9月1日より東京ビッグサイトで開催する「サイン&ディスプレイショウ2016」。主催の東京屋外広告美術協同組合は本年度より宮地健氏が新理事長に就任し、さらなる業界発展に向けた取組みを行なう。そこで宮地新理事長にサイン、ディスプレイ業界への想いについて話を伺った。
サイン・ディスプレイ業界の今後の展望と宮地理事長の想い
現在、組合として特に力を入れている取組みに、サインの安全管理と都市美観への意識を高めることが挙げられます。
屋外のサインは雨風にさらされるため、こまめな点検をすることが理想ですが、それには高所作業車などが必要となり、時間と費用がかかってしまいます。しかし点検を怠ってしまうと、落下の危険性が高まり、大事故につながります。現在点検の頻度や間隔について厳密な規定がないため、組合では10年をめどに点検の呼びかけを行なっています。サインは10年経つと、管理責任はメーカーからサインを設置している所有者になるため、所有者にそういった責任や危険性を認識してもらう必要があります。
都市美観についても、地域によっては色使いや大きさ、位置など条例により景観を損なわないようなサインの設置が決められており、これらも安全管理上の点検と同じく周知を怠ると、撤去や再設置など、よりコストがかかってしまいます。デザインを企画する段階で都市条例に沿うようにする必要があるため、こちらも組合で都市美観に対する理解を深めてもらうよう取組んでいます。
デザインの価値向上に向けて
私は、よく練られたデザインのサインやディスプレイは、伝えたいことを相手の立場に立って考え、アイデアや意志などの作り手の魂が込められたものだと思っています。魂のこもった作品は購買意欲を高める効果があるなど、人の意識に訴えかけ、ときには感動を与えるものです。しかし、デザインというものはどれだけ時間と手間がかかっていても、そういった努力が目に見えづらく、より安価で良い作品を要求されることが多いのも事実です。安全管理・対策や美観への理解もそうですが、今後は先述したようなサインやそのデザインへの理解、価値向上も組合の使命だと考えます。
組合として業界の課題に対応
そのほかには、2020年東京五輪・パラリンピックにより、展示会場東京ビッグサイトが使用制限される問題も課題として残っています。当業界でも死活問題となるため、よりいっそう対策を考える必要があります。こういった課題も他のディスプレイ業界と力を合わせなければ解決できません。企業の大小はありますが、業界内で支えあいながら、サイン、ディスプレイの価値を高めていきたいと考えます。
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