観光庁は2月15日に東京国立博物館の表慶館で「ユニークベニュー活用セミナー」を開催した。MICE誘致の重要な要素となるユニークベニューの利用拡大、普及促進に向けた取り組みのひとつで、ユニークベニューを利用・活用しようとする関係者を対象に、2月13日には大阪の「ジーライオン・ミュージアム」でも開催された。
冒頭、観光庁の田中由紀・国際観光課長が「ユニークベニューとしての施設の活用には煩雑な申請の手続きや料金設定の問題などさまざまな課題があるものの、ロンドンではオリンピック・パラリンピック開催時に活用されたことから、東京2020は日本のユニークベニューの力を発揮するよい機会。今回のセミナーを機により浸透して活用されるようになることを期待する」と、挨拶を述べた。
セミナーでは、ユニークベニューの利用が一般的なイギリスのユニーク・ベニュー・ロンドンのゼネラルマネージャーのリサ・ハッツウェル氏が、海外における先進事例を紹介。ロンドン市内の施設をユニークベニューとしてどのように審査・登録し、利用者にアプローチするか、そして実際の活用事例について説明した。利用のガイドラインをそれぞれの施設ごとに設定し、利用料金は副収入源として修復費などに活用していることや、〝ロンドンだからできる〞という視点を大切にしてベニュー選定を行い、現在84件が登録されていることを紹介。
続いて、Business Events Hiroshimaの代表・下岡憲子氏が「街づくりとユニークベニュー」をテーマに、広島市タカノ橋商店街をユニークベニューとして活用した際のノウハウなどを紹介した。
パネルディスカッションでは、モデレータを日本政府観光局の川崎悦子・コンベンション誘致部長が務め、パネリストに施設を使用するPCOの立場から日本コンベンション協会の武内紀子・副代表理事、利用者と施設の調整を行うコンベンションビューローの立場から大阪観光局の東條秀彦・MICE推進部長、貸す施設を管理する立場から石川県金沢城兼六園の浜田哲郎・管理事務所長が登壇し、それぞれの立場からユニークベニュー活用のための課題解決をテーマに議論を行った。
今回のセミナー会場となったのは実際にユニークベニューとして貸し出しを行っている歴史的建造物。「東京国立博物館 表慶館」は明治末期の洋風建築を代表する建物として昭和53年に重要文化財に指定された。
「ジーライオン・ミュージアム」は100年近い歴史を持つ近代化遺産として価値の高い築港赤レンガ倉庫を活用してニューヨークとロンドンの裏路地を再現したクラシックカー博物館。