[インタビュー]日本の展示会発展のために ~オクタノルムジャパン

今年3月に開催された「Euro Shop(ユーロショップ)2017」は、出展者数2,368社(61か国)、全体来場者113,000人にのぼった。
国際的な展示会である同展に出展したオクタノルムジャパンの瀬戸健之介氏に、今回の出展成果とグローバル視点で見る日本の展示会について聞いた。


 

オクタノルムジャパン 瀬戸健之介氏

Q 日本からの来場者も多かったようですが、どの製品が注目を集めましたか

3年前の前回展に比べて、日本人の来場者は増えたように思います。オクタノルム社のブースに100人以上の来場がありましたが、なかでも「オクタリグ」への注目度は高く、特にデザイナーの方が熱心に話を聞いてくれましたね。
同製品はもともと天吊り用の部材として数年前からありましたが、日本の展示会では天吊りは主流ではないこともあり、展開は難しいと考えていました。しかしブースの柱を少しでも減らしたいという要望は強く、柱によって視界は遮られ、展示スペースも限られるためデメリットしかありません。
柱を減らしていくという傾向は世界共通であり、日本にも需要があるのだと出展を通じて感じました。

 
同製品の一番の特徴は“とにかく頑丈”で、柱の数を減らし、最大13mまで梁を飛ばす(柱間のスパンをあける)ことができます。
通常、マキシマライトだとせいぜい6mが限界。6mでもパラペットや照明を付けるとたわんでしまう。トラスであっても13m飛ばすのは無理です。一見その良さが分かりづらい製品ではありますが、プロの方々に対してのインパクトは大きく、出展後の問合せも多いです。

オクタリグ

 

Q 日本と欧米の展示会と比較して感じることはありますか

天吊りができないことに加え、日本独自の展示会規約や施工日程のタイトさに関して、しょうがないと諦めている方がほとんどですが、どこかのタイミングで世界基準に近づけていかないと、グローバル化の進む展示会業界で日本だけが取り残されてしまう。
例えば、アウトメカニカ(主催:フランクフルト)はグローバル規模の展示会で世界17都市、メキシコやインド、中国、ロシアなどでも開催するのに、日本ではやらない。他の展示会でもこういったケースは増えています。グローバル展開する展示会は同じコンセプトのもと各都市で開催されるので出展者もついて回りますがその際、都市ごとにブースデザインやコンセプトは変えません。一方、尺が基準の日本の展示会には合わない部材も多く、世界共通で良いとされる製品が日本で使えないのは残念でなりません。

オクタリグ

これらの制約が、国際的な視点から見た“魅力的な展示会”づくりの足かせになっているのは事実です。日本の展示会産業が今まで以上に拡大するためには、価値観そのものを変えていくことが求められています。
まずは海外で人気の展示会をよく知ってほしい。特に主催者には、欧米の展示会にたくさん触れてもらいたいという気持ちがあります。仮に高い入場料を取る高級路線の展示会であっても、コンセプトやポリシーがしっかりしていれば出展者や来場者は集まります。価格勝負の運営では発展は期待できません。今後も、魅力的で専門性の高い展示会が日本でも増えていってほしいですね。

 


見本市展示会通信756号「システム&トラス」特集号より抜粋