〈連載〉あすへのアプローチ 第2回
㈱丹青ディスプレイ  渡部 正隆 氏

  あすへのアプローチ

◆第2回 異動・退職認められず


入社十年たっても新規大型案件の受注もままならず、一方で担当している工事はアクシデント続きの毎日。

東京モーターショウに出展の大型カーゴ車のボディをぶち抜いて水槽を設置したものの水槽のガラスが割れて会場を水浸しにしてゴメンナサイ。東京銀座祭りで地元大手電力会社の電飾フロートに電気トラブルが発生し停電のまま走行させてゴメンナサイ。見積もり落とし、請求漏れ、集金した小切手紛失等ありとあらゆるアクシデントの経験をしました。

いつの間にやら社内では「土下座王」の称号を頂いていたようです。ここで「土下座」のコツを一つ。その場速攻で躊躇わず行ない、地面が汚れていれば尚ラッキーです。長時間を想定して膝を痛めないように工夫し、普段より「正座」の訓練をしておいた方がよいでしょう。「土下座」までは行かなくても謝罪の場合はひたすら頭を下げ続けること。それをB―29作戦と呼んでいますが、太平洋戦争の末期、はるか成層圏から爆弾を落としているB―29にいくら竹やりを突っついてもダメ。しかしB―29がそこに居座ることはありえず、いずれ帰還していなくなります。その時までじっと上空の爆音を聞いているのが一番です。そして何はともあれ速攻でお施主のところに行き、ひとえに謝罪の気持ちを伝えるのが大事です。場合によっては逆に炎上することもありますが。

運に恵まれ業績の良い時には営業なんて不要ではなかろうかと時々思います。仕事ができるデザイナーと制作担当がいれば仕事は問題なく納めることができます。しかしこの業界の前線では何かしらのアクシデントが起こるのが当たり前で、その時にこそ営業の出番があります。結構な力仕事をします。元々、その仕事を受け持ってきたのが事の始まりなので絶対に逃げないように振る舞いますが、バカをやり、バカになりきる営業マンにご理解を…。バカ丸出し営業43年目です。

丹青社 渡部さん
執 筆 者 :株式会社 丹青ディスプレイ 取締役 渡部 正隆 氏
連載時期:『見本市展示会通信』2016年8月1日号~2017年1月1日号
※所属・役職などは連載執筆時のもの

 

 

☞第3回目はコチラ

<アーカイブス>

・第1回 営業職事始め

・第2回 異動・退職認められず

・第3回 デザイナー頑張れ!

・第4回 “お客様は神様です…か?”

・第5回 情報は営業マンの「命」

・第6回 農耕民族たれ、営業マン諸君!