在日カナダ大使館は3月15日、カナダ大使館で日本に進出・拠点拡大を計画しているカナダ企業と、ビジネスパートナーとなる日本企業の技術交流の場を創出することを目的とした「カナダ・日本 イベント・エンタメ 企画・技術企業セミナー」を開催した。共催はケベック州政府在日事務所で、協力は日本イベントプロデュース協会(JEPC)。
開会の挨拶では、カナダ大使館のマルシアル・パジェ首席公使がケベック州のダイナミックで革新的な環境を紹介するとともに「本日は7社がケベック州から参加しており、いずれも日本を勉強したい熱意と交流を深めたい意思を持っている」と語り、日本とカナダの見解を共有し、パートナーシップを推進していく姿勢を示した。ケベック州政府在日事務所代表のクレール・ドゥロンジェ氏は日本とケベック州のメジャー企業が参加していることからビジネス的な重要性を示唆し「今後何年間かで有益な結果を出していく」とした。JEPCの松平輝夫理事長はイベントを平和産業と位置づけ「カナダと日本の間でイベント通して世界に平和を追求・宣言していくことが大事だ」と述べ、同セミナーを機に日本のイベント業界の国際化を推進したい構えを見せた。
カナダ企業からは芸術と技術を結びつける手法に定評がありシルク・ドゥ・ソレイユとの協業などを手がけているDufour、Maison decréation、ビデオ、照明、アニメーション、建築、音響、スペシャルエフェクトなど多彩な技術を組み合わせた没入形マルチメディアのエンタメ・プロダクションスタジオでありMadonnaのコンサートなどの演出を手がけてきたMoment Factory、モントリオール市で毎週末行われている野外エレクトロニック・音楽イベントを企画・運営しているPiknicElectronik、アメリカの各州を巡る「ぶらんこツアー」など分野を越えたプロジェクトを企画しているDailytous les jours、モントリオール・シンフォニー・オーケストラなどを顧客に持つ映像制作スタジオFIG55、ソチ五輪など世界的なスポーツイベントから、イー・スポーツ、コンサートまで手がけるPixmob、ウォルトディズニーなどが顧客でオーディオ・ビジュアル用ハイクオリティーローカリゼーションを行うAudio Zの7社がプレゼンを行った。日本企業からはシミズオクト、アライブ、うぶすな、NHKグローバルメディアサービス、JTBコミュニケーションデザイン、丹青社、東急エージェンシー、東映エージエンシー、ナカツボ・アーツ、乃村工藝社の10社がプレゼンをし、プレゼン後は面談会とネットワーキング・ランチが行われた。参加した日本企業からは「日本の自治体でイベントをやりたいという話をいただき、紹介することになった」(うぶすな)、「流通面など現実的な課題はあるものの、今後につながる可能性を感じた」(乃村工藝社)、「大きなエンタメショーは日本だと同時通訳が難しいので、字幕サービスで手伝いができると考えている」(NHKグローバルサービス)などといった声が聞こえた。
ケベック州政府在日事務所の稲垣眞通商官は「コンテンツの交流は文化や歴史の交流でもある。特にエンタメ事業は直接のコミュニケーションでしか分かり合えない部分も多いので、これを機にビジネスに発展させWin―Winの関係を築いていってほしい」と同セミナーの意義を語るとともに、今後も継続してセミナーを開催していきたい意向を示す。