■国際化が急速に進むなか、各国が誘致に注力するMICE。日本国内では周知徹底がなされているとはまだまだ言いがたいものの、新たな観光資源の掘り起こしやさまざまな産業に波及すること、学術振興やスポーツ推進のチャンスにもつながるなどその効果は大きく、徐々にその重要性が周辺産業へも広がりつつある。
そこで国は、より国際競争力強化に向けた施策を打ちだし、地域や他の産業会とも連携し取り組みを強化していく。施策に関わる観光庁、誘致活動に関わるJNTO、企画・運営を担う業界団体JCMAの三者に日本のMICEの魅力と可能性について語っていただいた。
(司会進行 厚母 彰子)
――みなさんにとってMICEの魅力とはなんでしょうか
川崎 コンベンションやインセンティブなど対象や取り組みが異なりますが、MICEの魅力は相手の求めている課題を探り出し、それに対する解決策を提案するために頭をひねりながらアイデアを出していく点であり、こういったところにやりがいを感じます。
国際会議の場合は、誘致活動を通して主催者が誘致のために取り組んでいらっしゃる課題をいろいろな方と協力してお手伝いした結果、日本で開催が決定した際に得られる充実感も大きいです。
また、会議誘致では、普段日常生活でなかなか接しないテーマや、ミクロの世界から宇宙のようなマクロまで多種多様な研究をされている先生方とお会いし、未知の分野に出会って新しい知識を得られるというのも魅力の一つです。ぜひ多くの方に関心を持っていただきたいと思います。
井上 MICEの魅力の一つ目は、交流を通じた経済的裨益があるということです。
他国では成長産業として位置づけられており、次なる将来的な成長産業ということで非常に高い関心を持っています。
そして、日本の方々の国際化を支援することができるというのもMICEの魅力です。日本は1億2,000万人の需要があるので国内マーケットだけでもビジネスできてしまい、英語が堪能で外国とビジネスする人は海外へ行ってしまう、いわば二極化している現状です。
今まではこれでよかったかもしれませんが、日本の少子化及び世界の兆候を鑑みると融合していかなければ成り立たなくなってくると思います。
それでは、どのように国民意識を喚起していくかとなると、日本での大型イベント開催や国際交流の場を作ることが有効な手段となります。
2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京五輪、そして大阪万博などの大型イベントの誘致とMICEというビジネスや学術フィールドの交流を進めることは、日本にいながら国際的な交流ができるということになり、中長期的には日本の発信力及び日本自体の競争力も高まります。私自身がこのタイミングでこのフィールドに携われ、非常にわくわくしています。
MICE産業を伸ばしていくことが日本のためにもなるという観点からいろいろ取り組んでいきたいと考えております。
武内 コンベンションはさまざまなテーマを扱います。「ニュースな仕事」と言っていますが、社会的に話題となっているテーマや先端分野が取り上げられることが多く、社会の動きがそのまま反映されるところがあるので、こういうことに関心のある方々にはとても面白い仕事だと思います。
主催者の晴れ舞台のお手伝いができるということで、一体感や達成感も大きいですし、普段なかなかお会いできないような方々にお会いでき、さまざまなお話をお伺いできるのもMICEの魅力だと思います。