアントにまだかと何度も言われたりと悪戦苦闘しました。ぶっつけ本番でやらなければならず、結局なんとかなった案件はとても印象に残っています。
岡田 CMの撮影に関わった案件が印象に残っています。イベントは苦労して作り上げても長くてもせいぜい数日間で跡形もなくなってしまうのですが、CMは長く放送され多くの人の目に触れるので、自分の関わったCMを見るたびにうれしくなります。逆に使われたのかどうか分からない時は悲しいですが(笑)
Contents
まだまだ女性は少ないけれど、活躍の場はある
―男性が多い職場だからこそ、得したことなどありますか。また、力仕事が多く、男性社会のこの業界で働くことについてどう思いますか。
菅原 現場は体力勝負なのですが私は意外にも大丈夫な体質のようで、力の使い方が身についているのか、入社したばかりの体格の良い男性よりも安心感があると言われます。展示会などの現場では、女性と分かると大工さんなどが親切にしてくれるので、得したなと思うことはあります。
岡田 現場に入ると運営、進行、施工、経師、照明、音響、イベントに関わるすべての部門で男性がほとんどです。会社内はもちろん現場でも女性が少ないので、お願い事をしても聞いてもらえるのでそこは得していると思います。
馬渡 確かに、男性の多い力仕事の現場だからこそ気にかけてもらえることが多いです。女性も入社してきますが、辞めてしまう子が多いです。体力的な問題や、案件によっては急に泊まりになったりもするので、2年が分岐点で、面白いと感じられるかだと思うのですが、私が入社した20年前は現場に女性はほどんどいませんでした。でも最近は見かけるようになりました。
鈴木 そうですね。マッピング調整などテクニカルでもソフトを扱うものは、センスや感性の部分が活かせるので頭脳派の女性が活躍しているように感じます。オペレーションに関しても力仕事ではないですし、女性も活躍できる場と感じます。
自己実現と達成感が得られる仕事
―映像業界に入られたきっかけと、その魅力を教えてください。
鈴木 学生時代に海外でマッピングが流行り始め、You Tubeで作品を初めて見てとても衝撃を受けました。日本でも見ることはできないのかと調べてヒットしたのがタケナカでした。そのときイベント映像という業界自体を知り、新しいことに率先してチャレンジしているこの会社で自分も活躍したい、と思ったのが入社のきっかけです。 拘束時間が長かったり、徹夜の現場もありますが、自分の面白いと感じられる仕事をさせてもらえているので、充実した毎日です。医療学会から、ハイブランドのパーティまで本当にさまざまな世界で映像演出は使われています。一個人の人生では見ることのできない、たくさんの世界を見せてもらえることが、私にとってのこの仕事の魅力です。
◆JVR座談会アーカイブス
第1回 ビジュアル空間をつくるプロフェッショナルのシゴト
第2回 ~プロが語る仕事の舞台ウラ
第3回 観客を魅了するステージ演出の舞台ウラ
第4回 日本全国で活躍するJVR協会の仲間たち