―今年の展示の見所について教えてください
荒川 展示では、参加するお城が3倍増になったこと、そして続日本100名城が今年4月6日(城の日)に城郭協会さんから発表されたので、日本100名城と併せて続100名城すべてを紹介するコーナーを作ろうと考えています。
馬鳥 観光情報ゾーンでは各地のブースがそれぞれのお城を紹介しているので、情報を集めるにはちょうどいいですね。昨年は物販コーナーも人気で初日に売切れたものもありました。
仙田 手ぬぐいやエコバッグなど、ここでしか買えないオリジナルグッズも昨年より種類と数量を増やし、充実させます。
学術的なテーマ展示も、陸軍省が作成した日本唯一の城郭調査絵図である「陸軍省城絵図」に加え、他にも目玉になる展示を考えています。
初日(22日)は平日ですので、会社帰りの方々にも楽しんでいただくことをコンセプトに、午後からオープンして、夜9時まで開城します。エンタメ・ステージではお城好きの方々が登壇し、参加者みんなが楽しんでいただけるようなコンテンツを考えています。
馬鳥 ひこにゃんやくまモンなど各地のご当地キャラも集合します。学術的なことから歴史、観光など幅広い情報やコンテンツが展開されるので、小さいお子さま連れから本格的なお城好きまで楽しめるはずです。
加藤 このイベントの特徴は展示会や博物館とは違い、滞留時間の長い滞在型で、朝から夕方までいらっしゃる方も多いことです。
シアターでは一日中お城に関する番組が上映されていますし、コンテンツが多いので終日楽しめます。
仙田 ファミリーを意識して親子で参加できるワークショップや、城郭協会さんで開催している作品コンテストの展示もあります。これはとてもレベルが高く人気のコーナーです。
加藤 作品コンテストは、小中学生の夏休みの自由研究対策として続けているもので、今までは表彰して終わりでした。
受賞した作品はどれも子供たちが趣向を凝らして制作した素晴らしいものですので、会場に展示してはと提案いただき、入賞した20作品を昨年展示したところ大変好評でした。
啓蒙、そして次代のお城ファンを育てるという意味で大変意義のあることです。
荒川 今回は初めての試みとして、中高生を含めた若手の研究成果発表の場も展開しますし、フォトコンテストなどもあります。
今後はさらにこういった参加型のイベントも増やしていきたいです。1年間かけてお城巡りをした方々が、自分の作品や意見、感想を持ち寄って交流できる場にしていきたいと思います。
馬鳥 昨年、SNSを通じて交流のあったお城ファン同士が、このイベントで会えたといったこともありますし、「今年もイベントに参加しますか?」などといったSNSへの書き込みが結構ありますので、お城ファンの集う場所になってきています。
お城EXPOのブースで武将隊に会って、現地に行ったらそこでも会えたということもありますし、参加者同士の交流も広まっていますね。
―お城の魅力とイベントとしての最終的な目標とは何でしょうか
馬鳥 お城は見てかっこいいだけでなく、建物の無い石垣だけのお城でも周囲の景色と相まって風情を醸し出していていいのです(笑)。
加藤 そうそう、妄想の世界に入り込めるという楽しみもありますね。
仙田 ARやVRを活用しているケースが結構出てきていますし、今回の出展者さんにもあります。
荒川 各自治体がうっそうと茂った木々の中に埋もれていた史跡をきちんと分かる形にしようと、木々を切って整備し観光地にしようという動きも出てきていますね。
加藤 今までは“文化財は守るもの”という意識が強かったけれど、最近では“文化財を活用する”という考え方に変わってきています。
緑を守ることを主張する方々との折り合いが難しかったため手つかずになっていた場所も、木は根を張るので遺跡を壊してしまうということを理解いただき整備が進んできています。
しかし整備には費用もかかります。建物があれば入場料が設定できますが、石垣だけではそうはいきません。
日本の場合、寄附をして遺跡を残そうという考え方が海外と比べるとすくないので、「お城EXPO」を通じてこういった理解も深めていければと思っています。
仙田 昨年の開催時には、熊本城の義援金が約73万円集まりましたね。
加藤 入城口の一番前に並んでいた来場者に来られた理由をお聞きしたら熊本城が大変だから寄附に来た、と。本当に嬉しかったです。
馬鳥 みなさんお城に対する愛情や想いが強いです。建物のないお城にも小さくてもそれぞれに資料館などができるといいなと思いますし、このイベントがそういった機運につながると嬉しいです。
そしてもっと規模を大きくして、多くのファンが集う場所にしたいですね。100名城、続100名城すべてのお城が出展するようなイベントに成長させたいです。
荒川 城郭協会さんでは、ヨーロッパ100名城を選定していますし、今年は海外のお城としては初めてドイツのお城が出展しますが、アジアにも多くのお城があるので、世界中のお城が出展するようになると嬉しいです。
加藤 お城に関する団体もたくさんありますので、大同団結して学術的な展開もできるといいですね。
仙田 やはり規模を大きくして、お城のイベントと言えば「お城EXPO」だよね、と言われるような全国でメジャーなイベントに発展させたい。
お城は日本人の心の中に普遍的にあるもので、多くの可能性を秘めていると思うので、ファンを増やしてターゲットにあわせたコンテンツを充実させていきたいです。
―ありがとうございました
※「見本市展示会通信」768号より抜粋(2017年12月15日発行)