展示会や商業空間などのデザインを手がける丹青社とプロジェクションマッピングなどを駆使した空間演出を行うアシュラスコープインスタレーションは8月31日、空間演出の「新たな価値提供」や「演出技術の強化」などを目的に業務提携を締結したと発表した。
今回の提携ついて、丹青社クロスメディアインキュベートセンター・菅野敦夫氏とアシュラスコープインスタレーション・秋葉哲也氏にこれまでの経緯や今後の狙いについて話を聞いた。
■それぞれの専門分野
菅野 これまでさまざまな空間デザインを手がけてきましたが、先進的なテクノロジーなどを用いて空間に新たな価値を生み出す専門チームとして、今年クロスメディアインキュベートセンター(CMIセンター)を立ち上げました。空間の中の演出にこだわり、感動体験を提供することを目的とした部門です。
秋葉 もともと僕は建築出身で、建築空間に映像やサウンド、香りなどのメディアを活用できないかと考えていて、プロジェクションマッピングはその手法のひとつ。案件の規模こそ違いますが、丹青社がやっているような仕事を少人数でやっているイメージです。
■業務提携に至った経緯
菅野 CMIセンターができたことはきっかけですね。ただ装飾するだけではなく、クロスメディア、つまり複数の手法を組み合わせて、クライアントの問題解決のための空間を表現するならば知恵袋的な存在が必要だろう、となり今回の提携が実現しました。
秋葉 僕も、デザインはあくまでも問題解決の手法であると考えています。空間に何が必要とされているのか、足りないものは何なのかを考えた上で、最適なメディアを選択し、最適な使い方をする。にも関わらず、制作する立場の方って、自分の作品を見てもらうことをまず第一に考えてしまう人が多いんですよ。
そういった意味では、まだまだ質の悪いコンテンツであふれかえっていると感じています。ですが一方で、伸びしろのある分野とも思っているので、世の中に良いコンテンツをしっかり残していくためにも、影響力のある丹青社と組んでやっていくのは意味のあること。デザインに対する考え方・想いが近い点も相性がいいと感じています。
■お互いに期待する点
菅野 CMIセンターがスタートしたとは言え、まだ我々は内装業としての考え方が根強く、(社内にも)最先端技術は客寄せパンダとして活用すれば良いという安易な考えを持つ者もいる。そのような社員に、我々とアシュラスコープの能力を合わせ、感動体験を生み出す空間ができる過程を見てもらい、その技術やノウハウを根付かせていきたい。
秋葉 クロスメディアの領域にはまだ専門家がいません。空間や映像、機械、平面デザイン、立体デザインなど、すべてが分かる人はいなくて、今回の提携をきっかけにそういったことにもっと興味を持ってくれる仲間が増えればいいと期待しています。丹青社の社員だけでなく、この業界を目指す学生さんにもこんな仕事あるということを示し、将来的に一緒に仕事できるといいなと思います。